メーカー別 繊維ニュース

特集 小学生服(1)/一定の需要確保に動く

2020年02月18日(Tue曜日) 午後5時11分

 小学生服市場は、少子化に伴って縮小が進んでいる。ただ、ニッケによると近年10%程度で推移していた全国の制服採用率は、足元で数%上昇。新たな機能の打ち出しや制服を採用していない小学校との接点作り、学校を文化や教育の面でサポートする提案などを進め、学生服メーカーは一定の需要の確保に動く。

〈生徒数は過去最少に/制服文化の後押しを〉

 昨年12月に文部科学省が発表した令和初の学校基本調査(確定値)では、2019年度の全国の小学校数が前年度比154校減の1万9738校となった。18年度に1948年の統計開始以来初めて2万校を下回ったが、減少に歯止めがかからない。

 生徒数はさらに減少が目立つ。18年度は2万人程度の減少だったが、19年度は5万9千人減り636万9千人と過去最少。引き続き、最多を記録した1958年の1349万人の半分にも満たないのが現状だ。

 厚生労働省の発表で19年の出生数が90万人を割り、86万人程度となったことは記憶に新しい。90万人割れが予想より2年ほど早まり過去最少となる見通しで、少子化への危機感はこれまで以上に強まっている。

 全国の小学校の制服採用率は、標準服を含め10%から数%上昇し、各社とも拡販したい思いはある。ただ、中学校、高校より生徒数が少ないことも多く、採算面で供給が難しいことも否めない。今後も制服文化の掘り起こし、需要の創出が課題となる。

 学生服メーカーにとって、学校との接点作りが古くて新しい課題であり続ける一方、小学生服市場の環境変化で制服の採用が求められるケースもある。昨今では景気の伸び悩みから経済格差が問題となり、自由服から制服に切り替える動きがある。

 併せて、少子化の進行で小学校と中学校が一貫校となり、一貫校としてのスタート時に小学校で新しいデザインの制服が決まることも少なくない。

 東大阪市立くすは縄手南校(大阪府東大阪市)は19年4月、縄手南小学校と縄手南中学校が一つの学校となり誕生、小中で施設分離型ながら同じデザインの制服を採用した。

 需要に影響する環境は変わっても、交通における緊急時の見守りや学校の特定のしやすさなど、社会的に求められる制服の価値は変わらない。今後もその意義の見直しやサポートの仕方は模索し続ける必要がある。

〈小ロット化など課題山積/新たな軸の開発が進む〉

 少子化が進む中で、当然ながら小ロット化も加速している。小学生服は中高生向けに比べ製品のサイズが小さく、生産に工数がかかる。昨今の原材料費や人件費の高騰も経費を圧迫し、学生服メーカーからは「コスト対応をどうするか検討を続けている」との声がある。

 コスト削減が課題である一方、付加価値の訴求も求められる。上衣ではサイズ調整機能、ストレッチ性、家庭洗濯ができる洗濯耐久性などが定番の機能と言っていいが、各社はその質の向上に努めている。「モノ作り次第で一定の層を獲得できる」(明石スクールユニフォームカンパニー〈SUC〉スクール第一販売部の江藤貴博部長)など差別化の必要性を訴える声が共通しており、それぞれが取り組みを進めている。

 中でも、ニットの機能性を生かしたアイテムに注力する傾向は続いている。明石SUCは、ニットシャツ「ラクポロ」の販売が前年比10%増と堅調に推移。イージーケア性はもちろん、防汚・抗菌・消臭に優れた空気触媒加工「ティオティオ」が学校や保護者に評価される。同じ機能を付与したニットの給食着も、17年から販売を始めたばかりで母数は小さいが、前年比80%増と好調。江藤部長は「織物の倍近い価格でも売れている。ラクポロでは(高い品質を志向する)意識が根付いてきており、給食着でも根付かせたい」と話す。

 菅公学生服は、中高向けで織物に近いフォーマル感があるニットシャツ「カンコーインフィニスタ ドライノーアイロン」を訴求。アイロン掛け不要で、速乾性、ストレッチ性などが評価され、19年には日本デザイン振興会主催のグッドデザイン賞を受賞。小学生向けでも「拡販の余地がある」(学生工学研究所の三宅利明部長)とみている。

 同じく織物調のニット素材をアピールするのがトンボ。ストレッチ性を高めてより快適な着心地を実現したニット素材「ミラクルニット」で、詰め襟服やブレザーなど中高生向けの商品に評価を得ている。今後、小学生服でも「商品化を視野に開発を進める」(恵谷栄一取締役営業統括本部副本部長)。

 オゴー産業(岡山県倉敷市)は、ダブルフェース生地使いで防風性が高いスポーツニット「アクティ」で別注の拡販に動く。フライス部分の多色展開や、ワッペンなどの付属によるバリエーションの充実で「独自性を出す」(片山一昌経営企画部長)。

 機能面で新たな傾向も見えてきている。小学生は中高生に比べて制服を汚しやすく洗濯の頻度が高いことから、「汚れが付いても洗濯で落ちやすい」商品が増えつつある。オゴー産業は14年からこのコンセプトで商品を投入。メインブランド「鳩サクラ通学服」で、「汚れを付きにくくする」という従来の発想を転換して親水性を重視した加工「ウオッシャブルマジック」を施した商品を開発した。販売から5年が経ち、「商品の特徴が浸透してきている」。

 トンボも19年から、汚れても洗濯がしやすいポロシャツを打ち出した。大手素材メーカーと協力して開発した新しい加工で、抗菌性に優れており繊維中のウイルスの繁殖を抑えることができる。5千枚の初ロットが完売し、現在は倍の1万枚を生産している。

 商品の打ち出しを強化する一方、「教員が学校自体のブランド戦略を考えており、支援が必要」(トンボの恵谷取締役)など、制服以外のさまざまな側面から学校のサポートを訴える声も強まってきた。

 学校の文化振興を図るトンボの「WE LOVE トンボ絵画コンクール」のほか、社会課題の解決や生徒の自立支援に向けた菅公学生服の教育ソリューション、災害の頻発を踏まえた明石SUCの防災教育など新たな領域で開拓を進めている。