メーカー別 繊維ニュース

2020年新年号/産業の発展支える検査機関

2020年01月01日(Wed曜日) 午後4時15分

 繊維産業は厳しい経済環境の中で、持続可能な発展を目指す。検査機関はそうした変化に対応した取り組みを進めている。

〈カケン/SDGsの取り組み強化〉

 カケンテストセンター(カケン)は昨年10月にテキスタイルエクスチェンジ(TE)、11月にはZDHC(環境系への有害化学物質の排出ゼロを目指す企業連合)に登録加盟した。海外の環境配慮団体との取り組みを通して「SDGs(持続可能な開発目標)への対応を強化」(北川義人専務理事)する。1月29日には神戸市東灘区に「環境化学分析ラボ」を開設するほか、CSR(企業の社会的責任)工場監査なども行っている。

 TEやZDHCへの加盟は、環境を含めたサステイナビリティー(持続可能性)への対応を本格化するため。情報収集・提供、相談アドバイスとともに、事業化を目指す。

 環境化学分析ラボは大阪事業所の分析ラボを移転拡張した。衣料品の有害化学物質試験についてはほぼ実施可能。ZDHCのMRSL(製造時制限物質リスト)の試験業務、排水試験業務の実施も目指す。カケンはこれまで、有害化学物質の試験は海外検査機関に依存してきたが、スピーディーな対応、日本語でやり取りができるように、環境化学分析ラボとして新たに業務を開始する。

 CSR工場監査では中国の上海科懇検験服務が中国人スタッフを教育して実施する。IRCA(国際審査員登録機構)に準拠した免許有資格者指導を基に行うとともに、今後は実施拠点もさらに広げていく考えだ。

〈ボーケン/品質保証を構築〉

 ボーケン品質評価機構(ボーケン)は「お客さまと共同で品質保証を行うパートナーへの変革」(吉田泰教理事長)を方針に、品質情報総合サービス機関を目指す。繊維、生活産業資材、認証・分析、機能性、海外の5事業で品質評価業務を進めるほか、ITサービス、品質管理サポート、教育支援、情報発信、開発と、五つのサポート業務を行う。

 品質管理サポートでは「顧客と共同で品質保証体制を構築する」ため、QC工場監査を実施。監査後も問題点の改善指導を行う。CSR工場監査も開始し、今春には上海、常州、青島の拠点からのCSR監査も予定する。

 中国では上海試験センターがCMA(計量認証証書)、CNAS(中国が国家基準として与える試験室認定)を取得し、内販にも対応できる体制にあり、抗菌試験の指定機関でもある。常州、青島、杭州、広州に試験センターを置き、南通事務所、大連連絡所も設ける。杭州、南通、上海、常州の連携を軸に華東地区を固める。広州試験センターは衣料品のほか、SGSの協力を得て家具や服飾資材の試験にも対応する。

 ベトナムのホーチミン試験センターは顧客サービスの充実を図る。タイのバンコク試験センターは依頼試験が堅調だが、特に抗菌性試験が伸びている。カンボジアにはプノンペン事務所、他に香港、韓国、台湾、ジャカルタに試験拠点を置く。

〈QTEC/新規事業を具体化〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は昨年1月に有害化学物質の排出ゼロを目指す「ZDHC」に加入した。ZDHCメンバー企業と直接間接に取引のある企業に対し、日本語による情報提供や支援を行うとともに、化学物質の適正管理を志向する企業にも、ZDHC方式の取り組み支援が可能になった。

 従前の製品での含有物質使用制限一覧(RSL)ではなく、環境系への有害化学物質の排出ゼロを目指すとともに、工場のCSR監査についても社内教育を行っており、事業化に向ける。新規事業開発ユニットの案件も具体化していく。

 既存事業も強化する。東部事業所は生活用品・産業資材、中部事業所は羽毛、福井試験センターは燃焼性、神戸試験センターは抗菌・抗ウイルス性試験など各拠点の特徴を生かしていく。

 海外事業所も中国の青島、南通、深センが好調のほか、無錫も羽毛試験が堅調。バングラデシュのダッカ試験センターも好調を維持している。ベトナムもインターテックと協業して堅調という。海外のナショナルスタッフを育成し、これまで以上に権限移譲し、個々のモチベーション向上と成長を図ることに力を注ぐ。

 山中毅理事長は「過当競争の時代ではあるが、安心安全を担保することが重要な時代。検査機関の存在意義は今後ますます強まる」と話す。

〈ニッセンケン/化学分析試験に注力〉

 ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)の2019年は「過当競争で国内の既存事業が厳しい1年だった」と、駒田展大理事長は振り返る。その一方で、中国での試験業務は「内販に向けた試験も着実に伸びている」と言う。

 バングラデシュでの展開は、「世界的な衣料消費の不振で、現地での生産が減っており、小休止の状況。それでも将来的には伸びる」とみる。インドのジャイプル事業所は順調。ニッセンケンはインドテクニカルテキスタイル連盟と、製品認証サポートなどに関する覚書を結んでいる。インド側の日本向け輸出意欲は旺盛で、品質向上や国内法整備などに協力していく。

 サステイナビリティー(持続可能性)の潮流を受け、エコテックス事業は順調に伸びている。認証企業の継続率も上昇しており、今年はエコテックススタンダード100の認証だけでなく、持続可能な繊維生産の認証システム「ステップ」にも力を注ぐ考えだ。

 エコテックスで培った化学分析試験やバイオケミカル課の微生物試験のノウハウをもとに、試験・検査対応を化粧品、医薬部外品、医薬品にまで拡大していく。このため、昨年10月、厚生労働省登録検査機関になった。「今年は体質強化を進めながら、経営資源をより化学分析に傾注する」とし、独自性に磨きをかけていく。