産資・不織布通信(28)

2020年03月16日(Mon曜日)

防災分野でも社会に貢献

テント・膜構造物大手の太陽工業(大阪市淀川区)。近年、改めて“膜や”を名乗ることで建築、物流、そして防災など幅広い分野でテント・膜材の可能性を追求している。特に最近では防災分野で地方自治体との連携を深めるなど存在感を高めた。新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的流行)に対しても同社の製品への要望が急速に高まる。

 1922年に前身の能村テントとして創業した同社は、テント・膜材・膜構造物のパイオニアといえる。70年の日本万国博覧会(大阪万博)ではアメリカ館や富士グループ館に同社の大規模膜構造物が採用され、これが日本における膜構造物の認知度を高める出発点となった。88年には東京ドームの屋根膜の製造と施工を担当し、現在でも埼玉スタジアム2002、東京駅八重洲口グランルーフ、大阪のユニバーサルシティ駅、成田空港など誰もが知る大型膜構造建築を手掛けている。

 その存在感は海外でも大きい。イスラム教の聖地メディナ(サウジアラビア)に設置された大型アンブレラは世界中から集まる巡礼者を砂漠の強い日差しから守る。万国博覧会での実績も豊富だ。2010年の上海国際博覧会、15年のミラノ国際博覧会でも大型膜屋根を受注した。今年、アラブ首長国連邦ドバイで開催されるドバイ国際博覧会の中核施設「アル・ワスル・ドーム」の膜ファサードも同社が手掛ける。

 最近では防災・災害対策製品が注目されている。金属メッシュの箱型枠に不織布を貼り、内部に土砂を入れることで短時間で土堤を設置できる「マックスウォール」が河川の水位上昇時の緊急対策のかさ上げ工事用として採用が進む。堤防決壊防止シート「ブリーザブルーシート」も開発した。防水シートを堤防の外側に溶着縫製しながら大規模に張ることができる。

 防災・災害は災害発生時に迅速に製品を被災地に提供する必要がある。このため同社は自治体と緊急時に物資を提供するための災害協定を結ぶ取り組みを進めている。

 新型コロナ感染症がパンデミックとなる中で、同社が製造販売する「医療用陰圧テント」への国内外からの要望が急激に高まった。これに応えるためにこのほど増産体制を敷くこと決めた。4月中に月産100基の生産を実現、最終的には年間1千基生産を計画する。

 膜の力で社会的課題の解決に貢献することを目指している。

 (毎週月曜日に掲載)