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PVレビュー 成熟するエコ潮流に向き合う(3)/ポリシー曲げず理想を語るストーリー

2019年09月30日(Mon曜日) 午後5時4分

 今回の「プルミエール・ヴィジョン(PV)・パリ」では、「サステイナビリティー(持続可能性)」や「サーキュラー・エコノミー(循環経済)」のキーワードが席巻した。選択肢の一つというより、モノ作りの前提に定着。各出展者もエコ素材の新コーナーをブース一角に設け、再生・オーガニック原料使用を示すサインをハンガーやラックに施すなど対応に余念がない。半面、「色や素材感、タッチなど従来の“トレンド”が置き去り」との声も一部で漏れる。

 エコ潮流の深化でバイヤーの視線は原料・加工での環境負荷低減に限らず企業姿勢にも及ぶ。モノ作りのポリシーと循環経済の理想を橋渡しするストーリーも欠かせない。

 スタイレムは、「エコ原料にできない表現・加工も多い。エコに拘泥して品質やファッション性を損なうのは避け、トレンドを先取りする側に回る」という姿勢を崩さない。チェックなどのトラッド柄の退潮を見越した新コレクションは「コンテンポラリーモード」と銘打った無地素材を大幅拡充。カレンダー加工などによる深みあるつや・光沢感を追求した。

 合繊・天然素材を問わず多彩な備蓄品を背景にした再加工品も多い。「在庫を再生しロスを削減する姿勢もエコに通じる」。キュプラからオーガニック原料、再生原料の合繊使い、動物愛護の文脈を踏まえたフェイクファーなどから成るサステイナブル素材コーナーも別に用意し、エコにさおさす姿勢も示す。

 エイガールズも同様の二正面作戦を取った。ヘビーな裏毛トレンド一巡を踏まえて、「重厚感はそのまま、軽く快適で仕立て映えするかさ高なジャージー」をテーマに据えた。産業資材用丸編み機でポリエステル糸を大胆に用いたキルト調など、ストレッチなどの快適性とフォルムを損なわないハリ・コシ、ボリューム感を兼備した新作ジャージーを打ち出した。他方で、キュプラ・高収縮ポリエステル交編でスエード調のタッチを追求した新作や、オーガニックや再生原料使いなどエコ素材コーナーの充実も抜かりはない。

 小松マテーレは、従来の加工品種ブランドを「アップサイクル」など九つのキーワードに再編。再生以前よりも次元・価値の高いものを生み出すアップサイクルには、新撥水(はっすい)加工「ダントツ撥水」や天然成分による合繊染色「オニベジ」を含めた。ダントツ撥水は「家庭洗濯100回に耐える製品ロングライフ化でエコに貢献する。PFOA(ペロフルオロオクタン酸)フリーだがフッ素フリーではないC6にこだわる理由はそこにある」。オニベジは製品染めブランド「Co―mt.」と併せて提案。「適量生産や購入後に別の色に染め直す「リカラー」も持続可能性への貢献の一つ。「加工を使って何を実現するか、その理想を語れるストーリーが一段と重要になる」と言う。