ベンベルグの時代 サステ機運を追い風に(8)

2020年03月11日(Wed曜日)

温室効果ガスさらに削減/ 水力発電や新紡糸技術で

旭化成のキュプラ繊維「ベンベルグ」はコットンリンター(綿花の種の周りに生えるうぶ毛)という未利用繊維を原料とし、生分解性などを持つサステイナブル(持続可能な)繊維として、国内外で評価を高めている。

 ベンベルグの生産を担うベンベルグ工場(宮崎県延岡市)もサステイナビリティー(持続可能性)を重視し、工夫を凝らす。

 ベンベルグ工場は既にサステイナブルな生産を行っている。その一つが、同社が保有する水力発電とバイオマス発電の活用だ。旭化成延岡地区では2015年度の段階で総エネルギーのうち、水力発電とバイオマス発電を含めた再生可能エネルギー比率が実に40%にも達する。さらに排熱利用や熱ロス削減などで無駄を抑え、省エネ化を推進する。ちなみに14年度の日本の発電量のうち、再生可能エネルギーの導入は12・2%にとどまる(資源エネルギー庁)。

 廃棄物のゼロエミッション化も進んでいる。16年の段階でゼロエミッション化率は99・8%。原液廃棄物はキノコの栽培用菌床の再利用やバイオマス発電の原料として活用するほか、規格外糸は作業用手袋への再利用が進む。

 こうしたサステイナブルな生産体制をじかに見ることができる。社会活動の一環として工場見学を行っているからだ。もちろん、需要家も訪れる。特にサステイナビリティーの意識が高い欧米の需要家はベンベルグ工場をよく訪れるそうだ。

 そのサステイナブルな生産体制を強化し、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出をさらに削減する。その一つが再生可能エネルギーの拡充だ。既に発表しているが、延岡事業所では21年10月に水力発電設備を改修し、発電能力を増強。石炭発電設備は燃料を液化天然ガス化し22年に運転を始める。これらによって、温室効果ガスの発生をさらに削減する。

 ベンベルグの生産工程でもエネルギー使用量削減に取り組む。19年度から技術開発に着手した、紡糸技術の革新によるものだ。再生可能エネルギーの拡充と新紡糸技術。これらを組み合わせることで「ベンベルグ工場では温室効果ガスの発生量を13年に比べて半減させる」(矢野達也ベンベルグ工場長)と言う。

 生産開始以来、今年で89年目となるベンベルグ。環境配慮型工場を目指した取り組みはまだまだ続く。それは糸・わたにとどまらない。加工技術でも同様に行う。