メーカー別 繊維ニュース

環境特集(7)/環境やCSRに対応する検査機関

2019年06月17日(Mon曜日) 午後3時35分

 SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが進む。テキスタイル企業や商社、アパレルは環境配慮型の生地提案を進めるほか、サプライチェーン上にある生産工場の労働環境や人権についても監査活動を開始する。検査機関はそうした環境や安全性、CSRへの要望にも対応する。

〈カケン/海外展開、CSRを支援〉

 カケンテストセンター(カケン)は、「環境や安全に対するニーズが高まり、企業の社会的責任も求められている」とし、海外での製品販売時の安全性やCSR工場監査などによって企業を支援する。

 繊維産業にとって海外市場開拓は大きな課題。しかし、相手国によって規制対象の化学物質や法規制が異なる。このため、カケン国際部のグローバルマネジメント室は、RSL(制限物質リスト)を作成、対象物を分析・試験する。情報面でビューローベリタスとも提携する。

 「海外での製品販売では、品質表示、物理的安全性(小さな部品をベビーが誤飲するといった事故)、化学物質の安全性が重要。アドバイスから管理方法の提案まで行う」

 東京事業所の目黒ラボにはグローバルコミュニケーション(GC)戦略室も設け、海外の法規制、市場や慣習など幅広く情報を収集、発信する。表示指示からネームまで一貫管理できる「多言語表示サービス」も始めた。

 カケンは海外工場のCSR監査も実施し、日本アパレル・ファッション産業協会の「CSR憲章」策定にも協力。最近はCSRに関する問い合わせが増えたことから、18~20日に東京、名古屋、大阪で「カケンCSRセミナー」を開く。CSRの基礎や、CSR監査の事例紹介、法律面での解説も行う。環境面ではマイクロプラスチック問題にも取り組む。

〈ボーケン/サステ対応を一層強化〉

 ボーケン品質評価機構(ボーケン)は4月に機構改革を行い、事業本部制となった。これに伴い、東西にあった化学分析センターは認証・分析センターに名称を変更、化学分析だけでなく、有害物質管理や労務管理などのアドバイスを行い、サステイナビリティー(持続可能性)への対応を強めている。

 サステイナビリティーを背景にサプライチェーンの工場監査が求められる時代に入った。ボーケンは中国の拠点(青島、常州、上海)で展開するQC(クオリティーコントロール)監査に、オプションとして労働環境や人権についての監査もできるよう準備を進める。労働関連のCSRチェックシートはほぼできた段階。今後は現地スタッフによる監査体制も構築する。

 ボーケンは国交省指定の性能評価機関として登録されており、ホルムアルデヒド発散建築材料性能評価を行う。大阪の本部ビルには大型チャンバー室2部屋を設け、家具やカーペットなどの製品から放散されるホルムアルデヒドやVOC(揮発性有機化合物)など有害物質濃度を測定。容器や玩具などのフタル酸測定も行い、衣料以外の分野でも安心安全を支援する。

〈QTEC/品質+人権の工場監査も〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は1月、ZDHC(有害化学物質排出ゼロ)グループに加入した。これは、日本の繊維産業のサステイナビリティー(持続可能性)への取り組み支援の一環と言う。加入後はさまざまな企業からSDGsに関する問い合わせも増えており、関連セミナーも開いていく。今年度中に工場監査に向けたスキームも作る考え。

 ZDHC(本部はオランダ・アムステルダム)は2011年に設立された。28のブランド企業、81のバリューチェーン関連企業と17団体の合計126社・団体が加盟する繊維・皮革及び履物産業の化学物質の適正管理を目指すグループ。加入により「ZDHCのメンバーブランド企業と直接間接に取引のある企業に対し、日本語による情報提供と支援を行うことができる。化学物質の適正管理を志向する企業にも、ZDHC方式の取り組み支援が可能」(QTEC)と言う。

 QTECはこれまで工場審査、監査業務を行ってきた。「品質が中心の監査だが、要望があれば人権についてもオプションとして監査に加える」。ZDHC関係でも今年度中に審査の手順やチェックシートなどのスキームを作っていくことを予定する。

 ZDHCは6日に都内で、7日には福井市でZDHCプログラムと導入の解説セミナーを開いており、QTECが協力している。

〈ニッセンケン/「エコテックス」認証を〉

 ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)が認証する「エコテックススタンダード100」は、4月だけで8件を認証、現在の実稼働認証は約420件(累計は4500件以上)と好調だ。世界全体でも実稼働認証は3月末で1万6754件と、この3年で3割増加した。

 エコテックス国際共同体は、スイスのチューリッヒを本部に、欧州15カ国とアジアでは日本のニッセンケンが加盟する。繊維関連製品の安全認証エコテックススタンダード100のほか、最近ではエコテックスファミリーとして染料・顔料など化学薬剤の安全認証「エコパスポート」、素材の安全性や生産地を示せるトレーサビリティー(追跡可能性)証明「メード・イン・グリーン」、持続可能な環境・社会に配慮した生産現場の認証「ステップ」も展開する。

 「世界的にはエコパスポートが3月末で363件、メード・イン・グリーンは182件、ステップは285件の認証実績。安全性だけでなく、環境や社会に配慮した生産現場なども視野に入れる企業が増えている」と言う。

 ニッセンケンには、企業からエコテックスの取り組みを企業内ミニセミナーの形で紹介してほしいといった依頼が増えてきた。サステイナビリティーに対する具体的な活動として注目されている。一方、海外貿易主体の「中国やインド、バングラデシュでの関心は日本以上に高い」ようだ。