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産資・不織布通信(17)/帝人/中間材料で存在感高める

2019年12月02日(Mon曜日) 午前11時44分

 熱可塑性の炭素繊維中間材料(プリプレグ)で存在感を高めているのが、帝人の炭素繊維事業本部だ。熱可塑性樹脂を使用した一方向性プリプレグテープは、米・ボーイング社の認定を受け、同社航空機の一次構造材向けに供給を始める。航空機用途の展開は継続的に強化し、2030年近傍に大きな成果を狙う。

 プリプレグは熱硬化性が一般的で、市場の大半を占める。ただ熱可塑性のプリプレグは短時間で成形できるといった特徴を持っていることなどから、航空機用途を含めて、将来は主流になると予想されている。同事業本部は「熱可塑性プリプレグでは他社に先んじている」とし、優位性が発揮できるとみる。

 もう一つの強みはノンクリンプファブリック(NCF)の展開。織物ではなく、一方向に並べた炭素繊維の束を化学繊維で縫い付けたシートを用いることで成形時間の大幅な短縮が可能になり、製造工程におけるコスト効率の向上に寄与する。耐衝撃性や耐疲労特性などにも優れている。

 今後、航空機は単通路型(ナローボディー機)が増えていくと言われ、熱可塑性プリプレグの需要も拡大が見込まれる。競争は激しくなる可能性もあるが、ボーイング社からの認定を皮切りに、ソリューション提案力を強化し、航空機用途で大きな飛躍を目指す。

 2020年度(21年3月期)を初年度とする新中期経営計画では、これまでと同様に航空機分野を成長の原動力に指名するとともに、糸売りからプリプレグでの展開へのシフトを加速する。19年度上半期の時点で糸売りは事業本部全体の7割(数量ベース)を占めているが、25~30年度には逆転させる。

 アーバンエアモビリティー(UAM、都市航空交通)やドローンにも視線を注いでいる。「民間航空機と全く違う材料が使われるわけではないと思うが、メーカーから要求される材料を提供できるよう開発を強化」する。スポーツやレジャー分野での拡販にも力を入れ、自転車やゴルフシャフトなどの用途を深掘りする。

 プリプレグのメジャーサプライヤーを志向する。そのためにも商品開発力を強化すると同時に営業力を高めて仕事を獲得し、品質を含めて安定的に生産・供給する。その一環として組織を最適な形に整える。グローバル化にも対応できるよう、1年をかけて議論を行い、21年の春にも新体制をスタートさせる。