メーカー別 繊維ニュース

PVパリ21春夏の日本勢/サステさらに深堀り/当然のエコ対応どう差別化

2020年02月14日(Fri曜日) 午前11時31分

 【パリ=泉克典】「プルミエール・ヴィジョン(PV)パリ21春夏」、とりわけ中核の生地展、PVファブリックに出展する日本企業では、合繊・天然素材の双方で、エコ・サステイナビリティー(持続可能性)の深堀りが目立つ。

 エコ素材コーナーの設置や、視覚的に明示するラベルなど見せ方の工夫もほぼ各社が採用した。そのため昨年は合言葉のように聞かれた「エコ素材はどれか」という質問は少なく、既に当然の前提として商談に望むバイヤーも多い。素材認証やトレーサビリティー(追跡可能性)の質へのこだわりも高まっており、「採用した全素材で各原料ごとに仕様素材のトレーサビリティーを詳細にリスト化し提出を求めるメゾンもある」。

 既存品で単に原料面を再生ポリエステルやオーガニックコットンなどに置き換える提案は昨年の2回でほぼ出そろい、今回はそうした素材ならではの表現を追求して差別化する姿勢が目立つ。

 タキヒヨーは”ファッションサステイナブル”をキーワードとした。日本環境設計と取り組む、使用済み繊維製品を消費者から店頭回収しケミカルリサイクルしたポリエステルによる「ブリング」を主軸に、再生ナイロン強撚糸など再生原料使いの意匠性に富む素材も充実させた。動物愛護の観点で紙糸使いに特殊加工を施しレザー調の光沢感やマット感を付けた「ペーパーレザー」シリーズも提案。テンセル使いも交え人気を博している。

 ニッケテキスタイルも、今回コレクションの半数近くでウール原料をノンミュールシングのニュージーランド産「ZQメリノ」とし、交織品でも合繊サイドを再生素材に転換。新作のほぼ全点をZQ使いでそろえた。ほかにもウール高混率でポリエステルとの特殊交撚糸による学生服地「ミライズ」ベースに、ZQウール、再生ポリエステル仕様に置き換え、家庭洗濯可能でロングライフ、天然の防汚性や消臭機能まで備える機能素材「ハイブリッドミライズ」として打ち出した。

 前回から糸・原料展のPVヤーンに出展し、ケミカルリサイクルポリエステル糸を提案する伊藤忠商事の原料ブランド「RENU」は、今回は日中韓ベトナムの各現地法人を活用したアジアでの生地作りまで一貫パッケージでパートナーの欧州アパレルと商談を進めた。織り編み双方で現状はフィラメント主体の展開だが今後はスパンも増やす。循環経済の実現というブランドコンセプトの幅出しのため、ケミカルリサイクルの調達ソースを増やすほか、生機くずや落ち綿を活用した綿のリサイクルも開発に着手している。

〈PVパリ「スマートクリエーション」エリア/日本の先端的素材力にも脚光/新顔含めいずれも盛況〉

 【パリ=泉克典】PVでは新「スマートクリエーション」エリアの注目度も高かった。従来の9月秋冬展のみ設置の企業の社会的責任にフォーカスした旧スマートクリエーションと、2月春夏展のみ設置の革新的デジタル技術の繊維への実装を紹介するウエアラブルラボが今回から一体化。環境配慮とファッションテックを切り口に具体的活用段階に入った製品・サービスを紹介する新コーナーに衣替えした。日本勢は新規出展4社に継続出展の旭化成「ベンベルグ」を加えフランス、イタリア企業に次ぐ5社が出展。その先端的な素材力が光る。

 豊島の廃棄食料由来染料による生地ブランド、フードテキスタイルは先週のミラノ・ウニカに続く欧州出展。PVではラボとしての出展のため今回はラクジュアリーラインに特化。テンセル長繊維「テンセルリュクス」へのプリント、先染めオーガニックコットンで編んだレースなど独自素材と掛け合わせたハイエンド商品を世界初披露し初日から盛況だった。

 スパイバーは微生物発酵を活用した構造タンパク質原料の繊維を展示。既に市販するアウトドアジャケットなどの製品とともにタンパク質の分子構造を独自に組み替えて繊維用に設計できる「ブルード・プロテイン」として長繊維、短繊維の原糸を紹介。2021年中にタイに設ける生産プラントでの本格量産に備える。

 デビステキスタイルのセンサイは、再生ポリエステルでストレッチ織物とニット双方をそろえるプリント下地に、無水染色技術「エアダイ」を組み合わせたエコな製品ソリューションを提案。既にPVファブリックの同社ブースでも紹介してきたが同エリアではカジュアル攻略に特化する。エコな製造プロセスに加え、独自プリントソフトウエアによる繊細な表現、両面プリントも可能。例えばデニムをステッチまで超精細に模倣した柄裏に全く別のプリント柄を同時に置ける。大手ジーンズアパレルからの引き合いも既にあるという。

 小松マテーレは染色廃棄物の余剰バイオマスケイクを焼成し、屋上緑化などに使用する発泡セラミック材「グリーンビズ」を紹介。繊維加工の生産プロセス全体を見渡し、廃棄物にも無駄なく付加価値を与えて有効活用する、PVファブリックの本ブースでも柱となる「アップサイクル」の企業姿勢を示している。

 旭化成はキュプラ繊維「ベンベルグ」のグローバルリサイクルスタンダードと生分解性の両認証取得を機に、原料・廃棄後という商品ライフサイクルの両端での地球環境内での循環性の訴求を欧州で強化した。