メーカー別 繊維ニュース

特集 タオル&水回り(2)/有力製造卸の針路

2019年11月25日(Mon曜日) 午後5時15分

〈浅野撚糸/専務 浅野 宏介 氏/特殊撚糸の販売に注力〉

  ――2019年10月期の業績はいかがでしたか。

 売上高は昨年から約10億円増の23億円を見通しています。特殊撚糸「スーパーゼロ」を使ったタオル「エアーかおる」の販売が好調で、累計販売枚数は10月末で850万枚を達成しました。来年1、2月ごろまでには1000万枚に到達する見込みです。

 さらに、スーパーゼロの売糸も順調で国内は既存先を中心に伸びました。輸出は仕向地別でベトナムが落ち込んだものの、ポルトガルが倍増、韓国も増えました。ポルトガルと韓国の顧客はスーパーゼロを使ってタオルを作り海外に販売しているようです。

  ――今期の目標と方針を教えてください。

 今期は全社売上高で25億円を目標にしています。内訳はタオル14億5千万円、売糸10億5千万円です。タオルはテレビ放映の影響もあって販売は好調でしたが、いつまでもこの状況が続くとは思っていません。既存顧客への深耕はもちろん、これまで納期面で猶予をお願いしていた新規先への営業強化も図っていきます。当社はタオルメーカーではありませんので、売糸をしっかり伸ばしていきたいです。

  ――初直営店も開設しました。

 本社に隣接する直営店「エアーかおる本丸」は来年4月に本格オープンです。バスの団体旅行客の観光ルートに組み込めるよう営業を掛けています。ネット販売と合わせたB2Cで2億円を目標にしており、今期売上高に少しでも寄与できればと考えています。

〈犬飼タオル/社長 犬飼 一善 氏/存在意義のある問屋へ〉

 ――2019年8月期の業績とタオル市場の動向は。

 前々期に続き、前期も微減収となりました。特にボリュームゾーンの価格帯の商品が不振です。市場では差別化した高級タオルとエコノミ―タオルの2極化がますます顕著になったと痛感しています。具体的にかつてギフト市場向けが全盛のころ年に12回転していた商品回転率が半分近くまで落ち込んでいます。デーリーユース向けでは不要不急の商品なだけに買い控えが起きています。

 ――今期を含めて今後の取り組みは。

 前期を踏まえてマーケティングを強化し、市場のニーズ・ウオンツに対応した商品の展開が不可欠です。そのためにもなるべく消費者に近い場面での展示会への出展や市場調査企業とも連携し、最終顧客の声を聞くことに努めます。差別化したモノ作りでは取引先と戦略的なパートナーシップを築き、自社独自の機能性と風合いを追求した糸からの開発を促進します。

 ――ネット通販サイトを含め、流通構造が大きく変化していますが。

 最近、モノ作りのスタートアップ企業を中心にD2C(ダイレクトツゥーコンシューマー)といった新しいビジネスモデルが生まれています。しかし、当社はあくまで1次卸企業として重要な①需給接合機能②情報集約機能③物流機能④在庫調整機能――の四つの機能を見直し、存在意義のある問屋としての役割に徹します。

〈小杉善/社長 小杉 啓生 氏/販売チャネルの変化に対応〉

  ――タオル製品を取り巻く環境をどう見ていますか。

 ギフト需要では、食品など他のジャンルに消費者の関心が移りつつある印象を受けます。当社では、デーリーユースの市場開拓を進めており、一定の需要は維持できていますが、製造・物流のコストアップも継続しており、厳しさを感じます。

  ――今期(2020年2月期)の進ちょくは。

 上半期(2019年3~8月)は、売上高は前年同期比微減ですが、利益は横ばいを確保しました。

 下半期は9月に消費増税の駆け込み需要があったようで、前年同月比で2割以上の増収でのスタートでしたが、やはり、10月に反動が出ました。ここまで売上高ベースでは前年並みの水準です。

  ――EC準備室を2019年に立ち上げました。

 ネット通販(EC)に関する、マーケティングを自社で研究し、ノウハウを蓄積することが目的です。専任はいないのですが、若年層を中心にメンバーを選抜し、20年には1人増員予定です。

 同じネット通販事業でも、ネットモールへの出店と自社ECの運営では必要になるノウハウも投資するべき対象も違う――など、準備室を運営することで見えてくることもあります。当社自身がECを運営する予定はありません。ECも新しい卸し先の一つという認識を持っています。将来的に、B2Cが販売形態の中心となっていく流れはあると思います。それに合わせた製品提案を進めます。

〈新徳丸/社長 中島 広 氏/タオルプラスα追求〉

 ――業績はいかがですか。

 2019年6月期は前期比36.2%増収でした。今期も9月に出展した「東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2019」を通した契約が伸びて順調です。

 新規事業、新規先の増加や事業規模が拡大する中で課題となっている人材確保には継続して取り組みます。

 ――SKUが増加傾向です。

 当社はOEM/ODMが中心ですが、自社ブランドも事業の柱になっています。前期は多様な顧客に対応するため、自社ブランドのSKUをその前の期より約20%増やしました。その取り組みも前期の業績に寄与しています。今期もSKUを2割程度増やす方針です。

 SKUの増加は在庫リスクが高まる可能性がありますが、展示会前に顧客とどれだけ話し込みができるかを重視しています。ヒアリングを通して商品を作り込み、できるだけバイオーダーに近い形になるように営業しています。

 ――重点取り組みは。

 新分野の商材を充実します。インテリアアイテムを増やす予定で、顧客から要望のあるマットなどを来年2月のギフト・ショーで提案する予定です。タオルハンカチも強化します。

 当社は軽寝具やインテリア商材も手掛けています。9、10月はタオルの閑散期ですが、軽寝具、インテリアでは秋冬の導入期です。毎月の売り上げの凸凹をなくす点からもタオル・プラス・アルファを追求します。

〈スタイレム/事業本部ガーメント事業部 LSグループ ギフトコミュニケーション課 課長 小倉 隆司 氏/ブランド価値のさらなる向上へ〉

  ――現在の商況は。

 上半期(2019年1~6月)は、厳しい内容でした。8月以降、少し回復傾向が出てきました。ただし、営業日数や消費増税による需要動向の変化もあったと見ており、本格的な回復と見るのは早計な気がします。

  ――全般的な市況をどのように見ていますか。

 全般的にギフト用途での厳しさが強まっていると感じます。返礼需要などで、消費者の関心が菓子類などに向いていることと併せ、消費増税以降は、食品とその他の商品の税率の違いが、価格帯をそろえなければならない市場では、少しずつ響いてくるとみています。

 そのほか、ネット通販を中心に送料込みの価格設定が中心になっています。その分を商品のコストを削る、上代(小売価格)を下げることで対応する流れになるのではないかと危惧しています。

  ――タオルギフト「今治謹製」が市場で支持を集めています。

 今治謹製で最初に発売した“紋織タオル”を8月にリニューアルしました。価格はそのままで、大幅なボリュームアップやヘム部分の模様の変更など使い心地、見た目ともに付加価値の大幅な向上を図りました。

 SNS(会員制交流サイト)を通じての公式アンバサダーの募集など、ブランド確立を意識した情報発信を進めるほか、健康、美容関連の切り口での提案など、ハード面、ソフト面ともにさまざまな手段で、ブランドの価値を高める動きを進めます。

〈ナストーコーポレーション/社長 尾池 行郎 氏/商品本位の取り組み奏功〉

 ――2020年4月期はここまでいかがですか。

 5~9月は、前年同期比5%増収でした。19春夏向け冷感タオル「スーパークールタオル」の販売数が前シーズン比5倍以上の110万枚に伸びました。当初、18春夏比2倍の40万枚を計画していましたが、OEMが75万枚と広がったほか、既存先への販売が増加しました。

 今春販売を始めた高消臭機能が半永久的に持続する綿素材「デオネクスト」使いのタオルもテレビ通販向けを中心に数万枚売れています。フェースタオルは1500円と一般品より高価格です。どうして高いのかをしっかりプロモーションでき、消費者に分かってもらう必要があります。高い消臭機能をしっかり説明できる販路で浸透しています。今後、枕やシーツを含めて生活スタイルを提案できるように横のつながりを持てればと考えています。

 スポーツブランドも堅調でした。

 ――20春夏向けのスーパークールタオルの販売計画は。

 約120万枚です。抗菌機能を高めた商品を投入するほか、サッカーJリーグの全チームのスーパークールタオルを販売できるライセンス契約を結んでおり、拡販を図ります。

 ――ノンブランド品をやめていく方針を示しています。

 レベルの高い商品を出さないと難しくなっています。商品本位のモノ作り、市場を研究して次の商品を出せるように今後も取り組んでいきます。

〈日繊商工/社長 俣野 太一 氏/機能とファッション追求〉

 ――2019年12月期はここまでいかがですか。

 厳しさがあります。ここ3カ月は9月が前年同月比プラスでしたが、10月はマイナス、11月も勢いを欠いています。

 自家需要用はそれなりに健闘しているものの、ギフト用は伸び悩んでいます。その中でもパーソナルギフトでは、ライセンスブランド「ジャーナルスタンダード ファニチャー」や洗うほどに膨らむタオル「ここちえな」など動きのある商品もあります。

 ――20春夏向けでは、機能性タオルにも力を入れています。

 当社のストロングポイントは情緒性、ファッション性ですが、それだけでは難しさがあり、機能性も強化しています。20春夏向けでは、洗濯しても毛羽落ちにしくい無撚糸タオル「綿雪のようなタオル」や、部屋干し・夜間干しでも乾きやすいタオル「タイムセーブ」などを提案しています。

 ただファッション面の選ぶ楽しさも必要です。当社の売り先は多岐にわたっており、ニーズも多様です。機能性とファッション性のバランスを考えたモノ作りを進めます。

 ――重点取り組みは。

 販売先の既存店の客単価を上げるために付加価値のある商品提案や、マフラー、ストールなどアイテムの幅出しを強化しています。

 さらに価値を伝える工夫が必要です。20春夏で重点訴求する販売15周年の「ジャパニーズスタイル」では特設サイトページを設けて、価値訴求・向上へつなげます。

〈野村タオル/社長 野村 佳弘 氏/自社PRの努力で人材確保〉

  ――2020年2月期の業績見通しはいかがですか。

 売り上げは横ばいとなりそうです。今治タオルの勢いが以前と比べると落ち着いてきている中、海外製のタオルでその落ち込み分をカバーできました。特に今期は顧客からの要望も多く、ベトナム製が増えました。販路は量販店、百貨店、別注、地方卸などで売り上げの比率はほぼ均等です。

  ――10月の消費増税の影響はありましたか。

 9月に駆け込み需要が若干ありましたが、その分10月は反動減となりました。ただ、過去の消費増税と比較してみても、今年は影響が少なかったと思います。

  ――人材の確保も順調に進んでいます。

 20~30代の人材は昨年5人、今年3人入社しました。70代のベテランも在籍していますので、幅広い年代の社員が長く勤めています。

 アピールする努力をすれば人材の確保は難しいことではありません。当社の場合ですと、100年以上続く歴史ある会社だということに加え、完全週休2日制や転勤・残業なしといった労働環境をPRしています。ただ、人材を集めるだけではなく、今後はどのように育成していくかが大事です。

  ――サステイナビリティー(持続可能性)への取り組みはありますか。

 オーガニックコットンを使用したタオルを展開しているほか、最近は残糸を使用したエコタオルに注目が集まっています。

〈本多タオル/社長 本多 正治 氏/全社一丸のモノ作り〉

  ――2019年8月期の業績はいかがでしたか。

 売上高は前年比で5千万円増加し、22億5千万円でした。従来のタオルの半分以下の大きさで吸水性に優れる「バスタオル卒業宣言」が引き続き好調で売上増に貢献しました。一方で、利益は微減となりました。

  ――「互いに褒め合う社風」への取り組みは継続していますか。

 朝礼で従業員が別の従業員について、良い対応や事例を褒めて発表する習慣を継続しています。朝礼で発表した紹介例は語録として残し可視化しています。よりよい社内環境づくりを念頭に、従業員の意欲と気持ちをさらに高めてもらえるよう、今後もこの習慣を大事にしたいと思っています。

  ――今後の経営方針や方向性を教えてください。

 「人を大切にする経営」と「社会貢献」を継続して追求していきます。常に従業員に寄り添い、50年働ける会社にする環境整備を続けながら、会社を将来につなげていくことが社会貢献につながると考えています。

 全従業員が一丸となりよりよい商品作りを推進し、ヒット商品を生み出す会社を目指します。デザイン・営業・企画といった枠を越え、それぞれがアンテナを張り、相互に関心を持ってもらうことが大事だと考えています。

 来年は新入社員を2人迎えます。営業兼デザイナーとして育成し、よりスピード感のある企画提案を目指します。

〈プレーリードッグ/社長 松岡 良幸 氏/幅広い観点から商品開発〉

  ――2020年3月期の進ちょくは。

 ここまで全体では若干の減収傾向ですが、利益率を意識した事業を伸ばしたことで利益は増えています。9月以降の下半期は月ごとに一進一退の印象ですが、中小の販路の数を増やしたことで、大きな変動は抑えられています。

  ――タオル以外にも扱い品種を増やしています。

 2018年10月に販売を始めたカタログ型ギフトの「シンプルチョイス」では、食品も含めた内容にしています。

 タオルは食品やインテリア雑貨、小物類などとの親和性が高く、それぞれの販路、売り場で取り上げられるケースが増えています。当社も置かれる売り場を意識した企画、提案を強めています。

 2018年に発売した有機種子野菜の栽培キット「スプラウトの種」も店頭で必要とされ、話題となる商材を供給する発想で発売した製品です。ただし、タオルの商品力が失われているとは思いません。シンプルチョイスでも今治タオルが選ばれる割合が多いようです。

  ――製品開発の方向性は。

 これまで、繊維製品になじみの薄かった業種からは、SDGs(持続可能な開発目標)の観点からオーガニックコットンを使った製品への期待を強く感じます。

 スプラウトの種の販売を経て、農業関連の事業を交えた高付加価値化とブランディングに新しい可能性を感じています。

 幅広い観点から商品開発を進めます。