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特集 第17回ジャパン・ヤーン・フェア(3)/意匠性・機能性 多様な糸勢ぞろい

2020年02月13日(Thu曜日) 午後1時7分

〈東和毛織/原産国こだわりストーリー性〉

 東和毛織(愛知県一宮市)はストーリー性をうたいやすくするため原産国にこだわった産地ウールを提案する。欧州をはじめ米国や南米産のウールを使った糸をそろえた。

 今年から新たに打ち出すスパニッシュメリノは膨らみがありながらも、独特のドライタッチが特徴。スペインはメリノ種発祥の地とされ、クラシカルで昔ながらのメリノとして訴求する。12番双糸や12番三子撚り糸などを展示する。

 フレンチメリノは2年前から販売しており、既に実績もできつつあり、今回展でも引き続き提案する。風合いはスパニッシュメリノよりもソフトな上、黄味がかった色合いが特徴だ。

 ほかにも米国中西部のネバダ州や南米ウルグアイ産のウールもそろえた。いずれのウールもノンミュールシングだ。

〈トスコ/麻のバリエーション広げ〉

 トスコはJYで、ラミーを改めて訴求するほか、麻関連素材のバリエーションを広げて紹介する。横編み製品を10~15点、生地を15点、糸を15点強出品するほか、世界で初めてGOTS認証を得た「オーガニックラミー」なども展示する。

 麻ブームが続いているが、リネンの輸入が増加する一方で、ラミーは伸び悩んでいる。「麻紡績として、ラミーの認知度をもっと上げ、市場に広げたい」と言う。

 精紡交撚の麻混ストレッチや、長繊維糸との精紡交撚ストレッチ糸も訴求する。綿麻も、精紡交撚で毛羽の抑制効果がある。ヘンプも紡績しており、ヘンプ100%糸のほか、三原工場ではヘンプウールも検討している。和紙も外注で生産する。「ラミー、リネンに加え、ヘンプや和紙の世界も提案」する。

〈豊島/持続可能素材を前面に〉

 豊島は、サステイナブル(持続可能な)素材として、トルコ産オーガニックコットン使いの糸や、廃棄食材を染料として活用する「フードテキスタイル」を前面に出す。

 トルコ産オーガニックコットン糸は、同国の紡績会社、ウチャックと日本国内販売の独占契約を交わして展開している。ウチャックが自前の農場で綿栽培も行っているため、トレーサビリティー(追跡可能性)も確かだ。

 フードテキスタイルは、取り組み先の食品加工メーカーなどから廃棄食材の供給を得て、それを原料にパウダー染料化。国内で特殊染色する綿中心の素材ブランドとして展開している。

 ほかにも、麻のトップ染めのようなメランジ感を、特殊撚糸加工で再現したポリエステル長繊維糸「FLD」など、さまざまな糸を紹介する。

〈豊島紡績/サステ配慮のウール混紡糸〉

 豊島紡績(名古屋市中区)はサステイナビリティー(持続可能性)をウール混紡糸で表現する。ラミー100%糸シリーズ「アラン」は41色展開から60色に増やす。

 サステを訴求するウール混紡糸は「プラチナオーガニック」とネーミング。南米の無農薬牧草で育成し、生産の各工程で世界認定基準を満たした羊毛を、キュプラと混紡し60番双糸に仕上げた。混率はウール55%・キュプラ45%。グレーを中心に3色展開とした。

 ラミー100%で48番手糸シリーズのアランはソリッドカラーを追加し60色展開に拡大。従来はミックスを中心に41色展開だったが、ソリッドカラーの要望が増えたことに対応し幅を広げた。

 その他、「ブーマー」「ランディー」「チアフル」「ブレーメン」といった定番の糸シリーズも紹介する。

〈長谷川商店/多種多様なシルクの品ぞろえ〉

 長谷川商店(愛知県一宮市)は多種多様なカラーや糸番手のシルク糸を中心とした上質な天然繊維の品ぞろえを誇る。

 シルクこそ真のサステイナビリティー(持続可能性)に配慮した素材というコンセプトのもとに多彩な糸を取り扱う。長年取引を重ねた信頼できるルートで素材を調達し、トレーサビリティー(追跡可能性)への配慮や品質の維持管理を欠かさない。

 シルクは長繊維の生糸、絹紡糸、紬糸をはじめ豊富な種類を用意する。カラー展開は最大で240色をそろえ、ソリッドカラーからミックスカラーまで幅広くラインアップ。全ての種類の糸在庫を備蓄し、小ロットや短納期のあらゆる発注に対応が可能だ。

 糸の紹介以外にも、靴下やレギンスといったレッグウエアと、インナーウエアや雑貨も展示する。

〈前多/ウール調の「リッチ」を提案〉

 石川産元商社の前多(金沢市)は、「最終製品を見据えた糸から織物までの提案」をキーワードに、高感性・高機能素材を紹介する。

 イチ押し商品はポリエステル長繊維のウール調ストレッチ織物「リッチ」で、サイド・バイ・サイドコンジュゲート系の形態回復性やソフト性、クッション性を維持しながら、特殊加工でウールのような杢感と膨らみを加えた。通年で使える素材だが、ジャケットにするとストレッチ性に加え、風が通らず暖かな着心地を実現するなど秋冬にも適した素材になっている。

 同社は織布3子会社を持ち、カーテンなどのインテリア、中東民族衣装、スポーツ、婦人、資材など幅広い用途に生地を販売する。ジャパンヤーンフェアでは独自開発糸を織物にして紹介し、拡販を狙う。

〈捲春/「思いもよらない発想」〉

 意匠撚糸製造の捲春(愛知県一宮市)は、ラッセル機を5台、リリヤーン機、プレス機を各2台、合撚機、カバリング機、コーティング機を各1台保有する。昨年、ノットヤーン機も1台導入した。これらを活用し、「思いもよらない発想」で顧客の要望を形にしている。

 ラッセル機では、ループがずれないループ糸などを作った。プレス機では、ポリエステル製撚糸に熱を加え、平たくしたり、凸凹にしたりしている。コーティング機では、撚糸にラメをコーティングしたり、樹脂を付けて風合いを変えたりした。

 ヒノキのおがくず、端材、廃材などを原料とする“ヒノキレーヨン”も国内工場に委託して生産。このレーヨンと超長綿「スーピマ」との混紡糸を、子供服、靴下素材などとして販売している。

〈モリリン/再生資源使用の機能素材〉

 モリリンは「エコメイドテクノロジー」をテーマに、リサイクル資源を使用した2種類の機能素材を中心に展示する。

 春夏向けの涼感素材として「クールマックスエコメイド」を展開。97%のリサイクル資源でできたポリエステル素材だ。ウールや綿、レーヨンといったエコを訴求可能な素材と合わせることも可能で、衣料の他に資材としての提案も強化する。

 秋冬向けは「サーモライトエコメイド」。100%のリサイクル資源が原料の中綿素材だ。空気を多く取り込む特徴があり、ダウンのように軽くて暖かい。保温性と速乾性の機能も併せ持つ。

 エコを訴求するシリーズとして「エコファミリークプロ」も展示する。衣服内環境を整えるベンベルグを中心に、環境に配慮した素材を合わせた商材の紹介も行う。

〈岐セン/天然由来の新加工を訴求〉

 岐セン(岐阜県瑞穂市)は天然由来の成分を配合した新加工を訴求し、サステイナビリティー(持続可能性)を全社的に進めていることをアピールする。

 新加工「コモガードFF ECO」は非フッ素で撥水(はっすい)加工を施す。原材料に管理の行き届いた農園で生産されたヤシの天然成分を配合した。以前に開発した「コモガードFF」の改良版だ。

 ほかにも吸水性とはつ油性を備える機能加工「コモクリーンOP」や「コモクリーンスーパーOP」なども展示し、サステイナビリティーに絡めた商品として提案する。

 同社は廃プラスチックやごみを固形燃料に使うことでリサイクルを進めている。さらに、関連会社では間伐材を活用したバイオマス事業も手掛け、林業の活性化や自然災害防止にも努めている。

〈木曽川染絨/ニットの起毛加工が強み〉

 木曽川染絨(岐阜県笠松町)はニットの起毛加工を強みとする。その高い技術力を訴求するために、複数の生地見本を用意して提案を行う。

 ニットの起毛加工は、起毛の均一化や、原反の伸縮管理に細心の注意を払う。扱う生地もフラットからパイル地まで多様だ。木曽川染絨は長年培ったノウハウを駆使し、あらゆる起毛加工のオーダーに応え続ける。

 起毛だけでなく、前段階の染色を含め生地加工を一貫して行う。天然繊維から合成繊維まで、あらゆる素材を対応可能とし、加工から逆算した最適な生地規格も提案する。

 サステイナビリティー(持続可能性)を意識した草木染めも展示する。クチナシやザクロをはじめ多種類の生地見本を用意。染色の条件整備を進めながら、衣類や雑貨向けの拡販を模索する。

〈宮田毛織工業/オンリーワンの設備と商品〉

 宮田毛織工業(愛知県一宮市)はサステイナビリティー(持続可能性)の打ち出しに加えて、ハイゲージの丸編み機によるオンリーワンの設備を使ったオンリーワンの商品をアピールする。

 キュプラ・ポリエステル混のメッシュパイル地は軽さがあり風合いも優れる。キュプラを使うことで環境にも配慮した。24ゲージの丸編み機を使用し軽さと風合いを実現。ウール・ナイロン混は既に引き合いもあり、顧客からの評判もよい。

 経編み調に見せた丸編み地は16ゲージの丸編み機を使用した。トリアセテート・オーガニックコットン混で、柄も多彩なバリエーションをそろえた。

 ほかにもジャカードのダンボールニットや、これまで展開してきたサステイナブル(持続可能な)素材も引き続き展示する。

〈森保染色/優しさ・あたたかさ・スマート〉

 森保染色(愛知県一宮市)はウールの良さを生かす染色機能加工と、将来のスマートライフ対応素材の機能加工を紹介する。出展テーマは「優しさ・あたたかさ・スマートライフ」に設定した。

 優しさとあたたかさを表現するテーマは、ウールをまとう素晴らしさや特長を最大限に生かした機能加工を紹介。ウールの柔らかさとボリュームがより際立つ加工や、丸洗いしても風合いを保つ加工を中心に訴求する。

 染色加工は糸の芯を白く残してむら感を出す中白染めや、ムラ染め、植物由来の染料を使用した草木染めを中心に展開。なんとも言えない染色の神秘的な魅力を「メランジマジック」というシリーズで展示を行う。

 スマートライフは、銅やニッケルなどの金属メッキ加工で表現。スマートテキスタイルに対応し、導電性の付与が可能だ。スマートテキスタイルとエレクトロニクスを融合し、将来の実用化に向け準備を進める方針だ。