メーカー別 繊維ニュース

特集 安心・安全(7)/安心安全を支援する検査機関

2019年08月08日(Thu曜日) 午後2時16分

 日常生活を襲う異常気象や、防災などへの取り組み。安心安全対策は時代とともに、多岐にわたっている。検査機関は火災、有害化学物質への対応、サプライチェーン全体のCSR(企業の社会的責任)などにも事業を広げている。

〈カケン/防護服の試験でリード〉

 カケンテストセンター(カケン)は、防護服の試験を行う。作業用手袋に特化した製品規格では、欧州規格のEN388(機械的防護手袋)がある。工場で使用する安全手袋、家庭用軍手、キッチンで使用するゴム手袋などが対象。「これまで国内で試験できなかった耐切創性(クープテスト)の試験要望も多く、昨年、受託の体制を整えた。試験依頼が増えている」と言う。これは刃物と生地下の導電ゴムの間で、電気が導通することで、切創性を確認できるというもの。

 昨年4月に難燃作業服のJIS規格として、JIS T8128(溶接及び関連作業用防護服)、JIS T8129(熱及び火災に対する防護服―性能要求)、JIS T8130(防護服―火炎に対する防護服)が制定された。これら全ての試験をトータルサポートする。

 カケンでは消防服のような防護衣料の熱伝達性として、火炎暴露(火災への暴露時の熱透過率の測定)、放射熱暴露(放射熱暴露による防護服材料の性能評価)、火炎と放射熱暴露(火災及び放射熱の両方の暴露による防護服材料の性能評価)、接触熱暴露(押圧熱伝達の測定)の試験ができる。他にも人工血液・ウイルスバリア性、バクテリアバリア性などにも対応する。

〈ボーケン/品質保証のパートナーに〉

 ボーケン品質評価機構(ボーケン)は7月、東西で「海外の有害物質規制とその動向」をテーマにセミナーを開いた。「東京、大阪会場ともほぼ満席。欧米のリーチ規制やローズ指令といった特定有害物質への対応を説明したが、関心は大。背景にはサステイナビリティー(持続可能性)もあるようだ」と言う。

 海外ではクリーニング業者に繊維くずの回収を義務付ける法案も検討されている。有害物質の管理だけでなく、環境への取り組みにも企業の社会的責任は広がる。非衣料分野でも安心・安全を支援するため、ボーケンの生活産業事業本部は、自動車内装材の促進対候性試験、燃焼性試験のほか、岡山試験センターなどでは、自動車用の緊急脱出支援用具のシートベルト切断試験も行っている。

 こうした一点的な試験だけでなく、「サプライチェーンでの製造者・販売者の責任範囲が拡大している。継続品でも、当初の仕様書通りになっているかを、店頭抜取調査で確認する企業が増えている」。いわゆる“サイレントチェンジ”になっていないか、品質管理の一環としての依頼が来る。「試験をする機関から、お客さまと共同で品質保証を行うパートナーへの変革」を進める。

〈ニッセンケン/SDGs背景に急増〉

 ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)によると、昨年末以来、繊維の安全証明「エコテックス」認証への問い合わせが急増している。「商品の安全性だけでなく、サプライチェーン全体への関心が高まっている」。SDGs(持続可能な開発目標)をはじめとした消費者の安全、働く人の労働環境への配慮、地球環境の保全などに向けた取り組みが、世界的に求められていることに関連する。

 エコテックス国際共同体の調べでは、2016年から19年(6月時点)の3年間で、「エコテックススタンダード100」の認証取得件数は26・4%増え、2万1127件となった。持続可能な繊維生産の認証システム「ステップ」は36件から141件に増加。消費者へ生産情報を伝えるラベリングシステム「メードイングリーン」は38件から225件に増加、タグのQRコードで生産のトレーサビリティー(追跡可能性)も分かり、より消費者に近づいた。

 日本でも18年7月~19年6月の1年間で、スタンダード100認証の新規取得件数が前年比49%増を記録、00年の認証スタート以来、累計で約5200件となった。「企業のブランディングとして認証を取得する」という動きは、今という時代を象徴する。

〈QTEC/防炎ラベル需要伸びる〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は、消防法施行規則に基づく消防庁長官の登録を受けた登録確認機関であり、繊維関係の検査機関でこの登録を受けているのはQTECのみ。カーテンを中心に防炎ラベル表示事業者に対する確認業務を行っている。

 製品ロットごとに防炎性能確認試験を行い、製品に表示する防炎ラベルにロットごとの防炎性能確認試験の番号を記載する。防炎性能を担保するとともに、万一不都合が生じたときも、ラベルに試験番号を表記しているため、追跡調査できる。

 この試験を行っているのがQTECの福井試験センター。JIS L1091(繊維製品の燃焼性試験)のA法(燃焼試験)、B法(表面燃焼試験)のほか、JIS K7201(酸素指数による燃焼性試験)、安全規格UL―94(機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験)なども実施。「防炎ラベルの需要は伸びており、最近は海外向け試験の問い合わせも増えてきた」と言う。同センターではカーテンの遮像性試験も行う。外から室内が見えにくくなるカーテンの性能を評価する。他に断熱や保温、防汚性試験もある。「顧客の要望から評価方法を開発」する体制をとる。