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特集 産業資材用機械/産業資材用のウエート高まる/用途に応じて機械を提案

2019年12月20日(Fri曜日) 午前11時45分

 日本の繊維産業がアパレル以外の用途開拓を進める中、繊維機械も産業資材用途への提案が重要になっている。ここではアパレル用途と異なる性能が求められるケースも多く、新たな提案も進んでいる。各社の産業資材向けの展開を紹介する。

〈「イテマ テック」の販売開始/イテマ〉

 イテマの日本法人であるイテマウィービングジャパンは「イテマ テック」ブランドから、産業資材用織機の「ヘラクレス」と「ユニラップ」の販売を本格的に始める。イテマグループがこのほど傘下に入れたパンターが展開していた産業資材用織機で、現在はイテマの生産ラインに組み込む移管作業を進めている。体制が整う2020年以降、日本でも「イテマ テック」ブランドの販売、サービスを開始する。

 ヘラクレスは高張力織物の製織が可能で、最大筬(おさ)打ち4・5トンを実現した。棒レピアではなく、バンドレピアなので開口を小さくでき、経糸のテンションを抑えて機械に負担をかけることなく高張力織物が生産できる。導入しやすい価格設定も魅力の一つとなる。

 ユニラップは扁平(へんぺい)糸をよれることなく製織できるなど、特殊織物の生産に強みを発揮する。扁平糸だけでなく、レピアヘッドを変えて片側レピア織機として使うことも可能。イタリアではファッション衣料用を生産する企業の導入もあり、日本も片側レピアを要望する企業に提案を進める。

 イテマグループとして展開することにより、パンターの時よりもサービス体制が充実する。日本でも20年から本格提案を開始するとともに、プロモーションを強化。サービス体制も整えていく。

〈産資用織機「T20」を展開/ストーブリ〉

 ストーブリは産業資材用のダブルレピア織機「T20」シリーズを欧米中心に展開しており、今後日本でも提案を本格化する。炭素繊維やアラミド繊維、ガラス繊維などさまざまな糸に柔軟に対応し、スペーサーファブリックや3D織物などさまざまな製織が可能。

 T20シリーズは、1998年にストーブリグループに加わった旧ションヘル社が持つカーペット用織機の技術を生かして開発した織機。コンベアベルトやフィルター用などの重厚な織物に加え、複合スペーサーファブリックや厚みのある3D織物なども生産できる。

 現在は米国やドイツ、フランスなど欧米中心に採用されているが、今後は日本での提案も本格化する。カーペット用織機の技術を採用しており、積層した分厚い生地だけでなく、接結された上と下の生地の間を空けたスペーサーファブリックとすることも可能。上下2枚の生地のズレがないことなどもメリットとなる。欧米ではスペーサーファブリックに樹脂加工を施して建築資材などにも使われている。人工芝用としても使われるほか、上下の生地をつなぐ糸をモノフィラメントに変えてクッション用にするなどさまざまな使い方ができる。

〈資材から衣料に広がる動きも/福原産業貿易〉

 福原産業貿易の丸編み機販売は安定して推移しており、特にダブルフリースの裏毛やスペーサーニット、40ゲージ級のWニット機などが順調に販売を伸ばしている。

 資材用では近年、両面選針の電子ジャカード丸編み機(28ゲージ級)を中心にマットレス用を伸ばしてきた。先に広がった欧州に加え、高付加価値化を志向する中国なども積極的に導入し、前年度は資材用の比率が全体の30~40%にまで高まっている。

 この機械は織物のような外観を持つ「ウーブンルック」のニットが生産できるため、ストレッチ糸を入れてスポーツ用にも使われだすなどマットレス以外の用途でも注目されている。スペーサーニットも産業資材用途だけでなくカジュアル衣料でも注目を集めるなど資材から衣料への用途の広がりも進んできた。

 同社の販売は海外が主力だが、日本も高付加価値機の重要な市場に位置付ける。現在は機械の品質や生産性に加えて対応のスピードを重視し、顧客の多種多様なニーズを反映した開発をより迅速に行うための体制整備を進めている。

〈国内サービス充実/ピカノールとエディー〉

 ピカノールの日本での代理店を務めるエディーは、産業資材用途への提案を強めていく。積極レピア方式の「オプティマックス―i」に加え、消極レピアでも広幅(460センチ)タイプのガイドレスが出たため提案を進めていく。

 産業資材用途では毎年販売実績があり、2020年度も追加納入がある予定。北陸だけでなく、太平洋側の産地への提案も強化しており、ポジレノ装置を含めて販売を拡大していく。20年度はピカノールの産業資材担当が来日し、企業を個別に回る計画だ。

 エディーは19年から国内サービスの充実を図っている。現在は技師の養成中だが、20年度からはベルギーからの技師とともに据え付けやサービスを行っていく予定だ。

 6月のITMAでは「オプティマックス―i」で従来の積極レピア方式に加え、新たにガイドレス積極レピア方式を披露した。インテリア用などで高い汎用性を誇り、20年度中には日本でも販売を開始できるように取り組みを進めている。現在は欧州で試織を重ねている段階で、新しい技術に対応できる技師の育成も進めている。

〈3層透湿防水素材の工程短縮/伊藤忠システック〉

 伊藤忠システックは産業資材用途に向け、ドルニエのレピア織機やザームのワインダーのほか、モンティ・アントニオの加工機などを提案する。

 モンティ・アントニオのホットメルトラミネーター「920」は6月のITMAで発表したグラビアロール式の最新機種。一つのライン中に二つのラミネート機を組み込むことで、メンブレン(透湿防水膜)を表地と裏地で挟み込んだ3層素材を2回に分けず1回で生産でき、乾燥などにかかる時間を大きく削減する。生地幅は2~30メートルに対応。ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレンなど水溶性樹脂、熱可塑性樹脂とも使用できる。まずはスポーツ用途で注目されているが、今後は自動車など産業資材用途へも提案していく。

 理和グロテックの省エネ型ヒートセッター「テクスティンノ953」も産業資材用へ提案する。ビルトイン排気ダクトシステムによる安全性などが特徴。統合管理システム「イノセス」により、登録した加工条件をワンタッチで呼び出して加工できるほか、実測値をモニタリングして異常値が出れば知らせるなど生産管理にも役立つ機種となっている。

〈5G時代への準備進める/イズミインターナショナル〉

 テンション制御装置やフラット糸緯糸挿入フィーダーを販売するイズミインターナショナル(大阪市北区)は、ここ5年間続いた更新需要が一巡したことから、到来が予想される5G(第5世代高速通信技術)時代に向けた準備を進める。

 アジア地域を中心にここ5年間は電子基板向けなどガラス繊維織物の設備投資が相次いだ。このため織布工程に必要な同社のテンション制御装置の販売も好調に推移していた。だが、ここに来てガラス繊維織物の設備投資も一巡し、受注も鈍化している。

 このため同社では当面、劇的な需要増加は見込めないと慎重な見方を強める。その一方、5Gの普及が本格化すれば中継基地局の設備更新や5G対応端末に向けてガラス繊維織物の需要も増加するとの期待も大きい。このため5G時代に必要な装置の探索や開発に力を入れ、今後の需要回復に備える。

 フラット糸緯糸挿入フィーダーは欧米市場を中心に安定した販売が続いている。最近はスーパーカーの車体に使う炭素繊維複合材の基布製造向けが増加した。こうしたニッチ市場でも存在感を発揮することを目指す。