今年注目の糸はこれだ!

2020年03月11日(Wed曜日)

「ジャパン・ヤーン・フェア」で見たトレンド (下)

希少性求める 声が一段と

 いつの時代も希少性は、衣料素材選択時の重要な要件だ。製品の「ストーリー性」を重視する流れの中で、これを求める声が一段と強まっている。

 綿紡績の旭紡績(大阪府泉南市)は、太さが特徴のペルー産アスペロ綿を素材とする糸を、織物、編地、靴下用途へ供給してきた。そのアスペロ綿の生産量が減少傾向にあるため希少性が高まり、注目度が増しているという。

 紡毛糸を製造販売する大津毛織(大阪府泉大津市)は、安定的に調達することが難しい16・5¥文字(G0-ACA3)㍍という細いウールを素材とする紡毛糸を生産している。この糸の売れ行きが拡大している。

 横編み用紡毛糸を製造販売する深喜毛織(同)は、豪州南東部のクーマ地区で飼育されるラムの毛を使った糸を備蓄販売している。ハリ・コシがないのが特徴のクーマラムと普通のラムをブレンドした独特な感触が受け、売れ行きがこの2、3年伸びているという。

 梳毛紡績の東和毛織(愛知県一宮市)は、フレンチメリノ使いの糸を10年ほど前から手掛ける。当初は顧客の反応が鈍かったが、最近になって注目度が高まった。「ストーリー性を打ち出せる」ことが受け始めたようだ。

 リリヤーン製造の高田編物(愛知県江南市)では、高密度に編んだ組みひものようなリリヤーンが人気だ。組みひもは京都で盛んに作られていたが業者が減少したため、注目度が高まっていると言う。

 和装小物製造のアンドウ(京都市)は、廃業した日本のガラ紡工場の紡機1台を、同社のラオス工場に移設し、同国でガラ紡糸を生産している。この糸を1本(700㌘)単位で備蓄販売することを今回展で告知。「思った以上の反響」を得た。

和紙人気でスペース不足

 和紙を使った糸が多様化している。このこともあってか、和紙糸への注目度が一気に高まった。

 ニット糸製造卸の滝善(愛知県一宮市)は、1980年代初頭から和紙使いの糸の販売に注力してきた。ここに来て、美濃和紙を使った糸への注目が一段と高まっている。トスコでも、和紙100%糸への引き合いが、一昨年から「急に増えている」。

 機能性や意匠性を高めた和紙糸も人気だ。撚糸・タオル製造販売の浅野撚糸(岐阜県安八町)では、特殊な方法で撚糸することで、ストレッチ性を持たせた和紙糸が注目されている。カバード糸製造の川プロ(石川県かほく市)は、ポリウレタンに和紙をカバリングした糸を以前から販売していた。この糸への引き合いが「昨年も多かったが、今年はもっと多くなっている」と言う。モール糸製造の青山繊維加工(愛知県一宮市)でも、和紙を使った糸への注目度が高まっている。

 このような需要増を受けて、和紙を作る際に必要なスリット工程を請ける工場のスペースが不足し始めているようだ。「スリットを引き受ける工場が日本に2、3社しかない」ためだと関係者は言う。(おわり)