ベンベルグの時代 サステ機運を追い風に(9)

2020年03月12日(Thu曜日)

環境負荷低減の新加工 /フィブリル時間を短縮

旭化成は2017年、キュプラ繊維「ベンベルグ」で、環境負荷の低いフィブリル加工「ベルティーン エボ」を開発した。ベンベルグは各種環境関連の認証を取得するなどエコロジー、サステイナビリティー(持続可能性)繊維として認知されている。一方でベンベルグの後加工は誰でもできるわけではなく、難度が高い。このため、同社は数多くの加工技術者を構え、加工場を支えてきた。

 ただ、アウター向けで不可欠なフィブリル加工は時間、エネルギー、つまりコストがかかる。それをいかに短縮できるかはサステイナビリティーの機運が高まる中で、重要性が高まっていた。解決策として開発したのがベルティーン エボになる。

 これまでのフィブリル加工は日本で5時間から5時間半かかっていた。欧州ならば8時間も必要になるが「全く異なる手法」(實松照剛ベンベルグ生産業務部技術・開発担当総括)によってベルティーン エボは加工時間を1時間半に短縮。この結果、温室効果ガス排出量は16・5%減、エネルギー資源総消費量は21%減、生産工程における電気使用量20・5%減、熱エネルギー15・9%減、使用水量は19・5%減を実現した。

 その量産化を担う1社が日本化繊(愛知県一宮市)だ。「ベンベルグの加工では長い付き合いがある。信頼関係を築けており、技術力も高い」と實松担当総括。日本化繊と連携しながら量産化技術を確立した。日本ではその他、小松マテーレもベルティーン エボを担当し、海外ではイタリア4社、ポルトガル1社、トルコ2社が技術導入。量産化に向けて動き始めている。「最終的には全てのフィブリル加工をベルティーン エボに切り替える」計画と言う。

 さらに先も見据えて進化版を現在、準備中。現在のバッチ加工を連続加工に切り替えてさらに環境負荷を下げる取り組みだ。既に基礎技術は確立し、21年3月期中に投入したい考えだ。同時に染色加工での環境負荷低減技術の開発も進める。

 ベンベルグは裏地を除けば、糸売りが基本。糸がサステイナビリティーでも、テキスタイルにする際に環境負荷が大きければ、その良さも薄れる。

 同社は後工程も意識したサプライチェーン全体での環境負荷低減を目指している。そのためにも日本の加工場の重要性は高い。實松担当総括は「現場での量産化技術を確立するには日本の加工場の存在が不可欠。それがなければベンベルグもすたれていく」と言い切る。