メーカー別 繊維ニュース

特集 コットン・ルネサンス(2)/綿の新たな価値を創出

2019年12月10日(Tue曜日) 午前11時34分

〈クラボウ/綿に多彩な機能を付与〉

 クラボウは綿に多彩な機能を付与することで天然繊維のサステイナビリティー(持続可能性)と機能加工の利便性を両立した商品開発を進める。

 同社は現在、エンドユーザーから直接ニーズをヒアリングする取り組みを進めている。そこから生まれたのが綿やポリエステル綿混生地に高性能消臭加工を施した「ストロングデオ」。既存品と比較して高い消臭機能を確認しているほか、繊維評価技術協議会が認証する「SEK消臭加工マーク」も取得した。ユニフォーム用途を中心に採用が進んでおり、このため工業洗濯50回後でも機能が維持される高耐久タイプの開発も進む。同様の取り組みから防汚加工「ソイルスウィープ」も開発した。

 綿を改質することで保温や消臭、吸放湿といった機能を付与する「ネイテック」も注目が高まる。世界的に“脱プラスチック”の流れが強まる中、改質によって機能化された綿で天然繊維のシェア拡大を目指す。

 そのほか、色落ちしないデニム「アクアティック」は洗い加工での廃水量削減につながることで評価が高まってきた。縫製工程で発生する綿の裁断くずを繊維原料に再生するプロジェクト「ループラス」もパートナーが拡大するなど綿の新たな価値の創出に取り組む。

〈シキボウ/「コットンUSA」を積極活用〉

 シキボウは上質な米綿使いの証明である「コットンUSA」認証を積極的に活用し、綿がサステイナブル(持続可能な)繊維素材であることを改めて打ち出す。

 国際綿花評議会(CCI)は近年、米綿が科学的な精密農業によって水使用量削減や土壌保全で劇的な成果を上げていることなどを紹介しながら、米綿が最もサステイナブルな繊維であることを世界的にアピールしている。

 シキボウはCCIが認証するコットンUSAマーク認定サプライヤーの1社。このためCCIのプロモーションと連携し、同社の綿糸・綿織・編み物などの拡販を進める。

 連続シルケット加工綿糸「フィスコ」など高付加価値糸の打ち出しも改めて強化した。フィスコは現在、国内で生産されている唯一の連続シルケット加工綿糸であることから希少性も高い。このため従来は連続シルケット加工綿糸を使うことの少なかったインナーやタオルなど新たな用途の開拓に取り組む。

 そのほか、革新精紡による綿糸「ドラゴンツイスト」の提案にも力を入れる。革新精紡糸は太番手や中番手が一般的だがドラゴンツイストは60番手など細番手やラミー混紡糸など個性的な糸種をラインアップする。

〈フジボウテキスタイル/設備高度化で高付加価値に特化〉

 富士紡ホールディングスの紡績・染色加工事業会社であるフジボウテキスタイルは、紡績の大分工場(大分市)の設備再編と染色加工の和歌山工場(和歌山市)の設備投資など国内製造拠点の高度化を進めている。これにより高付加価値糸・加工への特化を進める。

 大分工場は現在、精紡機1万錘体制となっているが、超長綿糸やカシミヤ混、シルク混などで別注糸を中心に高付加ゾーンに特化する戦略を進めている。衣料用途だけでなく資材、手芸、医療用ユニフォーム、農業ユニフォームなど新規用途の開拓に取り組む。

 和歌山工場も高付加価値加工への特化を進めたことで堅調な受注が続く。液流染色機を低浴比タイプに順次更新するなど設備の高度化を進めた。19年度下半期(10月~20年3月)にはサンプル染色機1台を更新する。サンプル染色だけでなく欧州のラグジュアリーブランド向けなど極小ロットの加工にも対応可能な体制を作る。

 設備投資により、多様化する顧客ニーズへの対応を強める。

〈ダイワボウノイ/OE糸から加工プロセス革新まで〉

 ダイワボウノイは通常のリング紡績糸だけでなくオープンエンド(OE)紡績糸でも個性的な糸をラインアップする。独特の風合いはカジュアル分野で根強い人気がある。染色加工工程のプロセス革新にも取り組んでおり、これを綿素材の開発にも積極的に導入する。

 同社のOE糸で特に人気が高いのが上質な米綿を使った「テキサス7」。OE糸独特のハリ感・ドライタッチのある風合いはアメリカンカジュアルが持ち味のブランドで長年に渡って採用されるなど根強い人気がある。未利用綿(落ち綿)使い「ジンモ」もサステイナビリティー(持続可能性)の観点から人気が高まってきた。

 同社は国際綿花評議会(CCI)が認証する「コットンUSA」マークの認定サプライヤー。現在、コットンUSAは米綿が最もサステイナブルな繊維であることを打ち出している。こうした動きも積極的に活用する。

 カセイソーダ非使用の染色加工工程の開発や使用する加工剤を全て化粧品原料対応の安全性基準のものにするなど加工プロセスの革新も進める。こうした技術も含めて綿素材のサステイナビリティー強化に取り組む。

〈米綿は最もサステイナブル/コットンUSA〉

 高品質な米綿使いの証しである「コットンUSA」マークを認証する国際綿花評議会(CCI)は、コットンが最もサステイナブル(持続可能な)繊維原料であることを改めて打ち出している。

 現在、米綿は科学的な精密農法による栽培が普及しており、水や肥料の投入量を最適化している。このため、ここ35年間で米綿栽培の環境負荷は土地利用で31%、土壌侵食が44%、水資源は82%、エネルギー消費を38%、温室効果ガス排出は30%ぞれぞれ軽減された。

 CCIはこのほどニュージーランドの原産地証明サービス企業、オリテインとパートナーシップを結んだ。綿花が持つ独自の元素含有パターンを“指紋”のように利用して米綿の原産地を科学的に鑑別することが可能になる。