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20春夏ジーンズ別冊(8)/Textile/Accessories/Trading/デニム素材と副資材、商社の最新動向

2020年03月24日(Tue曜日) 午後4時55分

 綿花の栽培方法を巡る水資源の削減など、素材調達の時点で持続可能性を探る企業が主流になった。タグや革パッチなど、ジーンズの副資材においても環境保全を前提にしたコンセプトが展開されている。

〈YKK/昭和、平成のジーンズ紹介〉

 YKKのイベントとコミュニティー施設「ものづくり館バイYKK」(東京都千代田区、以下ものづくり館)は、昨年4月から今年3月末まで、日本のジーンズの変遷と「ユニバーサルファスナー社」の歴史を紹介している。

 ものづくり館3階では1960~2010年代の「エドウイン」のアーカイブジーンズ6本を展示。60年代の「エドウイン1001」は64年に国産デニムを使い、社内で型紙を引いて作った1000シリーズの一つ。1001はストレート、1003はフレア、1005はスリムだった。60年代の「エドウイン359」をベースにしたベルボトムにド派手な鋲を多数打ち付けた70年代ならではのジーンズもある。80年代に同社は社運を賭けて世界初のストーンウオッシュジーンズを開発した。「エドウイン1410」は80年代後半にケミカルウオッシュジーンズとして販売した。

 この3点はいわば昭和のジーンズ。平成ジーンズは90年代の「エドウイン505」。ニュービンテージというコンセプトで、旧式織機のセルビッチデニムを使い、ポケットの補強布などのディテール化と現代的なストリートカジュアルにマッチしたワイドなシルエットを融合した。ファスナーにはYKKの「YZiP(ワイジップ)」が使用されている。

 2000年代の「エドウイン E―ファンクション」は、普及する携帯電話専用ポケットや立体裁断など、ジーンズに新しい機能性を取り入れた。ボタン、リベットはYKKスナップファスナー製を使用。2010年の「エドウイン ジャージーズ」は、ジーンズの見た目とジャージーの着用感を併せ持つ快適パンツ。リベットは裏側から貫通したシャンクが見えるオープンタイプである。

 「昭和のケミカルジーンズ、平成のエンジニアードやブーツカット。それぞれの時代を知る来場者がノスタルジックを感じ、楽しんでもらえている」(YKK)と言う。

 併設のユニバーサルのコーナーは、ジーンズの付属にまつわる歴史を紹介する。「ジッパー」という言葉が一般名詞になったのは1920年代。そこに至るまで、ジッパーの原型「ザ・オリジナル」を作ったウィットコム・ジャドソン氏。その原型をもとに現代のジッパーを開発したギデオン・サンドバック氏ら先人たちの隠れた存在がある。

 そして今、「ジーンズこそサステイナブル(持続可能な)ウエア。リペア(お直し)するほど魅力がアップするのがジーンズ」と、YKKはジーンズの魅力を後押しする。

〈大正紡績/世界五大陸の綿花を〉

 オーガニックコットンを中心としたサステイナブル(持続可能)でエシカル(倫理的)な綿糸を作り続けてきた大正紡績(大阪府阪南市)。その糸はデニム用途でも高い評価を得ている。現在、原綿の調達先を拡充しており、世界五大陸の綿花を使った綿糸を供給する。

 同社の原綿調達先は米国の契約農家のほかインド、エジプト、トルコ、ペルーなど幅広い。超長綿のオーガニックコットンなど希少原綿を調達している。さらにアフリカからの調達にも取り組み、ウガンダとタンザニアの綿花を使った糸の商品化にも取り組む。これによりアジア、欧州、北米、南米、アフリカの世界五大陸の綿花を活用することになる。

 オーガニック素材の国際認証「グローバル・オーガニック・テキスタイル・スタンダード(GOTS)」も取得している。こうした糸を通じて取引先である産地企業、アパレル、デザイナー、流通とチームとしてのモノ作りが同社の強み。サステイナビリティー(持続可能性)とトレーサビリティー(追跡可能性)が確立したモノ作りを進める。

〈モリリン/サステ対応、高強力も特徴〉

 モリリンはジーンズ向けのミシン糸としてサステイナビリティー(持続可能性)を意識した「エムセル」や「エコップ」を訴求している。エムセルは欧州向けが中心で売上高は前年並みに推移。今後は国内での販売拡大に力を入れる。

 エムセルは精製セルロース繊維「テンセル」100%使いで、環境に負荷を掛けない地球に優しい製造方法が特徴。原料の木材はサステイナビリティーを実践している植林によって生まれた森林から得ているため、繊維の生産自体が環境への負担が少ない。さらに、特殊製法により高強力な上、発色性も高い。

 現状はサステイナビリティーの意識が高い欧州向けの販売がほとんど。イタリアの高級ジーンズメーカーやSPAアパレルなどでカジュアルパンツを含めたジーンズ向けのミシン糸として採用されるなどの実績がある。

 エコップは再生ポリエステル100%でできているため、通常のポリエステルに比べて二酸化炭素の排出を抑制できる。ジーンズ向けだけでなく、さまざまな衣料にも使える汎用性の高さも特徴だ。

〈フクイ/ジーンズの副資材も自然由来にシフト〉

 アパレル副資材メーカーのフクイ(東京都台東区)は、ジーンズ用の副資材で存在感を強めている。そのキーワードになっているのが、サステイナビリティー(持続可能性)へのスタンスだ。ケアラベルや織りネーム、フラッシャー(ヒップポケットに付けるラベル)、下げ札などに使う素材で持続可能な取り組みに注目が集まっている。

 同社の土屋哲朗社長は「受け身ではなく、提案型でサステイナビリティーを訴求している。ブランドによって反応は異なるが、先行してニーズを取り込みたい」と説明している。新たに投入したリサイクルレザーのラベルやロングセラーになっている綿100%の織りネームに加え、再生ポリエステルを使用したケアラベル、さらにキュプラ(再生繊維)を採用した織りネームが取引量を増やしている。

 廃棄されていたオーガニックバナナの茎を使ったバナナ繊維の下げ札もある。環境保全の切り口はさまざまで、再生繊維やリサイクルレザーの提案を軸に、間伐材を有効活用したフックなどで“脱プラスチック”の流れを明確に示している。

〈レンチング/追跡可能性やリサイクルも〉

 レンチングは再生セルロース繊維「テンセル」などでトレーサビリティー(追跡可能性)の確立やリサイクルの実現に取り組んでいる。こうしたレンチングのテクノロジーがジーンズ用途でも採用が進みつつある。

 同社はデニムやジーンズを重点用途の一つと位置付け提案を進めてきた。このためNBでの採用が進む。最近では科学的鑑別でトレーサビリティーを確保できるレーヨン短繊維「レンチングエコヴェロ」、廃棄綿布をテンセルの原料に再利用する「テンセルリフィブラ」がリーバイスで採用されるなど注目を集める。

 HWMレーヨン「テンセル」モダールでも非塩素漂白加工「エコピュアテクノロジー」を開発しており、こちらも鑑別技術が導入されている。

 サステイナブル(持続可能)素材としてテンセルを消費者に対しても打ち出す。1日からファッションモデルのKanocoさんとのコラボレーションでインスタグラムを使ったキャンペーン「テンセルとKanocoのサステイナブルな毎日」を開始し、B2B2Cマーケティングを推進する。

〈サーブ/ユーズド加工はレーザーが主力に〉

 ジーンズの洗い加工主力のサーブ(神奈川県平塚市)が行う加工技術に支持が集まっている。精度を上げたレーザー加工をはじめ、酸化作用によりジーンズの染料を分解・脱色するオゾン加工といった工程を訴求。現在は全体の8割程度で、水の使用量を極力減らしたテクニックを採用している。

 同社は、米ブランド「リーバイス」のプレミアムライン「リーバイス メイド&クラフテッド」(LMC)や、バロックジャパンリミテッドの婦人ブランド「マウジー」のジーンズ加工などを担当。リーバイスではLMCの日本製ジーンズとして欧州や中国、韓国、シンガポールで販売しており、売り上げも好調という。また、マウジーから派生した海外市場向けプレミアムライン「マウジーヴィンテージ」の加工を行い、バロックジャパンでは今春からジーンズの輸出を本格化する。いずれも完成度の高いユーズド加工を実現した。

 サーブでは、再現性が求められるユーズド加工においても、前述した技術を使い、手作業によるシェービングとダメージを与える工程を減らしつつあると言う。