メーカー別 繊維ニュース

夏季総合特集Ⅰ(4)/事例研究/令和を生き抜く 発展への道/「わが社の次代ビジネスへの萌芽」

2019年07月22日(Mon曜日) 午後1時17分

〈東洋紡/「ココミ」浸透に全力〉

 東洋紡はスマートウエア向けのフィルム状導電素材「ココミ」の販売に力を入れている。薄くソフトで伸縮性にも優れているため、体の動きにフィットし自然な着心地のスマートウエアを商品化できるのが特徴。

 2016年7月に販売を開始。アニコール(横浜市)が商品化した競走馬の心拍数測定用腹帯カバーに採用された。疾走する競走馬から生体情報を安定的にモニタリングできる特性が評価されたという。

 東海大学とはスポーツ分野向け生体情報計測用ウエア「スマートセンシングウエア」に関する共同研究契約を締結。スポーツ選手の効果的なトレーニングをサポートするウエアの開発に取り組んでいる。

 ユニオンツール(東京都品川区)とは長距離ドライバーの居眠り運転検知システムを共同開発したほか、東北大学、ユニオンツールと妊婦用のスマート衣料を共同開発。妊娠中に測定するデータを産後うつの研究にフィードバックさせる。

 熱中症対策や医療、介護といった命に関わる領域で今後、普及・浸透が進むとみており、「いいところまで進んでいる案件が幾つかあり、これらの成果を早く世に問いたい」と言う。

 現状では素材販売にとどまっているため、将来はシステムとしての販売を検討しており、そのときは「他社との協業に乗り出したい」との意欲を示している。

〈蝶理/耐久瞬間消臭素材を幅広く〉

 蝶理の紳士・スポーツウェア部は2019年、耐久瞬間消臭の機能を持つ素材「デオパピ」の提案に乗り出した。当初は医療・介護関連用品を打ち出したが、現在はアイテムを増やし、提案の範囲をインナー、タオル、小物などにも広げている。

 デオパピは、わた状の段階で繊維に消臭基を「接ぎ木のように」結合させる手法で製造する。綿、レーヨン、アセテート、ナイロンといった幅広い種類の繊維に活用でき、ポリエステル綿混などにも対応する。

 薬剤を使った「後加工」ではなく、繊維自体に消臭機能を組み込むため、洗濯や摩擦で機能が低下せず、効果は半永久的に持続する。

 その一方で、中和反応を利用して瞬間的に無臭化する機能も持つ。アンモニア、酢酸、イソ吉草酸、トリメチルアミンという主要な臭気成分に対し、その効果を発揮する。

 臭いを閉じ込めたり、別の香りをかぶせるような他の消臭法とは一線を画す。

 2月下旬に大阪市で開かれた「医療と介護の総合展」に同社として初めて出展し、デオパピを披露した。

 6月下旬には都内で開かれた美容・健康グッズの展示会に出展。介護関連用品に加え、インナー、ポロシャツ、タオル、靴用の消臭グッズなどの小物まで出品し、用途の幅広さをアピールした。今後は海外の展示会にも参加する。

〈豊田通商/サステ素材の取り扱い推進〉

 豊田通商は、サステイナブル(持続可能な)素材の普及に力を注ぐ。6月下旬に、「国際フェアトレード認証」を受けたコットンを使った作業服と帽子を名古屋市に納入した。作業服は既に、ごみ収集業務の担当職員に配布されている。

 フェアトレードコットン製品は、グループ会社との連携を生かし、綿花の買い付けから製造・販売まで一貫して手掛ける。認証も東洋棉花、信友、豊通ファッションエクスプレス、TBユニファッションが連携し取得した。

 今回の作業服と帽子には、インド産のコットンを35%使用した。数量の内訳は作業服の上が280着、下が990着、帽子が133個。上着の右上腕部と帽子に国際フェアトレード認証コットンラベルを取り付けた。

 フェアトレードコットンを使用した被服が政令指定都市に採用されたのは全国初。今後は、サステイナビリティー(持続可能性)に取り組むアパレルに向けても、フェアトレードコットンを活用した「コットンエイト」ブランドも展開する。

 独自の環境配慮素材も打ち出す。このほど開発した糸「リファイバー」は、リサイクルペットボトルを活用し、透け防止のフルダルポリエステルに仕上げた。

 吸水速乾の効果をもたらすY字断面と、生地の軽量化につながる中空断面を組み合わせた構造で機能性を高めた。生地に膨らみを持たせる特殊撚糸加工も施す。

〈帝人フロンティア/機能と感性の綿調ニット展開〉

 帝人フロンティアが20秋冬物から販売する「アスティ」は、リサイクルポリエステル長繊維を使った綿調ニット生地だ。綿の風合いと外観を再現しているほか、ポリエステル短繊維使いの生地と比べて繊維が抜け落ちにくく、環境にも優しい。時代の要請に即した素材として、スポーツやアウトドアなど幅広い用途に提案する。

 アスティは、細い部分と太い部分を不均一に混在させる特殊むら延伸技術から生まれた糸とソフト仮撚り糸を組み合わせた加工糸(アスティ用加工糸)がベース。ここに編み地表面の最適立体構造化と低張力加工工程設計(染色加工技術)を融合することで、綿の自然な外観と柔らかな風合いの付与に成功した。

 特殊な加工糸構造による毛細管現象で得られる優れた水分拡散性が特徴であるほか、糸むらによる表面凹凸が発汗時のべたつきを軽減する。抗スナッギング性も特徴。酸化チタンを練り込んだリサイクルポリエステルを用いているため、防透性や紫外線カット性も持つ。繊維の抜け落ちも起こりにくい。

 丸編み地の提案でスタートし、織物の開発も進める。スポーツ・アウトドア向けの重点素材に位置付けるほか、ファッション衣料、学生服・ユニフォームにも広げる。2020年度20万メートル、22年度100万メートルの販売を計画している。

〈東レ/GR・LIプロジェクト推進〉

 東レは全社ベースでグリーンイノベーション事業拡大(GR)プロジェクト、ライフイノベーション事業拡大(LI)プロジェクトを推進している。

 2018年度の売上高はGRが7869億円、LIが2230億円。中期経営課題の最終年度となる19年度でGRを9千億円に、LIを2700億円にそれぞれ引き上げる。

 繊維では、GRの一環としてPET再生ポリエステルやバイオ由来の原料から生産するポリエステルの開発・販促を進めてきた。

 これまでは短繊維を中心にPET再生ポリエステル「エコユース」を販売してきたが、再生ポリエステルへの引き合いがここに来て強まっていることに対応。ユニフォーム、スポーツ、婦人、紳士、カジュアルなどのあらゆる用途に向けた長繊維の開発を急ぎ、19年度はエコユーストータルで50%の拡販を目指している。

 バイオ由来のポリエステルの開発も重視する。原料の30%をバイオ化したストレッチファブリック「プライムフレックス」の販売が好調に推移。原料の100%をバイオ化する「エコディアPET」の開発が進行中で、試作品を既に完成させている。

 LIでは、紙おむつ向けのスパンボンドでアジアナンバーワンを堅持するための拡大戦略を続行。ウエアラブル「ヒトエ」の普及・浸透を当面の課題に位置付けている。

〈ユニチカトレーディング/「エコフレンドリー」前面に〉

 ユニチカトレーディングはケミカルリサイクルやマテリアルリサイクルの手法で生産する再生ポリエステルを統合した新ブランド「エコフレンドリー」を前面に20春夏商戦に臨んでいる。

 婦人服地では、再生ポリエステルで開発した、反発感が特徴の「ペオス」、独特の光沢やきしみ感を持つ「ノイエ」、ドライタッチ、リネン調の質感を持つ「ジュフィー」を20春夏向けの戦略素材に位置付ける。

 6月中に染め上がり品を完成させ生地商に提案。商談を進めているほか、エコへの関心が強い欧州メゾンへのアプローチにも乗り出した。

 スポーツ向けでは、耐久撥水(はっすい)「タクティーム」、吸汗速乾「ルミエース」、UVカット「こかげマックス」などでエコフレンドリー版をラインアップする。

 マイクロプラスチック問題を踏まえ、起毛せずにフリース並みの保温性を持たせた「エアーホールド―NB」も新たに開発している。

 糸売りでは、難燃の紡績糸、UVケアの紡績糸「サラブリーズ」、軽量・透け防止の長繊維「クールアート」などで企画提案を進めている。

 ポリエステル生産量に占めるエコフレンドリーの比率は2018年度で約5%。今後はケミカルリサイクル品を軸に開発・販促を強化し、30年度でポリエステルの半分をエコフレンドリーに置き換えたいと言う。

〈クラレ/サステイナブルな銀付き開発へ〉

 クラレは人工皮革クラリーノ事業で、「EU域でここにきて環境対応企画へのニーズが強まっている」ことを踏まえ、サステイナビリティーを意識した取り組みを加速。環境配慮型の商材を新ブランドに統合して打ち出す新しい販売戦略を検討し始めた。

 再生ポリエステル使いの「ティレニーナ」の開発を強化するとともに銀付きの造面加工を無溶剤で行う技術を確立し「業界の先鞭を切りたい」と意欲的に取り組んでいる。

 クラレは製造工程から有機溶剤を一掃した環境に優しい手法で生産する「ティレニーナ」をスエードタイプ中心に販売中。

 しかし、ここにきてリサイクル素材へのニーズが高まっている現状に対応するには、「無溶剤タイプの販売だけでは通用しない」との認識を示す。

 このため、再生ポリ使いや現在、開発を急ぐ銀付きの無溶剤タイプ、バイオ原料使いといった環境配慮型の商材を冠ブランドで国内外に打ち出すブランド戦略を早急にスタートさせたい考えだ。

 クラレは海外の数社と造面加工で連携している。年内に中国のグループ会社・ヘーシンHDで銀付きを無溶剤で加工する技術を確立して後、この技術を連携先へも移植し、来年から連携先での加工をスタートさせる。

 再生ポリエステルによる商品開発も進めており、ティレニーナのベースクロスを再生ポリで商品化したエコタイプを19年度中に投入する。

〈旭化成/未来の車に不可欠な存在へ〉

 旭化成は、自動車業界との“関係”を深めている。2016年4月に発足したオートモーティブ事業推進室が横串機能となってアプローチを強めた結果、自動車メーカーなどとの商売はもちろん、将来を見据えたディスカッションの機会も増えている。同社の存在は、未来の自動車に不可欠となりそうだ。

 繊維やポリマー、センサーなど幅広い商材を自動車用途に提案している同社。以前はそれぞれの分野で独自に動いていたが、同推進室が立ち上がったことでトータルなアプローチが可能になった。「コンセプトカーの作成によって本気で自動車ビジネスに取り組もうとする意志」が顧客に伝わった。

 それらの成果はコミュニケーションという形になって表れる。「顧客の顧客、そして自動車メーカーとも対話ができるようになった。自動車メーカーの開発チームと未来の自動車について議論を行うことも増えた」と言う。オール旭化成の展示会開催による商談も充実を見せる。

 素材メーカーならではの視点での提案も魅力の一つだ。例えば、「アクシーPOD」は、さまざまな繊維製品や樹脂製品、センサーなどを用いて未来の車室空間を具現化したコンセプトモックだが、土足禁止や木材の使用など、従来の車室空間にはない発想が取り入れられている。

〈シキボウ/改めて「コットンUSA」活用〉

 シキボウは国際綿花評議会(CCI)が認証する良質な米綿使い製品の印しである「コットンUSA」マークを活用した綿糸や製品の開発と提案に改めて取り組む。CCIが中心になって精密農法で栽培される米綿は“世界で最もサステイナブルな繊維”を打ち出しており、これを生かして今後のサステイナブル(持続可能な)素材のニーズに応える。

 同社は、コットンUSAマークの認定サプライヤーとしてコットンUSA認定商品に従来力を入れていた。富山工場だけでなく現在ではベトナムの協力工場でもコットンUSA認証の綿糸を生産する。インドシア子会社のメルテックスも米綿使いの生産が多い。

 特にベトナム生産は近年、サンホーキン種から「スーピマ」まで多彩な綿種の原綿を使用するなど商品バリエーションが拡大した。同社の特殊精紡交撚糸「デュアルアクション」を中心に強撚タイプや甘撚りタイプも生産する。主にカジュアルやインナー用途が多い。

 同社では今後、CCIとも協力しながらサステイナブル繊維としての米綿を一段と打ち出す。原綿や紡績技術だけでなく加工との組み合わせによる高付加価値化も重視。例えば連続シルケット加工糸を現在でも国内で生産しているのは事実上、同社だけとなった。こうした希少性も打ち出したいとする。電子商取引(EC)に対応した商品説明の充実にも取り組む。

〈カネカ/PHBHの繊維化急ぐ〉

 カネカは今年4月に新しい中期計画をスタートさせ、モダクリル「カネカロン」などを展開するクォリティ・オブ・ライフ部門は業績を2018年度の売上高1567億円、営業利益151億円から21年度には2185億円、280億円へと大きく伸ばす。

 パフォーマンスファイバー事業では、カネカロンを国内6万千トン(年産)、海外1万2千トン(同)体制で展開しており、18年度はアフリカ向けの輸出、パイル、難燃資材のいずれもが好調で増収増益を達成。19年度以降は引き続き頭髪用付け毛向けを中心に拡販を計画する。

 「アフリカの女性の美に貢献する」ため、2010年に始めたヘア・ビューティコンテストの見直しを進めており、来年から「かなり違った形にブラッシュアップし改めて打ち出す」方針。

 中計では、将来の増設・増産をにらみ、売り切る仕組みを今以上に充実させるとともに、新規機能繊維の開発を急ぎ事業拡大に取り組む。

 カネカは生分解性ポリマーPHBHの事業化に取り組み、マイクロプラスチック問題が浮上するに伴い、PHBHへの注目度が高まっていると言う。現在、年産千トンから同5千トンへの増設を進めており、25年度ごろをめどに年産2万トン体制を構築。この時点で繊維や不織布のラインアップを目指している。

〈ダイワボウレーヨン/セルロースの可能性追求〉

 ダイワボウレーヨンは、従来の化学繊維ではなく天然由来のセルロースファイバーとしてレーヨンの位置付けを強めることで、用途開拓など新たな可能性を追求する。

 マイクロプラスチックによる海洋汚染への懸念などから、“脱プラスチック”の流れが世界的に強まった。このため合成繊維やフィルムの代替となる天然由来原料の需要拡大が期待できる。福嶋一成社長は「レーヨンで合繊代替需要を開拓できる可能性が高まった」と指摘する。そのために「レーヨンを“化繊”ではなく“セルロースファイバー”と認識してもらうことが重要になる」と話す。

 そのためにレーヨンのさまざまな特性や機能を高度化することが重要になる。海洋中での生分解性を確認した「DRコロナ(仮称)」、水素結合による自己接着性を持つ「SBH」などの開発に成功した。撥水(はっすい)機能を付与した「エコリペラス」も従来にない機能として注目される。

 こうした商材を活用することで合繊やフィルムが使われている用途にレーヨン短繊維やレーヨンショートカットファイバーによる機能紙の市場開拓を目指す。

 副生物の再利用も含めて製造プロセスでの環境配慮を一段と強化する。さらに綿などセルロース繊維全体でのリサイクルシステム構築も視野に入れた開発も進める。

〈新内外綿/「mocT」販路広がる〉

 新内外綿の製品ブランド「mocT(モクティ)」の売り先が広がっている。同社の70年を超える歴史の中でも自ら手掛けるアパレル製品は珍しい。杢(もく)糸のパイオニアとして知られる名門紡績が作るというストーリーも消費者の関心を引き付けている。

 2018年2月にビームスから定番商品を売り出し、販路開拓がスタート。今では、全国のビームスに加え東京、大阪、名古屋、九州のセレクトショップでも取扱店が出てきた。さらなる販路開拓に向け今年秋、東京・渋谷開催のファッション総合展も活用する予定。

 電子商取引(EC)では、ブランド立ち上げ当初、ビームス経由が主力だったが、18年12月にモクティ公式サイトを開設し、直接消費者に売るルートを作った。

 海外では米国、英国、フランス、中国、インドネシアに販路を開いた。同社の海外エージェントや日本製品を輸出する企業と組んで、米国の西海岸、英国・ロンドン、フランス・パリでも販売する。今年6月には香港でポップアップ店を設けた。インドネシアでは高級セレクトショップ向けでオーダーがある。

 モクティは、新内外綿のグレー杢糸「GR7」を使い、紡績、編み立て、縫製まで全て日本国内で行う。パーカ、Tシャツ、スエット、靴下など約40アイテムを展開する。

〈ブラザー工業/自動化のニーズ見極める〉

 ブラザー工業はアジアへの販売強化を軸として、多種多様な縫製物に対応した多彩な工業用ミシンを訴求する。モノのインターネット(IoT)による生産管理の効率化に引き続き力を入れ、顧客の自動化に対するニーズを見極め、それに合った商品やソリューションを提案する。

 今期(2020年3月期)の見通しは米中貿易摩擦の影響により中国、アジアの販売は不透明。6月末のG20サミットで米国による追加関税は延期となったものの、生産現場ではアジアシフトの流れが続いており、難しいかじ取りを強いられている。

 同社としてはアジア重視の戦略は維持する方針で、IoT時代に対応した次世代縫製機器「ネクシオ」シリーズを中心に売り込みを図る。衣料はもちろん、靴やかばん、車のシートなどに対応する機種をそろえ、高品質な縫製に加え、省人化や省力化などの自動化にも貢献する。

 6月に発売した電子ボタン穴かがりミシン「HE―800C」は新型釜の採用で糸切れや糸締り不良を防止。9月に発売する「BAS―370H/375H」は広い縫製エリアを備えながら、コンパクトなサイズで省スペースを実現した。

 環境保護などの取り組みにも積極的。環境ラベル「ブラザーグリーンラベル」は、省エネ性や再資源化能率といった厳しい自社基準を定めており、ネクシオは全ての機種で取得している。

〈YKK/コスト、納期、サステ対応を〉

 YKKは2019年度のファスニング事業で「スタンダード」(ボリュームゾーン)向けの商品・モノ作り強化を継続するとともに、供給・開発拠点も強化する。黒部事業所・古御堂工場の一部建屋建て替え・FA設備導入などを行う。

 松嶋耕一取締役副社長ファスニング事業本部長は「ファスナー年間販売100億本は達成したが、コストや納期の難易度は年々上がっている」と語る。古御堂工場は、24時間稼働モデル工場を目指し、工程内の物流の自動化やデジタル化などにより、生産設備の無停止・無人・省人化に取り組む。生産性を上げ、納期を短縮する。業務面でもTPM活動(生産効率を極限まで高めるための全社的生産革新活動)や、RPA(ロボットによる業務プロセス自動化)を進め、効率化を図る。

 黒部事業所には「縫製合理化研究開発室」も設置した。「多様化するお客さまの縫製現場での効率化の悩みを解消」するのが目的。サステイナビリティー(持続可能性)を軸にした事業・商品開発体制の構築も推進。新たに「ファスニングサステナビリティ推進室」を設置した。顧客の要望を受けて一元的なファスニング事業としての戦略を立案・実施する。環境関連の商品開発を進めるほか、持続可能な事業体制の構築を目的に自社独自のコンプライアンス基準を設けその維持・強化にも取り組む。

〈ペガサスミシン製造/世界初の技術駆使〉

 ペガサスミシン製造は、世界初の技術を組み込んだミシンの提案に力を入れている。

 昨年1月に、特許技術で実現した世界初の左右独立差動調節機構を搭載したフラットシーマー「ラルゴ」を、世界同時発売した。10年以上前に同社は、フラットシーマー市場に「FS700」シリーズを投入し、同シリーズの改良に力を注いできた。その努力の結晶と言えるのが、ラルゴの愛称で発売した今回のFS700Pシリーズだ。

 近年、伸縮性の異なる生地をフラットシーマーで縫い合わせる事例がスポーツウエア用途などで増えている。この場合、生地を引っ張りながら縫うといった技術を駆使する必要があった。ラルゴの左右独立差動調節機構は、このような手間を不要にする。フラットシーマーの分野で同社のシェアは高くはなかった。しかし、「ラルゴ」を発売して以来、明らかに上昇していると言う。

 昨年2月に発売したGXTシリーズも、日本市場を中心に好評を得ている。これは「世界最高のオーバロックミシンを作ろう」との意気込みで開発したもの。これまで、厚さが大きく異なる生地を地縫いするには、ミシンのカバーを外して調整する必要があった。GXTシリーズはそれを、外部レバーを操作するだけで行えるようにした。これも世界初の機能だと言う。

〈レクトラ・ジャパン/カスタマイズ生産に対応〉

 レクトラ・ジャパンは、昨年12月に発売したカスタマイズ生産対応の統合システム、「レクトラ裁断プラットフォーム(レクトラ・ファッション・オンデマンド)」の提案に力を入れている。

 同システムは、パターンメーキングCADの「モダリス」、新たに開発したクラウド上の素材管理システムと工場への発注管理システム、そしてこのシステム専用に開発された高速1枚断ち自動裁断機「ビルガ」などで構成される。

 まず、顧客の要望する服をモダリスでデザインする。デザイン、サイズ、生地、付属品などのオーダー情報が決まれば、そのデータはクラウド上でシェアされる。そこにある素材管理システムの「マテリアルマネージャー」に、使用する生地情報と事前の定義付けを登録しておけば、生地の特性に応じてマーカーが自動修正される。生地の特性に応じた裁断スピードの決定なども自動的に行う。

 さらに、インターネットを介してつながっている縫製工場の情報を、クラウド上の発注管理システム「オーダーマネージャー」が取得。どの工場にどのような生地の在庫があるか、そして自動裁断機ビルガの稼働状況はどうなっているかを勘案し、どの工場でどのような順番で作ればいいかを自動的に提案。仕事を割り当てられた工場では、ビルガで自動的に裁断する。