メーカー別 繊維ニュース

技術の眼

2020年01月17日(Fri曜日) 午前11時37分

 「技術の眼~NEW WAVE GENERATING TECHNOLOGY~」では将来的にニューウェーブを巻き起こしうる重要な技術にスポットを当て、紹介する。

〈YKK/レールファスナーで開閉〉

 YKKがレールファスナー「ジョイロン」の販売を開始したのは約30年ほど前である。樹脂のスライダーとレールによって、ビニール製品などの開閉を行う。歯ブラシなどの洗面ケースや文具のクリアケース、大きなものでは農業用テントの入り口にも利用されている。

 PVC(ポリ塩化ビニル)を材料にし、1巻600メートル前後で販売する。夏は柔らかく、冬は硬くなるという素材特性があるが、製品の安定性と品質管理で対応。樹脂を溶かし、押し出し、冷却成型し、巻き取るという工程で、「製品幅の安定や波打ち防止に技術がある」と言う。PVC商品はフタル酸エステルを含有せず、「エコテックススタンダード100」「CPSIA(消費者製品安全性改善法)」の安全基準に適合する。ポリオレフィン系樹脂のタイプも販売している。カラーはスタンダード7色、スケルトンカラー7色だが、別注にも対応する。

〈ビームコーポレーション/10秒で約9℃上昇するウエア〉

 輸入雑貨など企画販売のビームコーポレーション(奈良県葛城市)は、電気式の暖房機能付きウエアシリーズ「ネオヒート」の販売を開始した。全世界で200項目以上の特許を取得しているPTC(正温度係数)ヒーターと同等の効果を持つナノフレキシブル加熱フィルムをヒーティング素材として採用。一般的なモバイルバッテリーで起動でき、すぐに温まる。

 ナノフレキシブル加熱フィルムは、一般的なポリエチレン袋と同様のわずか0.05㍉の薄さでありながら、約280℃の高温にも耐えられる。別売のモバイルバッテリーでスイッチを押してから、わずか10秒以内で約9℃、上昇。温かさは3段階で最大4時間続く。背中にフィルムを配置し通常の防寒ウエアと全く変わらない着心地を実現した。

 アウトドアや農作業など、汚れてしまった場合でもケーブル類を付けたまま洗濯機で丸洗いが可能。

〈スタイレム/ソニーの炭素材料で生地〉

 スタイレムは、消臭をはじめとする多機能の発揮が期待できる炭素材料「トリポーラス」を使った各種繊維素材・製品の開発に着手した。ソニーからトリポーラスの供給を受け、ダイワボウレーヨンと共同で商品化を進める。

 トリポーラスは、もみ殻などの余剰バイオマス(再生可能な生物由来の有機性資源)から生まれた多孔質炭素材料で、ソニーが独自に開発。マイクロ孔(2ナノメートル)、メソ孔(2~50ナノメートル)、マクロ孔(1マイクロメートル)を持ち、通常の活性炭と比べて低分子化合物に対する吸着スピードが速く、高い消臭性などを発揮する。

 同材料を練り込んだレーヨン使いの綿混紡糸(50番単糸)やポリエステル混紡糸(同)を試作し、丸編み地を生産した。消臭・抗菌機能が期待できるほか、ミックス調や品位といった感性面の表現も可能にしている。開発を始めたばかりだが、改良を施して糸、生地の完成度を高めていく。

〈帝人フロンティア/軽量薄地と耐久性を両立〉

 帝人フロンティアはスポーツ・アウトドア衣料向けに薄地・軽量性と耐久性を両立したポリエステル長繊維高密度織物「シャドウリップ」を開発した。強度を維持するために配列する格子状織組織に高強力ポリエステル長繊維を使用し、フラットな外観ながら摩擦などへの耐久性が高まった。

 細繊度糸の織物は引き裂き強度が不足するため、強度確保のために太い糸を格子状に配列するリップストップ生地が一般的。しかし、リップストップ生地は外観に格子柄の凹凸があり風合いも硬くなる。凸部分の摩擦耐久性も弱いといった課題があった。

 シャドウリップは格子状に配列する織組織に他の織組織と同じ太さの高強力ポリエステル長繊維「パズモ」を採用することで課題を解決した。薄地・軽量性と強力を維持しながら、生地表面の凹凸がなくなることで摩擦や引っ掛かりに対する耐久性も両立する。糸の配列変化や機能糸との交織も可能。

〈カンボウプラス/高強度・低コストのエアーテント〉

 カンボウプラス(大阪市中央区)はこのほど、新型の災害用エアーテントを開発した。テント材にダブルラッセルの経編み地を採用することで高強度と低コストを実現した。

 2重構造のテント地内部に空気を充填(じゅうてん)して自立させるエアーテントは通常、ポリエステル織物に塩ビ樹脂コーティングしたターポリン(防水布)などをテント材に使うのが一般的。この場合、2重構造にするための縫製工程が必要であり、縫製強度の面から充填する空気の圧力はあまり高めることができず、テント全体の強度を高めることが難しかった。

 カンボウプラスが開発した災害用エアーテントはダブルラッセルの経編み地に塩ビ樹脂コーティングしたものをテント材に採用。編み組織によって生地が2重構造となることから織物と比較して縫製コストを大幅に削減できる。2重構造編み地の表面と裏面をつなぐ糸も編み組織によって生地全体に編成されているため強度も高い。

〈西川とパナソニック/最新技術で快眠サポート〉

 西川とパナソニックは、睡眠の状態に合わせてエアコンや照明などの家電を自動制御するとともに、睡眠の結果を可視化し適切なアドバイスをする「快眠環境サポートシステム」を共同開発した。

 2017年(当時、東京西川)から共同展開する、主に住宅リフォーム向け「睡眠環境サポートルーム」の進化版とも言える。ポイントは西川が開発したセンサー搭載「エアーコネクテッド」SIマットレス(12万8千円)だ。

 従来型の枕元に置いたスマートフォンの睡眠計測アプリより高精度な睡眠データが得られ、空調・照明・音響の自動制御が向上したほか、パナソニックの専用アプリを介して睡眠結果を可視化し、西川の眠りの知見を生かした睡眠アドバイスも実現した。

 睡眠の可視化は睡眠の時間や効率、中途覚醒など6項目から成る睡眠スコアと睡眠深度で表示。就寝前行動のアンケート回答と合わせ、最適なアドバイスを提供する。