メーカー別 繊維ニュース

特集 スクールユニフォーム(9)/素材メーカー編/ニーズを実現する学生服地

2019年09月30日(Mon曜日) 午後4時18分

 学生服を取り巻く環境は時代とともに変化し、それに合わせてニーズも多様化している。耐久性や経済性に加えてさまざまな機能性が求められるようになって久しい。近年では家庭洗濯に対応したイージーケア性などが必須の機能となる。こうした要求を実現する学生服地の開発と提案が進む。

〈2ウエーストレッチ本格投入/長短複合糸でウール高混率品も/東亜紡織〉

 東亜紡織は2020年入学商戦に向けて新商品の2ウエーストレッチ学生服地を本格投入する。ウール混率低下の潮流に対してポリエステル高混率品のラインアップを拡充すると同時に、長短複合紡績糸を使ったウオッシャブル生地「トライブリッド」を軸にウール高混率品の需要掘り起こしにも努める。

 同社は現在、20年入学商戦に向けて例年並みの受注を確保している。ただ、羊毛高騰による利益率低下や学生服に対する価格要求が厳しくなっていることによるウール混率低下の流れへの対応が課題となる。

 こうした中、学生服でもストレッチ生地の人気が一段と高まっていることから、新たに開発した2ウエーストレッチ学生服地を本格投入する。耐久性の面からポリウレタンなどが使えない学生服地で2ウエーストレッチは珍しいが、紳士服地の技術を応用して開発した。

 ウール混率低下の流れに対して速乾性が特徴の「バルモア」でウール30%・ポリエステル70%混やウール15%・ポリエステル85%混など合繊高混率品のラインアップを拡充する。

 ウール・ポリエステル長短複合紡績糸使いのトライブリッドはウール80%・ポリエステル20%混を軸に提案し、ウール高混率品の需要を掘り起こす。そのほか注目が高まっているニット学生服地の開発にも取り組む。

 世界的にサステイナビリティー(持続可能性)への要求が高まる中、再生ポリエステルの活用を強化するほか、ウールが環境に優しい繊維であることをアパレルや学校関係者などに提言することでウールの価値を改めて訴求することにも取り組む。

〈合繊高混率の価値訴求/夏物向け生地提案強化/東レ〉

 東レはポリエステル長繊維・ウール複合の「トレラーナ」やポリエステル100%梳毛調織物「マニフィーレ」を軸に合繊高混率の学生服地の価値を消費者に訴求する提案に力を入れる。夏物向け生地提案の強化にも取り組む。

 同社は2020年入学商戦向け学生服地販売が堅調に推移している。近年、学生服に対する価格要求が厳しさを増したことや家庭洗濯対応などイージーケア性へのニーズから合繊高混率品の採用拡大傾向が続く。学校別注でもトレラーナはポリエステル85%・ウール15%の販売が増加したほか、マニフィーレもブレザー用でも採用が広がりつつある。機能性だけでなく梳毛調の生地表情への評価が高まってきた。

 合繊長繊維の強みを生かせる商品としてニット製学生服地の開発と提案にも力を入れる。イージーケア性が格段に高まることからニーズも高まりつつある。既に学販シャツでトリコットの活用を進めているが、こちらも好調な販売となった。合繊のシェアを高めるためには防汚性なども重要になる。このため防汚加工「テクノクリーン」の導入を進める。既に学生服地に必要な濃色への加工も確立し、提案を進めている。

 夏物向け生地提案の強化も大きなテーマ。現在、夏物学生服地は定番的な商品が主流だが、ここに高通気生地や涼感素材を投入することでアパレルと連携しながら付加価値の高い夏物学生服の普及を目指す。

 一方、課題は採算面。羊毛など原料価格の上昇に加えて染料・薬剤価格の高騰などで染色加工コストが上昇し、物流コストなど用役費も上昇が続く。自助努力によるコストダウンに取り組んでいるが、それも限界に達した。このため今後、価格改定による転嫁を検討せざるを得ないとする。

〈ウールの利点を打ち出す/「ミライズ」バリエーション拡大/ニッケ〉

 ニッケは学生服地の素材としてウールにはさまざまな優れた点があることを改めて打ち出す。ウール・ポリエステル長短複合の偏芯螺旋(らせん)構造交撚糸を使った学生服地「ミライズ」を軸に提案を進め、生地のバリエーションも拡大する。

 2020年入学商戦に向けた同社の学生服地販売は流通在庫の増加からやや受注ペースが遅い。ただ、モデルチェンジ商戦で堅調な受注を獲得しているようだ。ミライズが主力となっており、ウールの持つ生地表情の品位を保ちながら家庭洗濯可能などの機能性を両立していることへの評価が高い。

 一方、課題となるのがウール混率低下の問題。現在、同社の販売する学生服地はウール50%・ポリエステル50%混が主力だが、学生服の価格への社会的視線が厳しさを増す中、合繊高混率品との競争が一段と激化した。

 こうした中、引き続き学生服素材としてのウールの利点を積極的に打ち出すことでウール高混率品の需要掘り起こしを進める。原則3年間の着用に耐えうる耐久性や防汚性、天然の消臭機能など物性・機能を訴求する。

 そのためミライズは織組織などのバリエーションを拡充する。混率はウール80%と同55%を2本柱とし、一格上の学生服地としての位置付けを明確にする。スポーツ向けニット生地「アクティブウール」を応用したニット学生服地の開発も進めるほか、印南工場(兵庫県加古川市)に導入した最新鋭の連続ロープ洗絨(じゅう)機を活用した糸・生地開発にも取り組む。

 サステイナビリティー(持続可能性)への配慮も強化し、トレーサビリティー(追跡可能性)が確立されたニュージーランド羊毛使いの「ジーキューウール」や再生ポリエステルの活用にも取り組む。

〈新規開拓に取り組む/ニット素材も活用進める/シキボウ〉

 シキボウは部屋干し対応のシャツ地「ルームドライ」を主軸に学販シャツ地の新規顧客開拓に取り組む。イージーケア性へのニーズの高まりを受けて、丸編みやトリコットを活用したシャツ地の開発・提案にも力を入れる。

 同社の学販シャツ地の2019年度上半期(4~9月)の販売は前年実績を若干下回って推移した。昨年度に堅調な販売となっていたことで、やや調整局面となっているようだ。そうした中、ルームドライは主力商品として堅調な販売となった。

 部屋干しでも短時間で乾燥する速乾機能に加えて、部屋干し臭の原因物質を発生させるモラクセラ菌が繊維上で増殖するのを抑える抗菌防臭機能への評価は高い。

 既に大手学生服メーカーが学販シャツとして採用している。ただ、学販シャツ地全体で見たシェアでは、まだ拡大の余地があるというのが同社の見方。このため、これまで積み重ねてきた実績や評価を生かし、まだ採用していないアパレルへの提案を進めることで販売量の拡大を目指す。

 イージーケアへのニーズも一段と高まっていることから、織物のシャツ地に加えて丸編みやトリコットのシャツ地提案にも取り組む。これに消臭加工や防汚加工を組み合わせることで素材のバリエーションも拡大できるとする。

〈来年は久々にMC校増加へ〉

 ニッケの調査によると、2020年の入学商戦での制服モデルチェンジ(MC)校数は8月末段階で中学・高校合わせて170校に達することが分かった。この4年間は減少傾向が続いていたが、久しぶりに前年を上回り、200校を超える可能性がある。デザインや素材を一部変更するマイナーチェンジも約100校となっている。

 今年のMC校は中高合わせて155校となり、直近10年で最低だった。東京、大阪など都市部でMC校数が多いが、地方でのMCが低調な傾向は依然として来年も変わらない。

 20年のMC校が増えた背景に東京五輪・パラリンピック開催の年であり、制服MCに対する学校の意識が活性化された可能性がある。さらにLGBT(性的少数者)に対応した制服の増加も影響しているものとみられる。実際に今年の入学商戦も高校と私立中学校は18年よりMC校数が減った一方で、LGBTに配慮した制服の採用が活発化した公立中学校は増えた。来年以降もその傾向は続きそうだ。