ベンベルグの時代 サステ機運を追い風に(7)

2020年03月10日(Tue曜日)

CSV対応をさらに強化 教育支援から地域貢献も

キュプラ繊維「ベンベルグ」は旭化成が世界で唯一生産するオンリーワンの存在であり、エコロジー、サステイナビリティー(持続可能性)な繊維でもある。綿実油の生産時に発生する副産物、コットンリンターを原料とし、独自技術によって環境に配慮した生産を行う。繊維は生分解・堆肥化するため、サーキュラー性を持ったサステイナブル(持続可能な)素材でもある。

 生産体制も含めて環境配慮関連認証の取得、評価の導入も積極的に進めてきた。2001年に「エコテックススタンダード100」、03年に「ISO14001」認証を取得し、16年にはLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)評価を導入した。さらに生分解性繊維である点を証明する「イノブハブ―SSI」認証も取得。そして、リサイクル原料を使用しトレーサビリティー(追跡可能性)のある生産体制を評価する「GRS(グローバル・リサイクルド・スタンダード」認証も17年に取得したが、そこにとどまらない。さらに先を見据えてCSV(共通価値の創造)に向けて動き出している。

 八神正典ベンベルグ事業部長は「当たり前の基準が急速に変化しており、もはやCSRではなく、CSVを前提にした活動が当然になっている」と指摘。社会問題解決と経済的利益を追求し、双方に相乗効果を生み出すアプローチは不可欠で、CSVに対応できない事業は継続が難しくなるとも言う。

 SDGs(持続可能な開発目標)で定められた17ゴール、169ターゲットもこの考え方に基づく。ベンベルグはこれまでの原料だけでなく、製品まで踏まえた環境負荷の低減や社会貢献活動に取り組んできたが「今後もベンベルグならではの活動をより強化する」考えだ。

 16年からは国連開発計画が主導するビジネス行動要請(BCtA)に参加。若手人材の育成、教育支援、中小規模工場の生産性向上に取り組むが、これをさらに強化するとともに、コットンリンターの調達システムの改善を通じた地域貢献も目指す。

 原料調達の透明性を高めるとともに、付加価値の高いコットンリンターを調達するもので、仕入れ先になるオイルミルや認証団体などとの連携を強化・農園への技術支援や労働環境の改善を通じて、安定した雇用や収入の創出を支援する。

 CSVを追求する一方、基盤である延岡事業所のベンベルグ工場もサステイナブルな生産体制を強化するため、さまざまな工夫を凝らす。