両角みのりのイタリアモードの今(22)

2020年03月19日(Thu曜日)

新型コロナに揺れるイタリア

団結はパワーを生む

中国・武漢に端を発した新型コロナウイルスの流行で、イタリアは世界2番目の感染者数となった。イタリア国内では13日(現地時間)時点で、同ウイルスの感染者が1万2832人、死者は1016人、回復者1258人に上る(PDR検査8万6011件中)。イタリアのジュゼッペ・コンテ首相は9日、イタリア全土の移動制限措置を発令、12日から生活必需品の販売店、薬局、スーパーマーケットを除く全ての商業と小売販売活動の休止を決定。歩く人も少なく、街はひっそりとしている。

 ウイルスの感染源が中国(高級品の主要市場)に限定された当初から、イタリアのモーダ界はこのウイルスと戦う最前線にいた。2月18日、「ドルチェ&ガッバーナ」がイタリアで最初に重症急性呼吸器症候群(SARS)の主要病原体の分離に成功したミラノのサンラファエレ病院のウイルス学者たちとヒューマニタス大学が開発した研究プロジェクトに資金を提供して以来、各ブランドからの寄付が相次いでいる。

 「ブルガリ」は、最先端の顕微鏡画像システムの購入への援助をした結果、新しい3D顕微鏡がローマのラザロスパランツァーニ病院に導入の運びとなった。「ジョルジオ・アルマーニ」は、ミラノにある感染患者指定病院のサッコ病院や癌研究所などへ125万ユーロの寄付を発表。「エトロ」は新型コロナの感染拡大回避のために、ミラノのサッコ病院のウイルス学研究所に寄付を行った。

 「グッチ」のマルコ・ビッザーリ社長兼CEOは、感染患者が多いレッジョ・エミリア州保健当局に10万ユーロを個人的に寄付。ベネトン家の持ち株会社であるエディションは、ミラノとローマの四つの病院機関のプロジェクトへの支援として300万ユーロを寄付。ケリング社は、ロンバルディア州をはじめとする4州の医療機関に200万ユーロを寄付した。

 このウイルスとの戦いは、前述したさまざまな資金提供の点だけでなく、コモのシルク産業における大手2社であるマンテーロとラッティの企業提携の発表のように、企業の社会的責任という観点でも行われている。この伝統ある大手2社の提携は、製品と素材の共有、生産的なバックアップ、情報交換などにより生産活動が保護されるだけでなく、経済的な打撃から社員を守るという団結の決意表明でもある。

◆もろずみ・みのり 15年前にイタリアに渡り、建築デザインとファッションを中心とした企業視察や通訳を務める。2016年からImago Mundi代表。