特集 アジアの繊維産業Ⅰ(6)/わが社のアジア戦略

2020年03月30日(Mon曜日) 午後3時49分

〈日鉄物産/ベトナムで現地調達増やす/デジタル化で短納期対応〉

 日鉄物産の繊維事業本部は、主力のアパレルOEM/ODMでASEAN比率が高まっている。今後も取引先の要望が増える見通しのため、加速するASEANシフトへの対応に力を注ぐ。

 ASEAN戦略の軸となるベトナムでは現在、ホーチミンで婦人服の自社工場を操業し、ハノイでカジュアル、ブラウス、シャツ、重衣料の専用ラインを管理している。ベトナムで築いた生産背景を強みとするレディス衣料第一部は「ベトナム国内でサプライチェーンを完結させる動きが広がる。原料の現地調達も増えていく」と今後を見据える。実際に、新たな仕入れ先の開拓も進めている。

 2019年にはベトナム現地法人が、生地の現地販売のライセンスを取得した。20春夏向けから提案するエシカル素材「エス」も、ベトナムなどから供給する構想を描く。

 短納期ニーズへの対応強化も、重点施策に掲げる。3Dグラフィックスで完成のイメージを提示し、サンプル製作を減らしていくことで、リードタイムの短縮を目指す。

 こうしたデジタル化は、アパレル業界の活性化に貢献するとして、顧客に向けて提案している。「サステイナビリティー(持続可能性)の実現のためにも必要な取り組み。アパレル業界に従事する人たちの働き方改革にもつながる」(同部)。

 サプライチェーン全体をネットワークで結び、アパレル店舗などでの製品の販売状況に応じた生産が実現できれば、ASEANでのOEM/ODMも進化する。

 ベトナムを中心に、カンボジア、バングラデシュ、ミャンマーなどの生産背景を生かし、多様化するニーズに応えていく。

〈ユニオン工業/インドネシア子会社設立/技術サービス、部品供給を強化〉

 イタリアの靴下・ストッキング編み機メーカー、ロナティグループのアジア販売代理店であるユニオン工業(兵庫県尼崎市)は2月に、インドネシア子会社のUAPインダストリー〈インドネシア〉を設立した。これによりアジア地域にタイ子会社のユニオンアジアパシフィック、ベトナム子会社のユニオンアジアパシフィック〈ベトナム〉、韓国子会社のユニオンアジアパシフィック〈コリア〉、そして中国の上海事務所の4拠点を持つことになる。

 これらの拠点を通じて、各国だけでなくカンボジア、ラオス、ミャンマー、モンゴルなども販売テリトリーとしてロナティグループの靴下編み機やストッキング編み機を販売してきた。

 靴下の生産も東南アジア地域へのシフトが加速している。ユニオン工業の永田達也社長は「ロナティグループもインドネシアを生産拠点、さらに市場として重視している」と現地法人設立の狙いを説明する。ロナティの強みである自動つま先リンキング機構「SbyS」搭載機も既に数百台が導入されていると言う。需要が高まるシューアッパー材の生産でもインドネシアへの期待は大きい。

 「各拠点とも技術サービスや部品供給を徹底的に強化し、ユーザーの利便性を高める」ことを目指す。さらにベトナムのホーチミンで開催される繊維総合展「サイゴンテックス」にも出展し、これを通じて各拠点のユーザーの交流を進めることも構想している。靴下・ストッキングに加えてシューアッパーの生産でも一段と存在感を高めるアジア地域でロナティの編み機のプレゼンスとシェアを一段と高めることを目指す。

〈日新運輸/陸運絡め期間半分以下に/ミャンマー・日本間輸送〉

 ミャンマーのヤンゴンから日本へ海路で荷物を送ると、到着までに30日ほど必要だとされる。アパレルの物流を主力とする日新運輸(大阪市此花区)は、陸運を組み合わせることでこの期間を約半分に短縮している。この期間がさらに短くなり、海路のみの場合に比べ1・5倍だった料金も安くなる見込みだ。

 「スマートマイロード」と呼ぶこのサービスは、ミャンマーとタイの国境まで荷物を運び、そこでタイ側の車両に積み替え、バンコクの港で船積みし、日本や中国へ届けるというもの。現地資本との合弁でミャンマーに設立したニッシン・ミャンマーが、トレーラーを15台保有して陸運も行っており、この機能を生かして2017年にサービスを開始した。

 海路だけで輸送する場合に比べ料金は高いが、利用する荷主が増加。20年3月期は、雨で道路が寸断され2カ月ほどサービスを提供できなかったにも関わらず、前期並みの取扱量を確保できそうだという。

 このほど、ミャンマーとタイの政府が合意し、積み替えすることなくそれぞれの国を行き来できる「ダブル・ライセンス」を陸運事業所に与え始めた。ニッシン・ミャンマーは昨年11月にそれを取得した。日系企業としては初だという。これにより、スマートマイロードの輸送期間がさらに2日ほど短くなる。料金も下げる予定だという。

 日新運輸は、海上輸送部門を分社する形で設立した子会社、ニッシントランスコンソリデーター(大阪市此花区)を4月1日付で吸収合併する。同子会社の機能を取り込み、新しいサービスの提供を検討する。