特集 アジアの繊維産業Ⅰ(2)/アジア生産の見取り図/interview/日華化学 執行役員化学品部門繊維化学品事業部長 小林 淳孝氏に聞く

2020年03月30日(Mon曜日) 午後3時43分

〈ベトナム、バングラが拡大/インドは伸ばすべき市場〉

 日華化学は、海外の8カ国・地域に12拠点を持ち、グローバル展開を強化している。近年は、ベトナムやバングラデシュが順調に拡大しているほか、今後はインドなどでも拡大を狙う。アジア市場での取り組みについて話を聞いた。

  ――アジア市場への販売状況は。

 中国、韓国、インドネシア、タイ、ベトナムなどに子会社を置き、アジア市場での拡販に注力しています。足元は新型コロナウイルス感染拡大の影響など先が読みづらい状況になっていますが、その影響を除くと、近年は中国市場が堅調に推移しているほか、ベトナムやバングラデシュなども順調に拡大しています。

  ――ニッカベトナムは2019年度売り上げが前年比15%増となりました。

 ベトナムにはアジアの化学品メーカーとして最も早く進出し、04年にニッカベトナムを稼働させました。ベトナムの染色加工は今も成長を続けており、合繊スポーツ関連も順調に伸びています。まだ欧州系の進出が少ないこともあり、市場拡大とともにニッカベトナムの販売も拡大しています。

  ――ベトナム市場は今後も成長が期待できる。

 ベトナムでの染色加工で進出が早かったのは韓国系企業ですが、続いて台湾系や中国系も出てきています。ニッカベトナムでは日本人スタッフだけでなく、韓国や台湾の拠点からも人材を送り込んで、現地でのテクニカルサポート体制を強化しました。今後は中国系も伸びていくとされていますので、中国拠点からベトナム駐在員を出すことも検討していきます。

  ――バングラデシュでの売上高も19年度は前年比33%増と拡大しています。

 バングラデシュへは香港子会社から販売していますが、前期は大きく伸びました。もともとは欧米向けが強い国ですが、近年は日本市場向けの生産拠点としても注目度が高く、当社の販売につながっています。今後も販売を伸ばしていく計画で、テクニカルサポート体制も強化していきます。

  ――アジアで今後の成長が望める市場は。

 ベトナムやバングラデシュに加えて、インドネシアなどでの販売も拡大する計画です。その次はインドを伸ばすべき市場と考えています。

  ――中国市場をどうみていますか。

 中国が重要な市場であることは変わらないと思います。糸から縫製まで全て整っているのはこの国しかありませんし、消費地としても大きな市場なのでこれからも力を入れていきます。ただ、商流は変わっていくでしょう。定番品の生産は他の地域にシフトし、中国では高度な商品が中心になっていく。産業資材などの市場も拡大が見込まれます。

  ――インドはグローバルブランドの進出が加速するなど注目を集めています。今後をどうみますか。

 繊維加工用薬剤の市場規模は日本の3~4倍あり、人口などを考えるとさらに伸びていくことは間違いありません。今は天然繊維が多く、合繊スポーツの市場が本格的に拡大していくのはこれからですが、中国のような一大市場になる可能性があるとみています。

  ――インドの繊維加工メーカーであるレジルとの業務提携について、現在の状況を聞かせてください。

 さまざまな面からインドでの体制を再検討・再構築しているところです。インドは今後の成長が見込まれ、伸ばさなければならない市場だと考えています。

  ――市場によって販売する商品に違いはありますが。

 どの市場もフルアイテムを用意し、どの拠点からも同一品質の商品を供給できる形にしています。多品種少量で顧客のニーズに細かく対応することを基本にしています。複合など素材が多様化していますし、設備とのマッチングもあるので、営業担当者がきめ細かく現場に足を運び、ニーズに合わせてカスタマイズして薬剤を作り上げていくことを重視しています。現地でのテクニカルサポートが鍵となるので、バングラデシュやベトナムなど伸びている市場ではさらに体制を強化していきます。

 ――加工場のサステイナビリティー(持続可能性)実現に向け、精練から仕上げまで総合的に提案する「スマートダイイングプロセス」の提案を開始しました。

 世界的にサステイナビリティーへの関心が高まっています。有害物質を使用しない環境対応製品の開発や工程の合理化、温室効果ガスの排出削減や節水・省力化はどの国においても目指すべき方向になっているので、力を入れていきます。リサイクルにおけるPET洗浄の仕組みなど、環境配慮型のモノ作りにケミカルでどう貢献していくかは今後も重要なテーマになります。

  ――今期から繊維化学品事業部に事業企画室を新設し、8カ国・地域にある10拠点を横串管理する形にしました。狙いは。

 例えば日本の成功事例を他の拠点にも広げていく、日本でマーケティングツールを充実させてそれをグローバルに展開していくなどの役割を担います。日本や台湾、中国など各国の案件を一元管理することで、販売の拡大やモノ作りに生かしていきます。