旭化成グループ/中国でベンベルグ裏地をPR/著名ブランド、大学とのコラボで

2019年10月08日(Tue曜日) 午後1時21分

 旭化成グループが中国で、キュプラ繊維「ベンベルグ」の裏地のプロモーションを強化している。中国の繊維名門校、東華大学とのユニフォーム向けの共同研究と、中国を代表する高級レディース企業、深セン歌力思服飾の店頭でのプロモーションを実施。中国内販のさらなる拡大に向け、布石を打った。

〈高級レディース店頭でプロモ×深セン歌力思服飾〉

 旭化成グループは、ローカル副資材大手、寧波宜科科技実業との合弁会社で、ベンベルグ裏地の染色加工を手掛ける寧波宜陽賓覇紡織品を通じ、ベンベルグ裏地の内販に取り組んでいる。従来は国有電力会社や水道局、銀行向けのユニフォーム用途がメインだったが、2016年に旭化成グループの営業スタッフ3人が同社に出向し、レディースブランド向けの裏地の新規開拓を強化した。

 18年10月、レディース向け裏地のプロモーション強化の一環として、北京で開かれた深セン歌力思服飾のファッションショーに協賛。今年9月には、同社傘下の高級レディースブランド「ローレン」の店頭でプロモーションを始めた。

 深セン歌力思服飾は、中国を代表する高級レディースブランド「エラッセイ」を運営。15年上海証券取引所に上場後、欧米ブランドの買収によるマルチブランド化を進めている。同社傘下ブランドの中で最も高級なローレンは、15年に同社が中国でのライセンスを取得したドイツの高級ブランドで、表地と裏地双方にベンベルグを採用している。

 今回のプロモーションでは、ローレンの店頭入口に原料のコットンリンター(綿花の種の周りに生えているうぶ毛)などをあしらったPOPを設置し、来店客にベンベルグを紹介。「消費者の認知度を高め、他の高級レディースへの波及効果を狙っている」と、旭化成〈中国〉投資の木下昭暁・ベンベルグマーケティング部部長は話す。

 一方、深セン歌力思服飾は素材にこだわるローレンのブランド理念をアピールする機会と捉えている。夏国棟・購買部ディレクターは「ベンベルグはエレガントな雰囲気が出せるだけでなく、通気性や肌触りが良い優れた素材だ。今後の売行きをみながら、他のブランドにも採用していきたい」と話す。

〈ユニフォーム向け共同研究×東華大〉

 旭化成グループは9月26日、中国・東華大学職業服研究所と共に、上海市内でユニフォーム向けのベンベルグ裏地についての共同研究の成果を発表した。ユニフォームの縫製工場関係者を中心に、約30人が参加した。

 この研究では、金融や保険、たばこ業界で活躍する中堅からエグゼクティブのビジネスパーソン20人(男女各10人)を対象にベンベルグ裏地のユニフォームの着用試験を実施し、その結果を分析した。20人が着用したのは、①「ウール表地+ベンベルグ裏地」②「ウール表地+定番の裏地」③「ウール・ポリエステル表地+ベンベルグ裏地」④ウール・ポリエステル表地+定番の裏地」――の4タイプで、見た目と手触り、脱着など八つの項目について調査した。

 同研究所の傅白ロ博士は発表会で、ベンベルグ裏地が▽表地素材の違いにより運動時の着心地に優劣が出るが、その差を縮める▽肩と背中、肘の快適性が最も優れている▽静電気を抑え、滑りが良い――などの結果を発表した。

 ユニフォーム向けは、ベンベルグ裏地の内販の約半分を占める重要な市場。日本では同様の着用試験をこれまで行ったことがあるが、中国では今回が初になる。「中国人ユーザーを対象に、中国製ユニフォームで着用テストし、結果を出せたことに意義がある」と木下部長は述べる。

 内販ではベンベルグの価格が定番裏地に比べ、割高なことが採用の障壁になっているが、「表地がポリエステル混の安いものでも、ベンベルグ裏地を使えば着心地が良くなるという結果が出た。価格の壁を今後下げることができそうだ」(木下部長)と言う。

 東華大学は中国屈指の繊維名門校。同校職業服研究所では、ユニフォームの素材から縫製技術、完成品のデザインを研究している。同研究所の曹霄主任は「中国のビジネスパーソンがベンベルグ裏地を具体的にどう評価するかを試験し、想定通りの良い結果が出た。今後、中国の業界に広く紹介してきたい」と話す。