メーカー別 繊維ニュース

特集 抗ウイルス加工・素材(2)/検査機関/公平、中立な評価の基盤

2019年10月24日(Thu曜日) 午後3時33分

 抗ウイルス素材・加工など機能性繊維にとって、その性能を客観的に評価する検査機関の存在感は大きい。試験方法の開発やISO化でも重要な役割を果たす。繊維評価技術協議会が認証する「抗ウイルスSEKマーク」の指定検査機関として公平、中立な試験のために検査技術の向上や研究開発に取り組んでいる。

〈日本発の基準を世界へ/海外で普及促進に尽力/ボーケン〉

 ボーケン品質評価機構(ボーケン)は日本基準を参考に作られた衛生分野の国際規格(ISO)の普及に貢献している。抗菌・抗カビ、抗ウイルス、消臭といった衛生機能のISO規格についてまだ認知されていない国での理解促進、試験方法を世界へ発信する。

 抗ウイルス分野では日本基準の創設までの流れや具体的な試験基準の策定など、基準の背景も熟知していることを生かす。抗ウイルスISOの海外での解説や具体的な試験方法を現地の衛生当局や検査機関に、日本市場での製品展開やその試験にいかに合格するかといったことを現地企業に、それぞれレクチャーしている。

 近年、世界で一大消費国としての地位を確立した中国では、市場で高付加価値品が求められるようになり、清潔・衛生機能付きの繊維製品への需要が拡大している。2017年12月に中国国家標準(GB規格)に消臭試験が加わったのはそうした高付加価値化の高まりを示す。

 中国でもここに来て抗ウイルス試験のGB規格化が検討されている。今月開かれた衛生分野のシンポジウム、全国衛生産業企業管理協会の抗ウイルス関連の分科会では、ボーケン上海試験センターが議長となり、討論のイニシアティブをとって、GB化を促した。

 ボーケンは繊維評価技術協議会が昨年から今年にかけてAPEC域内で実施した、抗菌・抗カビ、抗ウイルス、消臭のISO規格を普及させるプロジェクトにも参画した。米国、インドネシア、台湾で開かれたセミナーに講演者を送って、開催国の衛生分野のISO基準について詳しく解説した。11月には上海で開かれる。

〈ワンストップで多彩な試験/非多孔質表面の試験も開始/カケン〉

 カケンテストセンターは大阪事業所(大阪市西区)を中心に抗菌、抗かび、抗ウイルス、防ダニ、消臭など清潔・衛生に焦点を当てた機能性試験や微生物試験を実施している。特にマスク関係はバリア性などさまざまな試験をワンストップで提供できることを強みとする。

 抗ウイルス性試験では一般繊維製品のほか、マスクや防護服向けの試験を得意とする。マスクのバリア性試験や防護服の血液バリア性試験・ウイルスバリア性試験といった特殊試験も実施する。バリア性試験は日本工業規格(JIS)やISOのほか、米国規格にも対応している。

 抗ウイルス性だけでなくバリア性試験などもワンストップで実施できることを生かし、清潔や衛生関連の試験受注拡大を目指す。

 新規の試験方法の開発でも大きな役割を担ってきた。例えばJIS化された防蚊性試験の誘引吸血装置法はカケンが開発したもの。このためいち早く防蚊性試験を実施している。

 蚊はウイルス感染の媒体となることも多いため、抗ウイルス性試験との相乗効果も期待できそうだ。

 プラスチックなど非多孔質表面の抗ウイルス性試験も開始。細菌がフィルム状になったバイオフィルムに対する抗菌性試験も米国規格に基づいて実施している。やはりISO化された防ダニ性試験もスタートした。

〈企業の研究開発も支援/繊維、非繊維の両試験に対応/QTEC〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は現在、神戸試験センター(神戸市)を中心に抗ウイルス性試験など微生物試験を実施している。試験だけでなく学術研究や開発にも力を入れており、企業の研究開発を支援する取り組みでも存在感が高まってきた。繊維だけでなくプラスチックなど非多孔質表面を対象とした抗ウイルス性試験も開始した。

 QTECの神戸試験センターは、検査機関の中でも抗菌や抗かび、抗ウイルスなど微生物試験で高い評価を得ている。射本康夫所長がISO(国際標準規格)にもなった繊維上の抗ウイルス性試験方法の開発で中心的役割を果たすなど豊富な実績を持つことが同センターの強み。

 これを生かして繊維評価技術協議会の「SEK抗ウイルス加工マーク」試験などだけでなく、異なる菌・ウイルス種やさまざまな規格に対応した試験を実施できる。この機能を生かして企業の商品開発支援や大学との共同研究でも役割を担うことを目指しており、その存在感が徐々に高まってきた。こうした取り組みを可能にする人材育成も重視し、日常の試験業務だけでなく学会発表や論文発表にも取り組む。

 近年は繊維だけでなく非繊維の試験に対するニーズも高まった。抗菌製品技術協議会(抗技協)が中心となってプラスチックなど非多孔質表面の抗ウイルス性試験をISO化した。ここでもQTECは中心的役割を担う。抗技協による「抗ウイルス加工SIAAマーク」の認証が7月に発足。QTEC神戸試験センターも指定検査機関として試験を実施している。繊維から非繊維までの試験をワンストップで実施できる体制を敷いている。