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特集 アジアの繊維産業Ⅱ(6)/わが社のアジア戦略/シキボウ/高付加価値品をグローバルに

2019年09月13日(Fri曜日) 午後4時33分

 シキボウは国内工場とインドネシア、ベトナム、中国の各拠点が連携し、高付加価値品のグローバル生産・販売の拡大に取り組む。特に原糸は日本、インドネシア、ベトナムそれぞれで高付加価値糸の生産が可能な体制を構築した。テキスタイルも中東民族衣装用や寝装用で国内外の連携が進む。

 同社は現在、国内に紡績の富山工場(富山市)、織布・染色子会社のシキボウ江南(愛知県江南市)を持ち、海外子会社もインドネシアに紡織加工のメルテックス、中国に寝装品縫製の上海敷島家用紡織、寝装向けプリント・無地加工の湖州敷島福紡織がある。タイにはグループ会社である新内外綿の商事子会社、JPボスコがある。ベトナムには紡績を中心に充実した協力工場網を整備した。

 現在、特に力を入れているのが紡績・糸販売事業の再構築。加藤守上席執行役員は「国内外の全拠点で高付加価値な糸の生産が可能な体制になっている。これを生かして糸のグローバル販売拡大に取り組む」と強調する。

 例えばメルテックスはポリエステル綿混紡糸が主力だが、最近では2層構造糸や長短複合糸、精紡交撚糸の生産も拡大した。ベトナムでは協力工場への原綿供給と技術指導によって特殊精紡交撚糸「デュアルアクション」や強撚糸、甘撚り糸、アクリル綿混紡糸など生産品種を拡大している。タイもJPボスコを通じて協力工場で再生セルロース繊維「テンセル」・綿混紡糸などを生産する。

 こうした生産基盤を生かし、ASEAN域内のテキスタイルメーカーや縫製企業に対して特徴のある糸を供給することを目指す。既に成果も上がり始めており、「2019年度上半期(4~9月)はベトナム生産する糸の販売拡大が続いている」と言う。

〈テキスタイルも用途拡大〉

 海外拠点で生産するテキスタイルの用途拡大も進む。メルテックスは中東民族衣装用織物の生産を得意とするが、中東市場では近年、民族衣装でも既製服が増加傾向にある。このため従来の生地輸出だけでなく既製民族衣装にも参入した。メルテックスが生産する生地をインドネシアで縫製するオペレーションに取り組む。

 ユニフォーム地でも同様の動きを強めた。日本の企業別注ユニフォーム向けは生地販売だけでなくメルテックスの生地をインドネシアで縫製することで製品納入の拡大に取り組む。メルテックスでは寝装用途への参入も強める。現在、シキボウはリネンサプライ向けを中心に寝装分野への提案を強化している。こうした取り組みでも海外生産拠点の重要性は一段と高まる。

〈寝装市場でビジネス創出/新たな収益の柱に/メルテックス〉

 シキボウの在インドネシア子会社で紡織加工を手掛けるマーメイド・テキスタイルインダストリー・インドネシア(メルテックス、東ジャワ州モジョケルト)は日本国内の寝装・リビング・ホテルリネン市場への糸・生地の供給を強める。

 寝装業界でのビジネスで経験を積んだ、前シキボウ江南社長の藤井英司氏が6月27日付で社長に就いた。前任の尾崎友寿繊維部門営業第二部長が進めてきた販路開拓、生産効率の向上、生産品の高付加価値化、さらにシキボウグループの国内外の生産拠点との連携強化を引き継ぎつつ、新たに寝装分野でビジネス創出に挑む。

 現在のメルテックスの主力は綿・ポリエステル混の糸・生地で、売り先は日本のユニフォーム用途と中東民族衣装用途を2本柱とする。売上高の7割ほどが日本向けの商材による。売り上げ構成比は糸と生地でそれぞれ50%ずつ。紡績錘数は5万錘。従業員は618人。

 近年、ローカル企業の割安な汎用糸の品質向上や人件費の高騰を背景に、シキボウが最も得意とする糸での高付加価値化をメルテックスの強みとして打ち出すべく、糸での提案を強化している。

 ダブルツイスターをはじめとする新たな製造機器を増設し、双糸、2層構造糸、強撚糸、精紡交撚糸、複合糸など生産品種の多様化を昨年から進める。こうした特色のある糸で新たな販路を開拓する方針だ。

 生産拠点の連携強化では、シキボウの繊維部門グローバル事業推進室が中心になって、日本、ベトナム、タイ、インドネシアの各製造拠点の強みを結ぶ構想を描く。

 日本のシキボウ江南、綿素材を得意とするベトナムの協力工場、インドネシアのメルテックス、タイの新内外綿子会社J.P.ボスコ、それぞれの強みを掛け合わせ、日本向けに加え、各拠点の現地内販でも拡大を狙う。