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特集 環境白書(3)/カケン、TE/ZDHCに加盟/サステ対応を本格化/検査機関の取り組み/環境対応で人と社会に貢献

2019年12月04日(Wed曜日) 午後4時56分

 カケンテストセンター(カケン)は環境を含めたサステイナビリティー(持続可能性)への対応を本格化している。今秋にはサステイナビリティー関連のテキスタイルエクスチェンジ、化学物質の環境排出に関する企業団体ZDHCに加盟した。情報収集・提供とともに、事業化を目指す。環境・化学分析、CSR(企業の社会的責任)監査なども専門性を生かして遂行する。

〈SDGsへの対応進む〉

 カケンは10月にテキスタイルエクスチェンジ(TE)に加盟した。TEは米国に本部を置き、世界中の水・土壌・大気・人間に対して繊維産業の影響軽減を目的にする。農業、材料、加工、トレーサビリティー(追跡可能性)、製品寿命に関する最良の事例を特定し、共有する非営利団体である。メンバーは25カ国以上、210の企業と組織を含む。

 活動は環境配慮型のオーガニックコットン、リサイクルポリエステルなど繊維・材料の環境や社会に優しい広範囲なデータ、市場分析を提供する。繊維産業のサステイナビリティーに対する標準認証の提供、SDGs達成のためのツールやデータの提供、会員単独ではできないことを共同で行うためのコミュニティー構築、データベースを参照して調達国や同業他社がSDGsにどのように関与しているかの全体的理解の支援を行う。

 TEはビジネス的な要素が強く、SDGsに力を入れている。サステイナブル素材がメイン。「加盟により10月の年次総会に出席したが、キーワードはクライメート(気候)プラスだった」とカケン。

 SDGsへの取り組みは当然のことながら、さらにその先の目標を出すと宣言した。「自社でブランディング化して販売する。試験でもISO化にこだわらず、グループの力で先に市場を作ろうというスタンスである。リサイクルのポリエステル、ウール、ダウン、オーガニックコットンなどの認証業務も実施する」。カケンは今後、認証を希望する依頼者に対しアドバイスを行っていく考えだ。

 11月にはオランダに本部を置くZDHCに加盟した。ZDHCは有害物質ゼロを目指すロードマッププログラムを管理し、消費者、労働者、環境を保護するための持続可能な化学を推進する。テキスタイル、レザー、アパレル、フットウエアなど多くの企業が加盟する。

 衣料品などの製造時に「ZDHC MRSL」(ZDHC製造制限物質リスト)に含まれる化学物質を使用しない、製造工程で出る排水を「ZDHC排水ガイドライン」により管理するなどの活動である。

 カケンはZDHCの考え方に賛同し、「MRSLなどのロードマッププログラムに関する最新の情報を得て、日本の繊維産業の一助にしたい」と言う。有害物質の分析試験は、提携先でZDHCに加盟するビューロベリタス(BVCPS)の中国やASEANのグローバルラボでも実施できる。

 加盟を検討したのは大手顧客の要請もあるが、「今後、環境、安全はキーポイントになる。欧州は化学分析試験など目に見えないものに投資する。海外販売でも、顧客から各国の規制が分かりにくいと相談がある。加盟により情報を得られる。将来的には試験ができるようにしていきたい」

 加盟後は「TEのリサイクルポリエステルの認証の仕方を教えてほしい」など問い合わせが増えているようだ。

〈環境・化学分析を推進〉

 カケンは産業分野までカバーするグローバルなテスト機関として品質基準に基づいて、さまざまな検査・分析を行っている。その一環でマイクロプラスチック問題にも対応する。フリースなどを家庭洗濯すると、繊維くずが発生、下水から海洋に流出し、海洋汚染を招くことへの対応である。

 環境では成分分析も重要になる。カケンは誘導結合プラズマ発光分光分析装置で、カドミウム、鉛、クロムなどの無機物を測定。特定芳香族アミン類もガスクロマトグラフ質量分析計などで分析する。

 そのほか、遮熱性、紫外線遮蔽(しゃへい)性、接触冷感、吸水速乾、電磁波シールドなど環境関連試験も行う。

〈CSR監査を実施〉

 カケンは6月に都内で「カケンCSR(企業の社会的責任)セミナー」を開いた。縫製工場のCSR監査手法や実例を紹介。参加者は100人を超え、CSR対応への関心の高さをうかがわせた。

 CSR監査には第三者監査、第二者監査(オーダーする側の監査)、書面監査、通達・宣言書がある。主力工場は第三者監査、年間生産数が少ない工場は書面監査など重要度によって運用の仕方が異なっている。

 海外の実際の監査では、営業許可がない(未登記)、無許可の建築、労働契約を締結していない、残業加算の不足、年休がない、社会保険未加入といった例がある。国内でも外国人技能実習生の問題があり、労働環境や待遇のチェックは必要だ。

 カケンの上海科懇検験服務は中国人スタッフを教育して工場のCSR監査を2年ほど前から行っている。IRCA(国際審査員登録機構)に準拠した免許有資格者指導を基に実施する。今後も担当者を増員していくため、他の拠点でもスタッフを育成している。