特集 アジアの繊維産業Ⅰ(4)/インドネシア/生産のレベルアップが課題

2019年09月12日(Thu曜日) 午後3時54分

 インドネシアは2019年に入っても実質GDP成長率5%台が続く。だが、現地の日系繊維企業のトップから共通して聞かれるのは「昨年に比べると勢いがない」という声だ。現地の消費動向の参考指数となる自動車販売台数は前年比10%減と落ち込んでいる。

 今年4月の大統領選ではジョコウィ大統領の対抗馬が善戦し、多くの企業が経済情勢の先行きに不透明さを感じたことも景気にブレーキをかけた。さらに、米中貿易摩擦の激化が影を落とす。実際にインドネシアが稼ぎ頭とする石炭、天然ガス、パーム油といった1次産品の輸出価格や量の低下につながっているという話もあり、今年の同国内景気はマイナス要素を多くはらむ。

 こうした中、インドネシアの日系繊維企業の多くは、日本市場をターゲットとした最終製品の縫製やそれに使われる素材の製造販売を主力とする。これまでインドネシアは、豊富な生産年齢人口や中国より競争力のある製造コストを強みに、生産が比較的容易な、汎用素材を大量に作る場としての役割を担ってきた。

 ところが日本市場が近年、よりリーズナブルな価格で売れる良質な商品を、少量・多品種、さらに短納期で要求するようになってきた。このため、日系繊維企業では、従来の生産体制や既存のビジネスモデルを見直すところが増えている。

 現地生産品の品質向上、高付加価値化も共通課題になっている。汎用糸・特徴のない生地の生産から、機能糸や高度な生地生産にシフトする企業、日本で作ってきた機能性生地をインドネシア生産に試験的に切り替える企業も出ている。

 ある日系繊維メーカーの社長は「汎用的な素材は現地企業でもそれなりのものができる。日本企業にしかできないことをやらないと、ここで生産する意味はない」と話す。

 先進国市場を中心に環境配慮型素材のニーズが拡大していることも、繊維工場に変化をもたらしている。原料分野ではインドネシア企業がペットボトル由来の再生ポリエステルわたを既に製造販売し売り先を増やしている。東レグループも現地での再生ポリエステルわたの製造を具体的に検討している。こうした環境を切り口にした付加価値化も、インドネシアで今後さらに進むだろう。

 近年の日系企業の動きで共通するのが人員削減の動きだ。クラボウのクマテックス(ジャカルタ)、シキボウのメルテックス(東ジャワ州モジョケルト)、東洋紡グループ、ユニチカのユニテックス(西ジャワ州ボゴール)はここ数年で軒並み、工場従業員数を減らし、人件費高騰に対応した。

〈東レ/生産の高度化を推進〉

 インドネシア東レグループの2019年4月から7月までの業績は前期比増収増益で推移する。だが、米中貿易摩擦の過熱など世界景気の先行き不透明感は増しており、難しいかじ取りが続く。こうした中、グループ各社はインドネシア国内拠点に加え東南アジアに展開する東レグループとも連携を強め、生産の高度化、商流を見た上での高付加価値化に取り組む。

〈ITS/品種転換で収益性改善へ〉

 インドネシア・トーレ・シンセティクス(ITS)はポリエステル長・短繊維、ナイロン長繊維、ナイロン樹脂、PBT樹脂コンパウンドを生産する。売り上げの9割以上が繊維による。

 収益性を高めるために、汎用素材から品種転換を進める。わたの複合化や細繊度化を進めつつ、特に長繊維では最終製品までの商流も考えた高度化を推進する。

 2019年上半期(4~9月)の繊維分野の商況は数量ベースで前年同期比5%減となる見通し。7割程度がインドネシア国内にある企業(東レグループへの供給も含む)への供給。一方、樹脂分野はインドネシア内販のみのビジネスで車両向けなどが順調、前年同期比10%増を見込む。

 下半期の繊維素材販売はほぼ前年並の販売量を見込む。環境に配慮した繊維素材のニーズの高まりから期中にも、ペットボトル由来の再生ポリエステルの現地生産を計画する。

〈ACTEM/ニット生地の販売も視野〉

 アクリル紡績のアクリル・テキスタイル・ミルズ(ACTEM)は、秋冬のセーターやソックスに使われるアクリル主体のニット糸を供給する。上半期(4~9月)は前年同期実績を上回る見通し。大手SPA向けの染糸の供給が活発だったため。

 近年、糸の高付加価値化に力を入れる。アクリル原料価格の高騰にもかかわらず、製品の店頭価格が上がらず、益率が圧迫されているため。昨年から生地糸から染糸への品種転換を進める。さらに価値を付けるため、生地販売も視野に入れる。

 第3四半期は閑散期に当たるため固定費を削減しながら、新商材の開発を進め、第4四半期は20秋冬に向けたアパレルの商品企画への提案を積極的に行う。

 ACTEMの糸は日本への販売量は少なく、現地でアパレルなどの編み立て工場に出荷し、最終製品は欧州を始めとする第三国で売られるケースが多い。

〈ISTEM/高級ゾーンへの提案強化〉

 インドネシア・シンセティック・テキスタイル・ミルズ(ISTEM)はポリエステル・レーヨン(E・R)混紡、ポリエステル短繊維織物を手掛ける。上半期(4~9月)は増収増益となる見通し。

 中東など第三国への販売と現地内販がメイン。販売量は前年並みだが、近年、量の拡大を追わず、これまでより高級ゾーンへの提案を強め収益率の向上に取り組む。原料高騰に伴う価格改定が浸透したことが業績アップの要因。

 中東民族衣装向け織物輸出の市況は政情などの理由でここ2年ほど低迷が続いている上、汎用素材が多いため収益率は低い。値上げが今後の受注にどのような影響を与えるかが業績を左右する。中東経由の南アフリカの学生服地販売は引き続き順調。

 インドネシア国内のE・R織物を使った衣料品市況は現地素材の安値攻勢で厳しい。ただ、官公庁向け制服地市場は有望。このほど国防省の事務員の制服で採用が決まった。

〈ETX/コスト削減で益率改善進む〉

 イースタンテックス(ETX)は紡績、織布設備を持ち、ポリエステル綿混織物を手掛ける。平織りの生機をインドネシア国内で供給するほか、東レグループの生産拠点、トルコ、バングラデシュなどへ輸出する。日本市場向けの量はわずか。

 シャツ地用途が多い。全体の販売量に対してインドネシア国内販売比率が30~35%(大半が欧州などへ輸出される)、第三国輸出はトルコ、バングラデシュなどの縫製地向けに50%程度。春夏商品への供給が多く、繁忙期は下半期になる。

 上半期の商況は数量ベースで昨年同期比10%減だったが、価格交渉努力やコスト削減により、益率の改善が進み、減収増益となる見通し。

 下半期で上半期の減収分を取り返せるかは不透明。固定費を削減しながら、引き続き益率の改善を進める。来期以降、生産品目の多様化に向け織機への設備投資も検討する。

〈CENTEX/生産品種を多様化〉

 センチュリー・テキスタイル・インダストリー(CENTEX)はポリエステル・綿混織物を手掛ける紡績、織布、染色の一貫工場だ。東南アジア諸国をはじめとする縫製地を経由して日本、インドネシア、欧米で売られるシャツ用途の生地供給が多い。

 前期は、染色工程を1ライン増やし、2ラインにした。一方、人員は増やさず固定費を抑え、イースタンテックスと協力して販売量を増やしたため増収増益だった。今期は第1四半期(4~6月)が苦戦。大統領選挙を巡る政局の不透明感やインドネシア内需が落ち込んだことが影響した。

 第2四半期は、在庫調整局面の解消もありやや回復傾向にある。下半期以降は引き続きインドネシア内需の取り込みに力を入れる。今後のシャツ需要の停滞を見越して、シャツ地以外の生産品種の開発にも取り組む。ドビー、交織、ユニフォーム用途の中厚地、ストレッチカジュアル生地も増産する。日本向けもユニフォームやカジュアル用途で増やす。

〈TPJ/紙おむつ用不織布が順調〉

 トーレ・ポリテック・ジャカルタ(TPJ)は紙おむつや衛材向けポリプロピレン不織布を製造する。主力はインドネシア内販だがASEAN諸国への輸出もある。

 前期は好調で増収増益。今期は若干、踊り場にあるものの上半期(4~9月)までは堅調に推移する。下半期もインドネシア内販を中心に底堅く販売量が増える見通しで前期比増収増益を予想する。

 今後、インドネシア市場の高付加価値商材の需要拡大が予想されるため、差別化品の供給拡大にも備える。ASEANではベトナムへの輸出量が拡大。

 東レグループが2020年4月、インドで不織布の製造拠点を稼働させるのを控え、プレマーケティングを含めインドへの拡販も推進する。

〈TIIN/素材の内製化が課題〉

 トーレインターナショナル・インドネシア(TIIN)は日系SPA向けの縫製品販売を主力とする。中東民族衣装用輸出は市況低迷が続いており低調。

 前期は増収増益だった。2017年の日本の冬が記録的な寒さで、店頭で秋冬ものが好調に売れたため、TIINの取引先も積極的に作り込みを進めたことが追い風となった。今上半期(4~9月)は、前年同期の好調の反動で減収減益、下半期も減少幅が縮小するものの減収減益の予想。

 インドネシアでのオペレーションはこれまで東レグループのアジアの生産拠点と連携し、素材を輸入して縫製のみを行うというケースが多かった。しかし販売先が短納期化の要望を強めているため、素材をインドネシアで調達する内製化が今後の課題となる。特にニット商品では技術指導をしながら外注工場の活用も視野に入れる。

〈生産・収益基盤、確立へ/島田商事インドネシア〉

 副資材商社の島田商事インドネシア(ジャカルタ)は今期(2019年12月期)、収益・生産基盤の確立に力を入れる。

 同社は今年2月に、島田商事のジャカルタ駐在員事務所からインドネシア法人として発足、3月に営業をスタートしたばかり。法人化して営業活動ができるようにすることで、島田商事グループのアジアでの供給体制を盤石にする狙い。

 まずは現地で実績のある日系アパレルへの副資材の提案を強める。カジュアルカットソー・シャツ、スポーツウエア、ユニフォームなどインドネシアの縫製工場が得意とするアイテムのパーツ供給を数年間かけて収益の柱に育てる。

 当面はインドネシア以外の海外拠点が扱う商品を仕入れて販売する。同時に現地で優良なアパレルパーツを製造できる協力工場との関係づくりにも力を入れ、インドネシア国内でも商材を調達できるようにする。

 現地責任者の阪上啓ディレクターは米中貿易摩擦を念頭に「中国の受け皿としてのベトナムのキャパシティー不足など不測の事態に備えて、インドネシアでの副資材の供給体制を整備しておくことは、いざという時に、アパレルの選択肢を増やすことにもなる」と話す。

〈素材で差異化し販路開拓/TYSMインドネシア〉

 豊島のインドネシア法人、TYSMインドネシア(ジャカルタ)は違いを明確に打ち出せる糸・生地の開発に力を入れる。

 インドネシア国内の素材メーカーと組んで環境負荷を低減した生地開発を現在進めており、日本向けを将来独占的に販売するような商流を模索する。豊島でしかできない差異化した商材、製品で、日本向け、インドネシア内販、第三国輸出の拡大を模索する。

 2019年1~6月の日本向け19秋冬衣料OEMは、カジュアル、スポーツウエアで苦戦した。カジュアルは、18秋冬の暖冬による売れ行き不振が影響した。スポーツも日本での市況が芳しくないため低調。

 堅調が続いているのがユニフォーム分野。主に製造・建築業向けの作業服のOEMを手掛け、東京五輪に関連した建設需要増に合わせて、作業服の需要が増えているため。食品工場や医療機関向け白衣も順調。

 生地販売でも順調に売り上げを伸ばしている。日系企業に加え、近年現地の人材によるローカル企業への営業も強めていることが要因。裏地、シャツ地、パンツ地用途の生機の受注が増えている。

〈内販に大きくシフト/モリリン・リビング・インドネシア〉

 モリリンのインドネシア法人、モリリン・リビング・インドネシアは今期(2019年12月期)も内販拡大に力を注ぐ。「メード・バイ・ジャパンのデザインと機能性を生かし、ミドルアッパー層向けを主体とする内販に大きくシフトする」(河合航太郎役員)

 設立から約5年。堅調な日本向け軽寝具に加え、寝具・インテリア専門店やホームセンターなど約300店舗運営する現地大手小売業との取引で内販を広げてきた。OEM取引は寝装・リビング関連からシートクッションなどのカー用品、エコバッグといった日用品まで幅広い。18年も主力の対日輸出、内販とも増収した。

 今期は前述のホームセンター(約200店舗)との取引本格化で、内販比率が前期の25%から65%に急増する見通し。対日輸出と逆転する。

 日本からデザイナーと営業課長も参加する商談会で、内販先バイヤーとのコンセンサスを深めるのが拡大の鍵。デザイナーは現地市場を視察した上で臨み、営業からは売れ筋など日本の市場情報を提供しOEMの精度を高める。こうして誕生した、日本のカワイイ文化を反映したクッションやラグなどは若い女性を中心に好評で、今期投入した冷感素材のブランケットやクッションもよく売れている。10月には薄手毛布が発売となる。

 今後は縫製工場など外注先を増やし、内販の安定的拡大にも努める。

〈設備投資で生産性向上へ/TTI〉

 東海染工グループのトーカイ・テクスプリント・インドネシア(TTI、西ジャワ州ブカシ)が新たな設備投資を進める。機械の更新や新規導入により染色、洗い、プリント、仕上げ加工での生産効率の向上、品質の向上を狙う。

 今年5月に中肉厚地を濃色に染められるコールドバッチ染色機1台を新たに導入した。この機械を持つのは東海染工グループではTTIのみで、これまでシャツ用途を中心とする薄地を得意としてきたTTIにとって新たな強みになる。

 先月末には3台あるフラットスクリーン捺染機のうち1台を更新した。一度にプリントできる量が増え、速度も速まった。今月から稼働している。

 今年10月末には8槽の水洗機を新たに導入する。これまで受注数量に対して水洗いの能力が不足しており、シルケット機を臨機応変に水洗機として使って対応してきた。水洗機の新設で、シルケット機も本来の能力を発揮できる。

 河西勝社長は今期の商況について「上半期は前年に比べ落ち込み、下半期も不透明な状況」とし「設備を充実させながら来期に向けた提案を積極的にしていく」と話す。

〈縫製品販売で増収へ/蝶理インドネシア〉

 蝶理インドネシア(ジャカルタ)が繊維事業の規模を拡大させている。

 同社の売上高構成比は繊維55%、化学品45%で前期と変わらないが、2019年12月期は今年1月に稼働した日系大手SPA向けの合弁縫製工場、マツオカインダストリーインドネシアの縫製品内販、アジア圏への輸出事業が新たに加わるため増収が確実な情勢。

 蝶理インドネシアの繊維事業は、日本で売られる衣料品用途の生地販売が8割、工業用繊維資材が2割。主力の生地販売では合弁染色加工場、ウラセプリマを強みとした高付加価値生地の供給量が拡大する。郊外店を展開するアパレルに向けたブラックフォーマルの販売が堅調なほか、20春夏に向けたカジュアルの受注も底堅い。最近ではユニフォーム用途で新たな顧客が増えている。

 ボリュームは大きくないが、中東民族衣装用生地も扱う。昨年まで在庫調整局面にあったことやサウジアラビアの現地人雇用促進政策などで商流が混乱し、市場全体が低迷していたが、今期は在庫が少なくなったとみられ、受注が回復しつつある。

 繊維資材分野は、インドネシアの経済成長に合わせて、産業用不織布、衛生材料、車両資材の需要が多方面で拡大。売り上げが年々増えている。

〈シャツの内販拡大へ/東洋紡インドネシア〉

 東洋紡インドネシア(TID、西ジャワ州カラワン)は繊維事業で、日本向けのシャツ関連の受注を維持するとともに、編み立ての技術を強みとしたビジネス・ドレスシャツのインドネシア内販を拡大させる。ユニフォーム関連では、企業用制服・学校体育衣料OEMの受注拡大、車両資材用途の編み地の安定受注により成長を模索する。

 TIDの繊維事業は現地で編み立て・染色加工を手掛ける東洋紡マニュファクチャリングインドネシア(カラワン)と東洋紡グループの縫製工場、STGガーメント(バンドン)を活用した編み、加工、縫製までの一貫生産体制を強みに展開する。

 繊維関連の直近の商況は主力のスポーツ衣料のOEMが不振で難しいかじ取りが続く。日本向けのユニフォーム分野は、ポロシャツなどニット製品を制服として採用する企業が増えていることから堅調。ビジネス・ドレスシャツ分野も布帛、ニットともに供給先のアパレルが順調に拡販を続けているため底堅い。衣料用で培った技術を応用した車両用繊維資材の販売も自動車メーカー向けに順調。

〈環境素材の販売が増加/ユニテックス〉

 ユニチカのインドネシア紡織加工子会社、ユニテックス(西ジャワ州ボゴール)が日本向けシャツ地用途で環境配慮型糸「エコパルパー」の販売を増やしている。

 エコパルパーは、ポリエステル短繊維を綿でカバリングした複重層紡績糸「パルパー」のポリエステルに再生素材を使った糸の通称。廃棄ペットボトル由来のポリエステルを使うため石油由来素材のリサイクルや廃棄削減に貢献する。

 これまでも日本向けのユニフォーム用素材の一つとしてエコパルパーを使った生地を供給してきた。ところが近年、アパレルの環境への意識の高まりから日本で売られるシャツ地用途原糸(40番単糸、50番単糸)としての需要が拡大しているもよう。現地で再生ポリエステルわたを調達し、糸でユニチカグループの海外販社と連携して拡販する。

 本田一馬社長はエコパルパーについて「シャツ地向けでこれから商機が拡大する余地がある」と述べる。

〈売上高30%増めざす/UTID〉

 ユニチカトレーディングインドネシア(UTID、ジャカルタ)は2019年12月期に売上高を前期比30%増にすることを目指す。主力の日本市場向けスポーツウエア用途のニット地の拡販に力を入れる。日本生産の生地を現地に置き換えて、販売機会の損失をなくし、同時に収益性を高める。

 これまで日本の北陸産地で作ってきた生地をインドネシア生産に移管し、同産地のキャパシティー不足を補いつつ、製造コストを改善させる。ユニチカが日本で生産する機能糸をインドネシアに輸出して現地の協力工場で生地する。

 UTIDの主力はスポーツニットだが、インドネシアでのスポーツウエア用機能織物の開発にも取り組む。上半期は機能ポリエステル100%の生地7品番の高密度織物を試作、透湿防水素材「タフレックス」など4品番を本生産する見通し。日本産機能糸を現地に輸出、製織、染色して縫製地に送る。

 スポーツウエア用途の高付加価値生地の開発に加え、寝装分野の生地開発、現地での農業用不織布の輸入販売、特殊なユニフォーム糸の生産といった新たな領域も強化し、業績拡大につなげる。

〈街角/訪れる度に交通網が進化〉

 今年4月にジャカルタ市内に開通した地下鉄の車両。半年に1度取材に訪れるが、毎回この国の成長を交通網の発達で実感する。最初に訪れたのは昨年2月。当時、スカルノ・ハッタ空港のターミナル間の移動にもタクシーかバスを使わねばならなかった。だが、その年の8月には、ターミナルを結ぶ無料モノレールが開通していた。今年2月には同空港と大企業が集まる市内とをつなぐ空港鉄道が敷かれており、市内までの移動にタクシーを使う必要がなくなった。定刻で動き、車両は新品そのもの、しかも安い。そして、先月には冒頭の地下鉄が開通しており、取材先のいくつかには50円ほどでいけるように。毎回、交通の便が良くなる。ただ、不思議なのは、首都圏近郊の渋滞だ。押し合い、へし合うように車やバイクでごった返す道路。街中で響くクラクションの騒がしさ。この情景は全く変わらない。