ベンベルグの時代 サステ機運を追い風に(10)

2020年03月13日(Fri曜日)

環境負荷低減を訴求 /ブランド浸透に向けて

旭化成は2017年からキュプラ繊維「ベンベルグ」をエコロジー、サステイナビリティー(持続可能性)に対応する環境負荷低減素材としての打ち出しを一層、強化してきた。

 それに伴うマーケティング戦略を取りまとめてきた、繊維マーケティング室の達家久子シニアコーディネーターは「環境負荷低減の素材としてのベンベルグを訴求するとともに、マーケットから求められる基準に付いていけるように、製造現場にも提案しながらブランド価値の向上につなげたい」と話す。

 ベンベルグそのものは生まれながらの環境負荷低減素材。その一つが生分解性だ。その特性を理解してもらえるように、土中において一部が生分解したベンベルグ使いのシャツやドレスを製作し、国内外で開く展示会で披露してきた。「来場者が肌で感じられるような」工夫も凝らしている。

 こうしたインパクトのある試みを行いながら、ベンベルグが環境負荷低減素材であるという点を理解してもらうだけでなく、ベンベルグというブランドの認知度向上に取り組んでいる。

 ベンベルグは国内外でアウター、インナー・レッグ、裏地、民族衣装、寝装寝具などさまざまな用途に使われている。それぞれが別々にブランド戦略やプロモーションを手掛けていてはブランドそのものが浸透しない。

 ベンベルグはかつて3ブランドがあり、国内外の用途によって異なるプレゼンテーションを行っていた時期もあった。そこで「さまざまなガイドラインを作成し、同じイメージ・ビジュアル、同じ言葉でベンベルグを表現する体制に変えた」と言う。

 そのブランド戦略によってベンベルグは国内外で浸透し始める。18年秋には欧州でもベンベルグ商標に統一することを発表した。「これを第一ステップとして“キュプロ”が浸透する欧州でもベンベルグの認知度を向上させていきたい」と話す。

 今やエコロジー、サステイナビリティーを重視する時代へと変化しつつある。生まれながらの環境負荷低減素材のベンベルグには追い風が吹いている。今はまだベンベルグではなく、キュプラと呼ぶ人はいる。「中にはベンベルグとキュプラは違うものだと認識している人もいるかもしれない」。これを打破するためにも、ブランド戦略をさらに強化する。サステイナビリティー素材としても認知された、ベンベルグが一般名称のように呼ばれる日を目指して。(おわり)