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特集 事業戦略Ⅱ(2)/シキボウ/国内外ともSDGs重要/海外市場開拓へルート作り/上席執行役員 繊維部門長 加藤 守 氏

2020年02月27日(Thu曜日) 午後1時14分

 「国内、海外ともにSDGs(持続可能な開発目標)への対応が重要になっている」――シキボウの加藤守上席執行役員繊維部門長は指摘する。このため「エコテクノ」ブランドで環境配慮やSDGs対応素材を改めて打ち出すとともに、国際綿花評議会(CCI)が認証する「コットンUSA」マークの活用を強化する。今年からベトナムに駐在員事務所を開設するなど東南アジアを中心とした海外市場の開拓にも力を入れる。

  ――2019年度(20年3月期)をここまで振り返ると。

 繊維事業は全般的に苦戦した1年でした。ただ、前年度と比較すると同じ苦戦でも中身はかなり変わってきました。一部で好転の兆しも見えています。例えば中東民族衣装用織物の輸出は低迷していた市況も底入れし、好転しています。ようやく工場稼働も計算できるだけの受注量になってきました。原糸販売も国内生産を縮小したことで減収にはなっていますが、利益率は改善しています。一方、厳しくなってきたのがユニフォームです。流通在庫が増加しているためか、備蓄アパレル向けの販売に勢いがなくなってきました。ただ、値上げしたことで採算はなんとか維持できています。

 このため第3四半期(19年10~12月)までは業績もかなり改善していました。前年度も第4四半期(1~3月)にかなり盛り返しましたから、今期も期待していたのですが、ここにきて状況が変わってきました。前年度ほど勢いがありません。特にニット製品などは暖冬の影響で冬物の販売が振るわず流通在庫が増加しています。このため当社が主力とする春夏物の受注が遅れ気味です。さらに新型コロナウイルスによる肺炎の流行で中国での生産や納期に影響が出る可能性があり、不安要素となっています。

  ――海外子会社の状況は。

 利益率は改善が進みました。清算中の上海敷紡服飾を除けば全社が黒字を確保しています。インドネシアの紡織加工子会社、メルテックスは定番糸こそ苦戦ですが中東民族衣装用織物の回復で生機・加工反ともに復調しました。現地向けの資材用加工反も回復です。中国の寝装関係子会社である上海敷島家用紡織と湖州敷島福紡織品も羽毛側地が堅調でした。グループ会社の丸ホームテキスタイル向けが中心ですが、丸ホームテキスタイルが健闘しています。1月にはベトナムのホーチミンに駐在員事務所を開設しました。これによりグループ会社である新内外綿のタイ子会社、JPボスコを含めると、アジア地域はインドネシア、中国、タイ、ベトナムに生産や販売の拠点を持つことになります。やはり国内市場だけでは将来性に限界がありますから、東南アジアから欧米への商流に参画することが重要。いわゆる“外・外”がキーワードです。既に原糸はベトナムでの生産と販売が拡大していますし、丸編み製品を中心とした縫製品も悪くありません。さらに今後は糸・テキスタイルを拡大していきます。こうした事業は当社単独では難しいですから、取り組み先となるパートナーを探すことが重要になります。それもベトナム事務所の役割です。

  ――20年度(21年3月期)の課題と戦略は。

 糸売りは新内外綿とも連携しながら、産地企業との取り組みを強化します。テキスタイル・製品は、これまでユニフォーム地など織物とカジュアルを中心としたニット生地・製品でそれぞれ担当部署を分けていましたが、この垣根を取り払う組織に改革します。近年、ユニフォームのカジュアル化が進んでいますから、それに合わせた生地提案が欠かせません。そこでユニフォームと原糸・ニットの担当が連携できる体制を作ることが狙いとなります。海外販売の拡大もポイントです。ターゲットはミドル層から富裕層に向けた商品ゾーンです。それなら国内生産する糸を提案するチャンスもあるでしょう。そのためのルート作りを進めます。悪臭対策機能剤「デオマジック」も海外、特に中国で営業ワークを進めています。このほど中国の協力工場に生産設備を入れて量産体制も整えました。これも富裕層がターゲットの商品です。

 国内外ともにSDGsへの取り組みが一段と重要になりました。そこで国際綿花評議会の「コットンUSA」マークとの連携を強化し、コットンがサステイナブル(持続可能)な繊維である点を打ち出します。さらに環境配慮型商品を「エコテクノ」ブランドとして提案します。さらにコットンだけでなく環境配慮型のポリエステルの活用にも取り組みます。その一つとして燃焼しても二酸化炭素の発生を抑える特殊ポリエステルを使った「オフコナノ」も開発しました。こうした商品を開発していくことが重要になります。