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シリーズ事業戦略/シキボウ/糸販売をグローバル化/「エコテクノ」でサステ商材拡充/上席執行役員 繊維部門長 加藤 守 氏

2019年09月25日(Wed曜日) 午後1時8分

 シキボウはインドネシア子会社やベトナムで整備してきた協力工場網を活用した糸のグローバル販売を拡大させている。繊維部門長を務める加藤守上席執行役員は「海外のどの拠点でも高付加価値糸を生産できる体制が整った」と強調する。中東民族衣装織物の市況も回復傾向となるなど明るい兆しも多い。世界的に要望が高まるサステイナブル(持続可能な)商材も「エコテクノ」ブランドを改めて打ち出し、提案の拡充を進める。

  ――2019年度第1四半期(4~6月)は繊維事業が営業損失となりました。

 中東民族衣装用織物以外は全てが減収になるなど苦戦しました。原糸は富山工場(富山市)の生産規模を縮小したほか、関係会社である新内外綿の糸販売が振るいませんでした。ただ、インドネシア子会社のメルテックスの糸販売は回復しており、ベトナムの協力工場で生産する糸の販売も伸びています。このため利益面では改善が進んでいます。

 ユニフォーム地はワーキング用途が堅調でしたが、白衣やスクールがいまひとつでした。スポーツを中心としたニットも苦戦です。そうした中で原料高や染料・薬剤高騰が重なり利益を圧迫されています。値上げによるコスト転嫁も進めましたが、その効果が出てくるのは年度後半に入る10月以降になります。

  ――今後の巻き返し策が重要になると。

 今期は中期経営計画の折り返し地点です。残念ながらここまでは今期の計画に到達していませんから、通期で目標の数字に迫ることが重要になります。そのために手を打っていきます。

 中東民族衣装に関しては明るい兆しが見えてきました。4~6月も受注は前年実績を上回っており、7月以降もこの流れが続いています。既に来年2月までのオーダーもあり、追加受注や新商品の成約も期待できそうです。ようやく中東市場での流通在庫も減少し、市況が回復してきました。中東民族衣装に関しては、現地で既製服の市場も拡大していますから、メルテックスが生産する生地を使った縫製品への参入にも新たに取り組みます。ユニフォームはニットの活用に力を入れます。メルテックスの生地をベトナムで縫製するなどして企業別注を含めて縫製品での納入も拡大します。

 さらに力を入れるのが、糸販売のグローバル化です。現在、紡績糸の生産拠点は国内の富山工場のほかインドネシアのメルテックス、ベトナムの協力工場があります。タイにも新内外綿の子会社であるJPボスコがあり、その協力工場で糸を生産しています。その全ての工場で高付加価値糸を生産できる体制になりました。メルテックスは主力のポリエステル綿混紡糸のほか2層構造糸や長短複合糸、精紡交撚糸などを生産しています。ベトナムの協力工場でも綿強撚糸、アクリル綿混紡糸、特殊精紡交撚糸「デュアルアクション」などを、タイの協力工場では再生セルロース「テンセル」と綿の混紡糸などを生産しています。

 東南アジア地域では高付加価値な特殊糸を生産できる現地紡績はそれほど多くありません。しかも米中対立を背景に繊維製品の生産を東南アジアにシフトさせる動きは一段と強まりました。こうした動きを対応し、インドネシアやベトナム、タイで生産した高付加価値糸を日本だけでなくアジア市場全体に販売することを目指しています。既に各国の有力テキスタイルメーカーや編み立て・縫製会社、アパレルブランドへの提案を進めています。

 そのほか、寝装分野はリネンサプライ向けの販売を強化します。従来は商社やリネンサプライ業者への営業が中心でした。そこで新たにホテルなどエンドユーザーへの提案も拡大しています。商品としては工業洗濯にも対応した高耐久顔料プリント「アペニノ」が中心です。

  ――世界的にサステイナビリティー(持続可能性)への要求が高まっています。

 「コットンUSAマーク」取得商材の提案を改めて強化しています。コットンUSAマークを認証する国際綿花評議会(CCI)も米綿が環境に配慮したサステイナブルな農業によって栽培されていることを強調していますから、これも追い風にしたいところです。そのほか、カンボジアの農業にも貢献するエリ蚕を活用した「エリナチュレ」も改めて打ち出しを強めました。

 当社はこれまでも「エコテクノ」ブランドで環境配慮型の商材を提案してきました。これを拡充し、天然由来撥水加工や天然由来抗菌加工などサステイナビリティーや環境配慮に焦点を当てた開発を進めます。こうした商材を提案することでSDGs(持続可能な開発目標)にのっとった事業に取り組みます。