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合繊メーカーの人工皮革事業/エコへの志向さらに強まる/改めて本革代替を

2019年11月25日(Mon曜日) 午後4時44分

 人工皮革を展開する合繊メーカーが、環境に配慮した素材群の打ち出しを強めている。旭化成は、「ラムース」のエコな物性をデザイナーなどに浸透させるためのツール作製に着手。クラレは、「クラリーノ」のエコ素材3タイプに新ブランドを冠し2020年度(20年12月期)から投入する。東レは、エコ素材とともに過去最大の厚みが特徴の「ウルトラスエード」新タイプで本革ゾーンの攻略を目指す。帝人コードレも、本革代替への機運を強めている。(堤 貴一)

 サステイナビリティー(持続可能性)を意識した企画提案を進めてきた合繊メーカーが、人工皮革事業でその動きを加速している。環境への感度が高い欧米ユーザーからエコ素材を求めるニーズがますます強まっているという。

 旭化成はいち早く「ラムース」のエコ化を達成。しかし、これまでは十分に訴求できていなかったといい、現在はデザイナーや消費者にリサイクルポリエステルや水系溶剤で商品化するエコな物性を分かりやすく説明するためのツールの作製を急いでいる。GRS(グローバルリサイクルスタンダード)のような認証取得にも意欲を示す。

 東レは、「ウルトラスエードRX」「同PX」「同BX」という3タイプのエコ素材を打ち出している。「動物愛護の観点から本革は使わない」との声が、欧州連合(EU)の一部のユーザーからカーシート分野で出始めていると言い、エコ素材で本革代替を改めて推進。全体に占めるこれらの比率を、20年度(21年3月期)で60%以上に引き上げる。薄さ故に参入できなかった本革のゾーンに参入するため、厚さ2・8㍉というウルトラスエード史上、最大の厚みを持たせた新タイプも開発した。

 帝人コードレも、「欧米では最近、動物愛護への機運が高まり、人工皮革を使おうとの傾向が強まっている」と指摘する。同社は再生ポリエステル、水系溶剤による「コードレ」やフィルムタイプを打ち出しており、特に引き合いの強いサッカーシューズやサッカーボール向けを伸ばす。

 クラレは、このほど完成させた有機溶剤を使用しない「クラリーノ―TN」、再生ポリエステルによる「同―SR」、再生ナイロンによる「同―NR」を来年度から販売する。銀付き(本革調)の造面加工を無溶剤で加工する技術も確立しており、再生ポリエステルや同ナイロンによる商材を新ブランドで打ち出していく。

 東レ、旭化成は今後も主力のカーシート市場が拡大していくとみている。東レは需要増をにらんだ増設を終えている。旭化成は現在、増設を進めており、次の増設も表明している。

 クラレは、アジアでの靴需要の拡大を取り込んでいくため、中国合弁拠点での増設を検討。帝人コードレは、海外に加工拠点を構えることを中期的な課題に位置付けている。