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PVレビュー 成熟するエコ潮流に向き合う(2)/エコでも発揮される日本独自の“素材力”

2019年09月27日(Fri曜日) 午後4時41分

 今回の「プルミエール・ヴィジョン(PV)・パリ」は会期がミラノファッションウィークに重なったこともあり、来場者が例年より少なめというのが一般的な肌感覚だった。日本企業からはそれでも、来訪者、サンプル発注とも前回以上、初日から過去最高の客入りという声も多く聞かれ、手応えは悪くない。日本独自のエコ原料が各出展者のラインアップに高頻度で登場し、その素材力が光った。

 各出展者の提案もさることながら、出展する繊維メーカーのエコ素材としての積極的な再ブランディング効果も大きい。循環経済が脚光を浴びる中、環境認証取得に限らず、日本独自の文脈での取り組みをエコ潮流に合わせて欧州で再訴求する試みも加速している。

 旭化成のキュプラ繊維「ベンベルグ」は、ライフサイクルアセスメントや生分解・堆肥化可能の認証に加え、綿実油の副産物のコットンリンターを原料とする点でグローバル・リサイクルド・スタンダード認証も取得。素材特性だけでなく、生産工程も含めた循環経済への適応性を改めて訴えた。

 三菱ケミカルのトリアセテート繊維「ソアロン」も。原料パルプの持続可能性を保証するFSC森林認証を前面で訴求。生地提案も再生繊維との複合品を強化した。ポリエステル交織でも今後、再生ポリエステルやバイオ由来原料のポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維への全量置き換えを進め、さらなるエコ素材化を目指す。

 ポリエステルでは、廃棄衣類からケミカルリサイクルした伊藤忠商事のポリエステル糸・生地ブランド「レニュー」がPVヤーンに初登場した。蝶理も、マテリアルリサイクルのポリエステル糸「エコブルー」使いの生地提案を強化した。欧州は元来、“ケミカル“という言葉自体への忌避感が強い。脱プラスチック潮流下でこの間、「ケミカル/マテリアルといった再生手法の理解まで一気に進んだ」と関係者は言う。

 再生ポリエステルでは、容器包装リサイクル法施行を背景に早くから取り入れてきた作業服やオフィスウエアなどのユニフォーム地を、物性面の高さも含めて欧州でファッション向けに再訴求するチクマの例もある。

 ニッケも、ポリエステル混紡・交織品で再生原料へ置き換えを進める。テキスタイルも動物愛護・エシカルファッションの高まりを背景に、ノンミュールシングのニュージーランド産「ZQメリノ」仕様の生地比率を全体の4割まで大幅に引き上げた。次回からは、国内の学生服地や企業別注向けで評価を確立したポリエステル・ウール長短交撚糸「ニッケ長良川」を用い、家庭洗濯やストレッチなどの機能性を備えたファッション服地投入も計画する。