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特集 事業戦略Ⅱ(1)/富士紡ホールディングス/生産管理徹底でOEMも/生産工程でSDGsを重視/常務執行役員 繊維事業統括 藤岡 敏文 氏

2020年02月27日(Thu曜日) 午後1時13分

 富士紡ホールディングスは繊維事業の構造改革を進めている。主力のインナー製品事業は流通構造の変化に合わせてネット通販などの拡大を進め、紡績と染色加工の繊維素材事業は高付加価値品への特化を進めることで販売数量よりも利益の拡大に重きを置く戦略を一段と鮮明にした。製品OEMの拡大やSDGs(持続的な開発目標)に対応した生産プロセスの導入に取り組む。

  ――今期(2020年3月期)の繊維事業の状況をどのように見ていますか。

 全体として非常に厳しく、減収減益で推移しています。インナー製品の販売も減少していますし、糸・生地も芳しくありません。インナー製品は流通構造変化の影響を大きく受けています。フジボウアパレルの「BVD」ブランドはGMSや量販店が主力販路ですが、こうした取引先はいずれも衣料品売り場を縮小しており、さらにプライベートブランド(PB)の販売を増やしました。売り場が減少し、さらに残った売り場でPBと競争するとなると現状を維持するのも難しくなるのが現実です。アングルの主力販路である百貨店も同様です。地方の店舗閉鎖・縮小が続いており、現在はアングルの製品を販売している実店舗は都市部だけになっています。売り場が縮小されるとFA(ファッションアドバイザー)を派遣する経費負担も大きくなり、結果的に撤退せざるを得なくなるケースもあります。

 一方でネット販売は順調に拡大しています。現在、自社サイトのほかネット通販モールを通じたBVDの販売は売上高の10%を占めるまでになりました。アングルも今期からネット通販と電話受注を本格化させています。アングルは購入者の年齢層が高いため、電話受注もかなりあります。

  ――紡績と染色加工事業は。

 糸も販売量が減少しており、特に今期は落ち込み幅が大きい。やはり国内での糸需要減退の影響が顕著です。紡績のフジボウテキスタイル大分工場(大分市)は高級ゾーン向けの糸に特化していますが、百貨店に代表されるように高級ゾーンの店頭市況は良くないことが販売量減少の背景にあるのでしょう。一方、染色加工のフジボウテキスタイル和歌山工場(和歌山市)は2年前から高付加価値加工に特化し、受注量よりも利益率を重視する営業戦略に転換したことで成果が出ており、今期も減収ながら増益で推移しています。工場のスタッフが直接営業に走り回っており、技術面や納期などで具体的な商談ができることが強みになっています。産地との連携も強め、特に欧米に生地輸出している産地企業との取り組みが拡大しています。

  ――一方で織物販売からは撤退を決めました。

 これまでフジボウテキスタイルのファッションテキスタイルセンター(静岡県浜松市)が産元として業務を続けてきました。規模こそ縮小しましたが、現在も赤字にはなっていません。ただ、現場のスタッフが世代交代の時期を迎えています。織物販売の将来性を考えると、この事業に新たに人的資源を投入するよりも、他の事業で活躍してもらうべきだと判断しました。

  ――海外子会社の状況はいかがですか。

 タイのタイフジボウテキスタイルとジンタナフジボウはBVD向けの紡績、編み立て、縫製が主力ですから、やはりBVDの販売数量減少に合わせて人員規模を縮小しました。中国の富士紡〈常州〉服装は協力工場に委託する縫製の生産管理を担っていましたが、1月からその業務も富士紡〈上海〉商貿に移管しました。富士紡〈常州〉服装は手続きが終われば清算することになります。

  ――来期の課題と重点戦略は何でしょうか。

 アパレル製品は、まずネット販売の拡大です。早期に現状から倍増させたい。特に自社サイトでの販売を拡大させたいので、そのためのマーケティング費用もある程度は投じます。その上で自社ブランド製品だけでは業容の拡大が難しいのも現実です。そこで生産設備を生かして製品OEMの受注獲得も進めます。そのためにジンタナフジボウで生産コスト管理を強化する取り組みを進め、今期で新しい管理手法も確立しました。今後は新規取引先の開拓を進めます。

 紡績は、受注生産型への転換をさらに進めます。そのために工場の生産体制も見直す必要があるでしょう。加工事業は新しい付加価値加工をどれだけ開発できるかがポイント。その上で新型染色加工機の更新・導入を進め、水使用量を削減するなどSDGsに対応した生産プロセスを強化します。こうした要素は、取引先が取り組む欧米へのテキスタイル輸出では前提条件となっているので重要性は一段と高まっています。