2020年新年号 2020年新春アンケート調査報告(6)/中国生産・調達/今年も「現状維持」の基調/小口・QRに不可欠な存在

2020年01月07日(Tue曜日) 午後5時14分

 経済の失速感が漂う中国について、2020年に「中国からの生産・調達を拡大するか」を聞いた。結果は、「現状維持」が70%と最多になり、次いで「縮小する」が18%、「拡大する」が12%だった。

 過去調査と比較すると、「現状維持」の比率が年々増え、逆に「縮小する」と「拡大する」の比率が年を追うごとに減っている。

 「現状維持」と答えた企業の中では、「QRには中国生産が不可欠」(タキヒヨー)、「現段階では納期対応という点で欠かせない国」(信友)、「QR、小ロット対応にはまだ競争力がある」(丸紅ファッションリンク)、「QRの利用」(カイタックグループ)など、納期と小口対応の面で他国に差をつけていることを強調する声が目立った。

 ある企業のトップはこの流れについて、「以前は、大量生産品は中国、小口・短納期品は日本国内という構図だったが、それがそれぞれ、ASEAN諸国、中国へと変化した」と指摘する。

 中国生産・調達の魅力として技術力の向上、付加価値化の進展、モノ作りの高度化を挙げる企業も多い。それでも拡大ではなく現状維持と回答した理由としては、「環境規制を始めとする不安定要因も多く存在する」(旭化成)、「小ロット対応、原料調達において中国を重視しているが、製造コスト上昇や米中貿易摩擦のリスクなどマイナスの面がある」(蝶理)、「人件費などコストアップ要因がある」(コーコス信岡)などの意見が挙がった。

 「既に一定規模まで縮小済み(のため現状維持)」(シキボウ)、「現状の中国生産の規模を高く維持しつつ、今後は徐々にインドなどに移行」(小泉アパレル)など、既に縮小戦略を実施済みなところや、当面は維持するものの将来的には縮小の方向とする回答もあった。

 18%だった「縮小する」という回答の中には、「縫製のASEAN移転が進んでいるため、ASEAN地域での生産拠点も必要」(日本バイリーン)、「中国の生産工場自体が縮小するため」(青山商事)、「人件費の高騰に加え、中国国内の工場数が減少しているため」(AOKI)、「徐々にASEAN生産にシフトしていく上、国内生産も重要と見ているため」(ワールド)、「中国企業の縮小」(スミノエ)など、中国の生産スペース自体がASEANシフトや廃業によって縮小しており、それに伴って自社の中国生産・調達も減少するという意見が多かった。

 12%が回答した「拡大する」では、「今までゼロだったので拡大ということになる」(広撚)、「今はゼロだが、今後検討していきたい」(松文産業)などこれからスタートする企業もあるが、何らかの理由で現状の取引量よりも拡大するという回答があった。

 東レが「縫製基地としての相対的なポジションは低下しているものの、素材供給力や短納期対応など中国の優位性は依然として高い。また中国は世界最大の消費国であり、その中で高付加価値品市場が伸長していることから、当社の商機が拡大しており、重要な拠点であることに変わりはない」と回答。「安くはないが、縫製の規模がまだまだあり、現地での調達要望もある」(清原)、「複雑な製品でも原材料が全てそろうため一貫生産が可能で、国産品との価格差もまだある。米中貿易摩擦を背景にものによっては安くなっているものもある」(蔭山)といった指摘もあった。