ベトナム/三大ブランド出そろう、戦略に差/ユニクロは年内に出店を加速

2020年03月30日(Mon曜日) 午後3時39分

 ベトナムの南北都市に、世界の三大ファストファッションブランドが出そろった。「ユニクロ」は昨年末のホーチミン市での初出店を皮切りに、先週、ハノイに同国2店舗目をオープン。近く、二大都市で店舗を拡大させる計画だ。一方、4年前に進出の「ZARA」は2店舗展開のまま、好調。外資系アパレルの参入が加速する中、各社の戦略に違いが見えてきた。

 ファーストリテイリングが運営するユニクロは6日、ハノイ1号店を開店した。オープニングセレモニーが行われた同日は、予定時刻より少し前に営業を開始。新型コロナウイルス感染症対策で、マスクの着用と検温が実施される中、開店前から並んだ客らが次々に入場した。ユニクロベトナムの池添修・最高執行責任者(COO)は、開店から15分時点で、「(来客数は)700人と聞いている。これから、まだまだ来ていただけるだろう」と、ハノイでのスタートに期待感を示した。

 同社はまず、二大都市での出店を加速させる方針を明らかにしている。年内にハノイは3店舗体制となり、ホーチミン市でも積極展開が見込まれる。ホーチミン店の開店に駆け付けた柳井正会長兼社長は、同国のポテンシャルを高く評価しており、「100店舗の出店を目指す」と語っていた。

〈少数精鋭のZARA好調〉

 世界の三大アパレルブランドのうち、最も早くベトナムで開業したのは、スペインのインディテックスが展開するZARAだ。2016年にホーチミン市1区の一等地、ドンコイ通りの商業施設「ビンコムセンター」内に、面積約2400平方メートル(2フロア)の同国1号店をオープンした。初日の売り上げは55億¥文字(G3-1000)に上ったとされる。その後、17年11月にハノイ市ハイバーチュン区の「ビンコムセンター・バーチエウ」に面積4千平方メートル(3フロア)近くの大規模店をオープンさせた。以来、同国での新店開設はない。

 他方、売り上げは右肩上がりで好調のようだ。地元各紙によれば、ZARAベトナムの18年の売上高は7300万ドル。前年から約6倍と飛躍した。18年末までの3年間の収益は1億2800万ドルに達したという。

 ベトナムの消費関連市場に詳しい、市場調査会社アジアプラス(東京都世田谷区)の黒川賢吾社長は、「各店舗が旗艦店として、非常に良く機能している印象だ」と話す。一方で、多店舗展開にまだ至っていないのは、旗艦店に顧客を十分に引き付けられており、顧客層が限られているからだと分析する。つまりは、店舗数を2倍にしても、顧客の母数は同じなので、売り上げは2倍にはならない。「ベトナムの中・高所得層向けの小売りではよくある傾向だが、新店舗を出しても、投資に見合うほど売り上げが増えないとみているのだろう」(黒川氏)。

 日本では「ファストファッション」と位置付けられる同ブランドだが、「(当地では)中・高所得層が、頑張れば手を出せる『おしゃれ』で、値の張るブランドと認識されている」と言う。客層は、おしゃれに敏感な20~30代の若者で、人の目に触れる上着系が好まれる。そのため、「売上単価も、日本の同店よりも高いはずだ」(同氏)と指摘。一方で、スタイルを訴求できていないブランドは、あまりうまくいっていない印象だとし、例として米国のGAPを挙げた。

〈H&Mは8店舗、ダナンに先手〉

 もう一つの代表的なブランド、スウェーデンの衣料品大手H&M(ヘネス・アンド・マウリッツ)の18年売上高は3300万ドル。ZARAには及ばないが「成功の部類」(黒川氏)だ。

 昨年11月末には同国8番目となる店舗を中部ダナン市に初出店。オープン初日は1200人以上が押し寄せた。H&Mのベトナム進出は17年で、1号店はZARAと同じ商業施設に入った。これまでにホーチミン市に4店舗、ハノイに3店舗を展開しており、ZARAやユニクロが未開のダナン市場に、先手を打っている。

 ドイツの調査会社スタティスタによれば、ベトナムの20年のアパレル市場規模は8億1500万ドルに到達する。20~24年の年平均成長率(CAGR)は6・9%。23年には17年比で2倍の10億ドルを突破する見通しだ。

 今後も順調に拡大が見込める有望市場であることは違いない。大都市の小売りスペース賃料が高いとされる同国で、どのような出店戦略が功を奏すのだろうか。〔NNA〕