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旭化成/変革と深化がキーワード/コネクトの成果を出す

2020年01月16日(Thu曜日) 午後3時41分

 旭化成の小堀秀毅社長は15日に福井市内のホテルで会見し、2020年の経営のキーワードとして「変革」「深化」を挙げた。自動車のCASEや情報通信の5Gなど世界経済が変革する中で生まれる新しい商機に対応するとともに、社内の変革も重視し、「変革させることで成長領域が見えてくる」とした。

 小堀社長は19年について「世界経済に減速感が出てきた。この先の長い歴史の中でターニングポイントになる可能性がある」と指摘した。足元ではヘルスケアや住宅関連が計画通りに推移する一方、マテリアル事業領域が中国経済の減速や世界自動車産業の低迷の影響を受けている。

 20年は変革と深化をキーワードとし、独自性ある商品開発に加え、他社との協業やサプライチェーンの強化を図る。技術の融合による深化を重視し、「10年先には産業の垣根がなくなる可能性がある。繊維産業という見方ではなく、どの分野に価値を提供するかを視点に、どう技術を組み合わせていくかが重要」と説明する。

 同社は「環境・エネルギー」「モビリティ」「ライフマテリアル」「住宅・リビング」「ヘルスケア、医療・医薬」を重点分野とし、事業を3領域にくくり直すなど組織を変えてきた。今後も環境に合わせて変革していく考えで、「100周年の22年にはさらに変える必要がある」とも話した。

 20年はサステイナブル(持続可能な)もポイントの一つに挙げ、「収益だけでなく、持続可能な社会にどう貢献していくかが重要になる」と言う。繊維では「リサイクル」をキーワードの一つに挙げた。

 工藤幸四郎常務執行役員パフォーマンスプロダクツ事業本部長は、20年について「コネクト」を重要なキーワードに挙げた。昨年4月に繊維、高機能ポリマー、消費材を一体化した効果も出てきており、「それぞれが刺激し合って、新しいモノを生み出していく形になってきた」と話す。その中で今年は成果を形にして打ち出す考えだ。

〈北陸との取引額は横ばいに〉

 旭化成の2019年度(20年3月期)の北陸産地との取引額は前年比ほぼ横ばいになる見通し。18年度は同約10%拡大したが、19年度は一部用途が伸び悩んだ。裏地はロードサイド中心に苦戦し、婦人も暖冬下で低迷。インナーも市況低迷の影響を受けている。一方、スポーツは大きく拡大し、アウターも「ベンベルグ」がサステイナブルの面から海外からの注目が高まっていることで健闘している。資材関連も着実に伸びている。

 20年度はベンベルグや人工皮革「ラムース」、資材関連の拡大で北陸との取引は前年比5~10%拡大する。

 工藤常務執行役員は、北陸産地との取り組みについて、「引き続き力を合わせてやっていく」と強調した。新しい素材開発で産地に貢献するとともに、それを具現化するための企画力などの面で産地企業との協業を強める。「繊維の技術を生かして違う分野、違う世界に出ていくことが重要」とし、新しい価値創造に向けても産地との取り組みを強化する考えを示した。