中国のメンズブランド/ニーズ細分化で新規参入相次ぐ/狙い目は30代

2019年11月11日(Mon曜日) 午後4時1分

 中国のメンズブランドが活発な動きを見せている。消費者ニーズの細分化を背景に、新規参入が相次ぐ。ファッション感度の高い30代を狙ったブランドが目立つ。ただ競争が激しく、今年は市況の悪化も重なり、成長の歩みは遅い。(岩下祐一)

 中国人女性は欧米ファストファッションの進出が盛んだった2000年代(00~09年)半ばから、ファッションセンスを飛躍的に高めてきた。一方、男性のファッションに対する関心は低く、女性に比べ大きく見劣りしていた。

 ところがここ数年、1990年代~00年代生まれの男性の間で、ファッションに関心を持つ人が増えている。“潮牌”と呼ばれるストリートファッションに身を包んだ若者が街を席巻しているほか、これまで不人気だったアメカジを好む男性の姿も見られるようになった。

 メンズブランドは従来、大きく分けて「商務男装(ビジネスメンズ)」と「休閑(カジュアル)」の二つのジャンルだけだったが、「時尚男装(ファッションメンズ)」や「潮牌(ストリートファッション)」「美式休閑(アメカジ)」などのブランドも増えつつある。90、00年代生まれの若者は個性を求める傾向が強く、ジャンルの細分化はこれからますます進んでいきそうだ。

 これに呼応し、ブランド各社が活発な動きを見せている。仕庫〈上海〉商貿発展の「ピアーヴェ37」は、国内外のストリート系メンズブランドを集めたセレクトショップ。潮牌ブームを追い風に、この3年間で店舗数を約40店に拡大した。3年後に200店体制にする計画を持つ。

 寧波合創億元品牌管理は18年、高級メンズ「アイヴィディック ステュディオ」の出店に乗り出した。「ビジネスメンズ」寄りのテイストで、日本製生地を積極的に採用している。ファッション感度の高い30代男性の開拓を狙っている。

 大手ブランドが新規参入するケースも目立つ。レディース「JNBY」が主力の江南布衣は18年9月、「SAMO」を投入した。シンプルだが細部のデザインにこだわっており、日本製などの高品質の生地を採用している。従来の同質化したブランドとは一線を画し、既存のビジネスメンズやカジュアルブランドに満足しない30代をターゲットにする。

 高級レディース「アイシクル」の上海之禾時尚実業〈集団〉は、10店弱にとどまっている「アイシクル」のメンズラインの出店を、今後加速する。葉寿増CEOは「中国のメンズ市場はいまだに成熟していない。ただ、この2年でファッション感度の高いメンズの市場が開けてきた」と説明する。

 一方、メンズはレディースに比べ、消費者の購買頻度が低く、ファッションに関心を持つ層も各段に少ないため、市場競争が激しい。SAMOやアイシクルなどの高級品を購入する男性が、どのくらいいるのかは未知数と言える。

 ボリュームゾーンのファッションメンズ「GXG」を運営し、香港証券市場に今年5月上場した慕尚集団は、今年の業績が振るわない。呉磊・副総裁は「景気低迷の影響を受けている」と認める。

 新たな市場が開ける半面、市況が悪化したことで、メンズ市場の成長は今後しばらく、ゆっくりとしたものになりそうだ。