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特集 事業戦略Ⅱ(3)/ダイワボウレーヨン/生分解、リサイクル前面に/大和紡績と連携で新領域も/社長 福嶋 一成 氏

2020年02月27日(Thu曜日) 午後1時15分

 ダイワボウレーヨンは、分解性などを前面に打ち出し、サステイナブル(持続可能)な素材としてのレーヨンの認知度を高めることを目指す。廃棄綿布や使用済み綿製品をレーヨン原料としてリサイクルするコットンリサイクルセルロース繊維の実用化にも取り組み、SDGs(持続可能な開発目標)への対応を進める。ダイワボウグループの繊維事業再編に合わせて、大和紡績との連携も強化。新領域の開拓に取り組む。

  ――2019年度(20年3月期)も残りわずかです。ここまでの商況を振り返ると。

 19年度は相次いで“クライシス(危機)”が発生した年でした。香港の混乱、日韓対立、異常な暖冬、米国とイランの対立激化、そして新型コロナウイルスによる新型肺炎の流行です。その都度、事業環境に悪影響が及びました。当社も香港を経由した販売があるのですが、政情悪化でビジネスが停滞しています。日韓対立で日系SPAの韓国での販売量が減少しましたが、そこでも当社のレーヨンが採用されていました。異常な暖冬で冬物の店頭商況は危機的な状況ですが、やはり吸湿発熱インナーなどでレーヨンが使われています。流通在庫の増加で春物向けの販売にも影響は必至でしょう。年が明けると米国とイランの対立では一時的に原油価格が急騰しました。そして現在の新型コロナウイルス問題。生産・販売ともに何らかの影響を受けることになるでしょう。

 事業環境が悪化する中で、中国でのレーヨン短繊維価格は大きく下落した状態が続いています。元々、19年は一部メーカーが増設したプラントでの生産が立ち上がってくることが予定されていましたから供給は増加することが分かっていました。そこに米中貿易摩擦で中国の景気が後退し、レーヨン需要も減退しました。需給バランスが一気に緩んだことで相場も崩れています。

 このため今期は特に下半期(19年10月~20年3月)が苦戦しました。紡績用途は想定以上に厳しかった。中わたなど新規用途での採用が据えていたのでもう少し販売量を伸ばせると踏んでいたのですが、十分ではありませんでした。もっと商品開発で工夫が必要です。

 不織布用途は前向きな話が増えています。例えば撥水(はっすい)レーヨン「エコリペラス」は衛材分野で採用に向けた試作案件が増えています。このように非常に厳しかった年ですが、わた値が低迷する中で原料サプライヤーに助けられた面もあります。なんとか前年度並みの数字を確保したいと考えています。

  ――20年度(21年3月期)に向けた課題と戦略は。

 SDGsに向けた商品を前面に打ち出します。これは世界の大きな潮流です。具体的にはレーヨンの生分解性とリサイクルなど。特に生分解性繊維への要求はディスポーザブル(使い捨て)製品の分野で関心が高まっています。当社は海水中での生分解性も確認した「エコロナ」を開発しており、国際認証も積極的に取得を進めています。生分解性だけでなく食品接触安全性の認証も取得しました。このため生分解性を軸にしながら、食品包装やメディカル用品、衛生材料などさまざまな市場に可能性が広がります。

 廃棄綿布や使用済み綿製品をレーヨンの原料としてリサイクルした「リコビス」もアパレルからの関心が高い。例えばダイワボウアドバンスがライセンスブランド製品でリコビスを採用し、提案を進めています。20年度はコットンリサイクルセルロース繊維で何らかの実績を作ることを目指します。機能レーヨンも衣料用途だけでなく中わたなど用途を拡大することが重要になります。

 生産プロセスに関しても環境負荷低減の取り組みを進めます。既に漂白工程の一部を非塩素系の加工プロセスに変更しています。残りのラインに関しても可能な限り非塩素系への転換を進める考えです。

  ――ダイワボウグループの繊維事業が再編となり、4月から大和紡績が繊維事業の中核会社となります。

 当然ながらダイワボウグループとしての連携も強めます。特に人材や技術面で大和紡績との交流・連携を深めます。資金力なども強化されますから、大和紡績と連携することで新しい領域の事業に参入することも構想しています。

 現在は新型コロナウイルス問題があって不透明な面もあるのですが、それでも中国での販売が大きくなっていますから、やはり現地に販売拠点が必要になってきました。大和紡績も中国に新たな営業拠点を設けることを検討しています。これも連携して取り組むことになるでしょう。