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特集 20春夏ボディー&レッグファッション(5)/素材力でインナーに価値を

2019年12月13日(Fri曜日) 午前11時25分

〈旭化成/リサイクル・消臭を重点投入〉

 旭化成のロイカ事業部はプレミアムストレッチファイバー「ロイカ」をインナーや肌着向けに販売しており、2019年度(2020年3月期)上半期は「市況は厳しかったが、何とか前年並みの販売量を確保できた」と言う。

 現在、高伸度・高回復が特徴の「ロイカHS」、消臭「同CF」、リサイクルタイプ「同EF」を前面に20秋冬商戦に臨んでいる。

 CFで地道な販促を続けてきた結果、大手ユーザーからの引き合いが増えているといい、これまでは、パンスト、靴下向けが中心だったCFが「インナーにも広がりそう」との期待感を示している。

 CFの販売は昨年から右肩上がりを続けており、20秋冬では輸出を含むレディース、メンズで拡販を計画するだけでなく、スポーツやユニフォームなどへのアプローチにも力を入れていく。

 一方、「まだ大きなうねりにはなっていない」ものの、インナー・肌着でもエコ素材を求める機運が高まっていると言う。

 EFが世界で初めてGRS(グローバル・リサイクル・スタンダード)を取得したストレッチファイバーであることも訴求し、インナー・肌着市場にエコ素材として浸透させたい考えだ。来年2月のジャパン・ヤーン・フェアでは、EFを中心とする出展を計画している。

〈レンチング/注目の原着HWMレーヨン〉

 レンチングが「エコカラーテクノロジー」と呼ぶ原着HWMレーヨンへの注目がインナー用途でも高まってきた。製造工程での環境負荷を大幅に減らすことができると主張しており、快適性と世界的にニーズが高まるサステイナビリティー(持続可能性)を両立する素材として打ち出す。

 インナー用途はソフトな風合いが求められることから、レンチングのHWMレーヨン「テンセル」モダールへの引き合いは拡大傾向が続く。「マイクロテクノロジー」と呼ぶ極細繊度タイプもラインアップすることで、テンセルモダールの優位性を一段と高める戦略を進めた。このためインナーに加えて最近ではレッグでも採用が拡大する。

 さらに注目が高まっているのが原着HWMレーヨン。顔料練り込みのため紡績以降の製造工程で染色加工が不要。このため同社の試算では通常の後染め品と比べてエネルギーと水使用量を50%、二酸化炭素排出量を60%それぞれ削減できるとする。

 テンセルは天然由来原料による生分解のある繊維であり、製造工程で使用する溶剤などを回収することで環境に優しい生産プロセスを構築してきた。原着わたの打ち出しを強化することで、サステイナブル繊維としての優位性が一段と高まる。

〈東洋紡STC/中国内需で拡販目指す〉

 東洋紡STCはアクリル「エクスラン」を中心に20秋冬商戦に取り組んでいる。マイクロアクリル「極衣」や「プレリール」、かさ高「バルキーナ」、アクリレート「エクス」などを重点的に投入し拡販を目指す。

 同社インナー事業部は生地売り、糸売りでインナー・肌着素材を展開しており、極衣などを生地で、保温性が特徴の「エアリーコット」、吸湿発熱レーヨン「セルフホット」を糸売りでそれぞれ打ち出している。

 2019年度(2020年3月期)上半期は全体の市況がさえない中、経編み用にビームで展開する「サイプス」が好調を持続。今後はニットシャツや婦人ボトム狙いの企画提案に力を入れる。

 この間、同社は中国市場の掘り起こしを強化してきており、インターテキスタイル上海などへの継続出展でユーザー開拓を進めながら、現地協力工場への技術指導に取り組んできた。

 暖か肌着系のアイテムでユーザーとの商談が最終段階を迎えており、20秋冬から肌着向けに現地生産する丸編みの販売を立ち上げたい考えだ。

 中国では、さまざまなインナー・肌着素材を作れる体制を構築しつつあり、20秋冬では日本への持ち帰りで新しいビジネスをスタートできる見通しとなった。

〈オーミケンシ/美と健康をレーヨンで〉

 オーミケンシが極細タイプのレーヨン短繊維「レイトス」で肌着やソックス用の紡績糸を開発している。レイトスは同社のレーヨン短繊維「ホープ極(きわみ)」シリーズの商材で、汎用的なレーヨンと比較して繊度は約4分の1(0・45デシテックス)と極めて細い。2018年にわたで発売、フェースマスクなどで採用されてきた。

 レイトスの糸を使って協力工場でソックスを試作したところ、絹のような光沢と極めて滑らかな肌触りが得られた。今後、植物や果実の天然成分をレーヨンに練り込んで機能性を持たせるなどさらに付加価値を付けてレッグウエアやインナー向けの糸として販売する。

 保湿や肌に優しいといった美容や健康をキーワードにした機能レーヨン糸の提案も強める。その一つが機能糸「パフレ」。混用率はマイクロアクリル60%・レーヨン25%・アクリレート系繊維15%。肌の保湿効果と肌を弱酸性に保つpH調整機能・消臭効果がある。

 近年、環境への意識が世界的に高まっていることから、地球環境に優しいという打ち出しも強化する。レーヨン自体が生分解性を持つ素材だが、最適な時期に分解するレーヨンやパルプに木材ではなく、古紙を使い、より森林資源の保全に貢献する素材をアピールする。