台湾・繊維イノベーション(上)/サバヒーのうろこから新素材

2019年12月25日(Wed曜日) 午前11時59分

 台湾で最もポピュラーな魚、サバヒーのうろこを利用して開発した新素材が、繊維業界で注目を集めている。養殖と繊維産業の盛んな台南出身の侯二仁氏が総経理を務める博祥国際が開発した「UMORFIL(ウモーアフィル)」だ。質感と機能性を備えた新素材は、フランスの伝統ある繊維見本市でも好評を博し、台湾の繊維業界に曙光(しょこう)をもたらした。新たな地平を切り開こうと奮闘する台湾の繊維イノベーションの旗手たちの動きを3回にわたって追った。

 侯氏は大学でバイオテクノロジーを学び、台湾大学漁業科学研究科に在籍していたことがある。その時に日本企業が魚のうろこからコラーゲンを抽出し、健康食品にしているのを知り、そこからアイデアを得た。

 台南で養殖されているサバヒーのうろこからコラーゲンが抽出できるのではないか。それを繊維産業に生かせないか――。魚は内臓や骨までも乾燥して飼料に用いるなど有益だが、うろこだけは捨てられていた。自分が買い取ることで漁業者の収入増にもつながる。

 そこから侯氏の挑戦は始まったが、彼の技術開発を応援する人はほぼ皆無だったという。博祥国際の株主からも支援を断られ、資金不足に陥った。母親が残してくれた台湾の自宅を800万台湾ドルで売り払い、銀行から資金を調達した。

 なんとか資金を工面して開発を続け、魚のうろこからコラーゲンペプチド(分子を細かくしたコラーゲン)を抽出するまでに2年の歳月をかけた。

 今では毎月10~20トンの魚のうろこを使用し、サバヒーだけでなく養殖のティラピアのうろこを使うほか、海外からも輸入している。

 原料となるうろこの処理工程は煩雑だ。洗浄後に有機物を取り除き、専門的なクリーニング処理でうろこをきれいにする。そのうろこから独自の技術でアミノ酸(コラーゲンペプチド)を抽出し、酵素を加えて分解、純化を経て小分子のアミノ酸にし、重合によってペプチドにする。ペプチドをほかのさまざまな原料と反応させて超分子ポリマーを作った上で、バイオニックペプチドアミノ酸と繊維素材を超分子結合して製造されたのが、ウモーアフィルだ。〔NNA〕