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2019年秋季総合特集(17)/産業を下支える検査機関

2019年10月28日(Mon曜日) 午前11時57分

 繊維産業の根幹には、技術や商品開発力などがある。そうした新商品を試験・評価し、下支えしてきたのが検査機関である。

〈ボーケン/「技術力と人財」が潜在力/品質評価にサービス加え〉

 ボーケン品質評価機構(ボーケン)の吉田泰教理事長は「繊維産業の潜在力は技術力とそれを支える人財にある」と語る。さまざまな技術が新たな商品、市場を生み出し、検査機関の評価試験や規格作りなどにもそれはつながると言う。

 ボーケンは品質情報総合サービス機関として「お客様と共同で品質保証を行うパートナーへの変革」を目指す。

 繊維、生活産業資材、認証・分析、機能性、海外の5事業を中心とした品質評価業務を行うとともに、ITサービス、品質管理サポート、教育支援、情報発信、開発と、五つのサポート業務を推進する。

 上半期(4~9月期)は「昨年並みの業績を見込む。定番的試験の競争は激しいが、新たな取り組みが下支えした」。従来の事前検査だけでなく、技術力と専門性を備えた取り組みが、繊維のサプライチェーンの中で、新たな役割を担っていくことになると語る。

 品質管理サポートでは基準書作成、サンプルチェック、工場監査など生産プロセス全体を捉えた取り組みを進める。QC工場監査では要望に応じて問題点の改善指導まで行う。

 海外縫製工場のCSR工場監査へのニーズも強く、現在、中国でCSR工場監査の準備を進めている。ASEANではロット管理や染工場の品質管理技術アドバイス、現地スタッフ教育支援なども展開する。

 8~9月にはASEAN3拠点で加工を含めた「繊維基礎セミナー」を開いた。11月にはカンボジアで縫製工場向けに「ボーケン展示会」を開催予定。クレーム事例を紹介して日本向けの要求品質を情報発信する。生分解性やマイクロプラスチックなどの社会全体の課題に対しても業界団体や顧客との取り組みを通して、第三者試験機関としての役割を果たしていく。

〈QTEC/クラフトマンシップがある/各事業所の特徴生かして〉

 日本繊維製品品質評価技術センター(QTEC)の山中毅理事長は日本の繊維産業の潜在力について「クラフトマンシップ。技術力が高い。納期を含めた管理力にも優れる」と述べた。小売業についても「顧客第一主義の社員教育が徹底され、気持ちよく買い物できる」とコメントした。

 上半期(4~9月期)業績は「厳しい中で職員も頑張り、当初予想を上回った」。国内市場は紳士服でカジュアル化が進み、消費者の購買行動も変化。それでも東部事業所は生活用品・産業資材、中部事業所は羽毛、福井試験センターは燃焼性、神戸試験センターは抗菌・抗ウイルス性試験など、それぞれの特徴を生かした。

 海外事業所も中国の青島、南通、深センが好調。無錫も羽毛試験が堅調と言う。バングラデシュのダッカ試験センターも好調を維持。ベトナムもインターテックと協業して堅調のようだ。「海外のナショナルスタッフを育成し、これまで以上に権限移譲し、彼らのモチベーション向上と成長を図る」。国内外全従業員の潜在力を引き出すことにも力を注ぐ。

 新規事業開発ユニットは「幾つかの企画の芽がある」とし、事業として各事業本部に渡すまで、「直接陣頭指揮していく」。CSR工場監査は、社員教育を行っており、今後は海外のナショナルスタッフにも範囲を広げていく。

 生産工程での有害物質使用の全廃を目指す「ZDHC」には既に2019年1月に加盟しており、事業化に向ける。今後も環境負荷低減、社会的価値向上、品質価値の向上、人材育成と従業員の満足度向上に努めていく。ホームページでの訴求も強化する。安全健康経営として、従業員の危機管理、健康管理にも留意する。「台風時の対応や、海外赴任者の危機管理なども具体的に指示」する。

〈ニッセンケン/培ってきたものを生かす/バリュー競争への転換を〉

 ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)の駒田展大理事長は繊維産業の潜在力について「技術を含め繊維産業が培ってきたものが、いろいろな産業の源になっている」と語る。繊維の技術が他産業に応用されている例は実際多い。

 ニッセンケンでも、「エコテックス」認証事業で有害物質の化学分析試験を約20年前に開始し、微生物試験も行ってきた。そうした技術が8月から開始した香粧品試験・検査へと発展。「食品安全品質サービス(FSQS)にも利用されている」と言う。

 上半期(4~9月期)の業績は「予想したほど悪くない」と見込む。衣料品でも消費増税前の駆け込み需要に向けて生産の前倒しがあったとみられる。

 とはいえ、衣料品販売は苦戦が続く。国内の試験量のパイそのものが縮小し、過当競争が激化。試験料を下げれば、粗利も低下するという悪循環を懸念する。「コストではなく、バリュー競争に転じないといけない」と指摘する。

 ニッセンケンにとってエコテックス認証がバリュー競争の大きな柱になっている。「サステイナビリティー(持続可能性)の潮流はますます強まる。

 店頭でもエコテックスのラベルを見掛けるようになった」。エコテックススタンダード100だけでなく、使用薬剤認証システム「エコパスポート」、持続可能な繊維生産認証システム「ステップ」、消費者へ生産情報を伝えるラベリングシステム「メイドイングリーン」も拡大していく。

 海外では中国拠点が好調。南通、煙台、上海の試験量が増えている。ベトナムも増えているが、機能性試験を充実させていく。

 情報サービスの強化では、報告書データをスマホで見られるウェブシステムを構築している。