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オーミケンシ/高性能レーヨン開発急ぐ/高強力や抗バリア性を実現

2019年12月25日(Wed曜日) 午前11時54分

 オーミケンシは高強力や抗バリア性などの特徴を持つ高性能レーヨンの開発を急ぐ。産官学連携による開発を進めており、実用化に向けてめども立ち始めた。世界的に再生セルロース繊維への注目が高まる中、製造プロセス革新でレーヨン需要の掘り起こしを目指す。

 海洋プラスチック汚染問題などを契機に世界的に再生セルロース素材に対する注目が高まった。ただ、オーミケンシは、生分解性などの特徴は再生セルロース繊維や天然繊維全般にある物性のため、それだけでは自社のレーヨンの差別化要素にはならないと指摘する。このためレギュラーレーヨンにない物性や機能を持つ高性能レーヨンの開発を急ぐ。

 その一つが国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の戦略的省エネルギー技術革新プログラムに採択されているタイヤコード用カーボンナノチューブ(CNT)複合溶剤法セルロース繊維の開発。日本ゼオン、信州大学、国立研究開発法人産業技術研究所と共同で研究開発を進めた。

 今後、自動車の自動運転システムの普及にはパンク時も一定距離を安定走行できるランフラットタイヤの装着が必須とされる。パンク時の走行ではタイヤのゴムが発熱して高温となるため、タイヤコードの素材としてナイロンやポリエステルなど熱溶融する合繊は使用できない。このためランフラットタイヤ用タイヤコードには熱溶融しない高強力レーヨンが適しているが、通常のビスコース法では製造工程が複雑でコストが高いなどの課題がある。

 これに対して同社らが取り組むプロジェクトはCNTを複合した溶剤法で高強力レーヨンの製造プロセス開発を進める。製造時の環境負荷やエネルギー消費を抑えながら高強力レーヨンの製造を可能にする。開発は最終段階に入っており、今後の実用化が期待できる。髙口彰取締役は「タイヤコードだけでなく幅広い産業資材用途、さらには衣料用途にも応用する」と話す。

 ほかにも京都大学と共同で抗バリア性を持つレーヨンの研究開発にも取り組む。セルロースナノファイバーを応用したもので、繊維だけでなくフィルム・樹脂での実用化も視野に入れる。世界的に脱プラスチックの動きが強まる中、再生セルロースで抗バリア性を実現することでプラスチックフィルム代替の需要を開拓することを構想する。