メーカー別 繊維ニュース

緊急事態宣言延長とアパレル/春夏は在庫処分一色に/収束後も消費変化は顕著

2020年05月08日(Fri曜日) 午前11時33分

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、政府が6日までの緊急事態宣言(7都府県)を発令したのは4月7日。約1カ月を経過した4日、緊急事態宣言は5月末まで延長された。アパレル業界は「館の方針に従う」形でこの1カ月対応し、売り上げが大幅に落ち込み、秋冬物受注活動も停滞した。収束後も消費は元の姿に戻らない。(鈴木康弘)

 主要百貨店は4月8日から約1カ月間、臨時休業していた。6日の営業再開に向けてアパレルは「再開が確定した時点で出荷指示。展開済みの3月商品の返品を行う」(三陽商会)、「7日に倉庫から新規商材を出荷、在庫とセール併売を予定」(フランドル)、「商品の入れ替えやセール準備など計画的に進める」(レナウン)など、準備していた。

 しかし、政府は緊急事態宣言を31日まで延長。特に13の特定警戒都道府県には引き続き8割の接触回避を求めた。仮に6月に店舗が再開されても、3~4月の春物、5~6月販売予定の夏物は一斉セールに回される。この在庫処分で、各社の粗利率低下は否めず、キャッシュフローの悪い企業ほど換金売りに走る。

 傷口は春夏だけで収まらない。20秋冬に向けた具体的商談も遅れている。

 イトキンは「秋冬展示会は見送った。卸先に受注書やマップなどを送付」して対応する。三陽商会は「展示会の開催は中止。個別対応していく。専門店への卸売り受注会は4月から6月に延期」した。フランドルも「秋冬展は中止。サンプルを用意し、個別商談」対応。レナウンも「写真資料などを用いて個別に商談」している。

 ワールドは「卸事業ではこれまでも専門店向けのウェブ展示会を行ってきた。5月展に向けより機能を充実する。顧客にカタログを送付して電話で受注、動画を会員制交流サイト(SNS)にアップするなど複数提案」で対処する。

 新型コロナの収束時期は不透明だが、収束後のアパレル業界は大きな変化を遂げそうだ。バロックジャパンリミテッドは「自粛や休業期間中に、顧客の電子商取引(EC)への接点が増えた。アパレル全体のEC比率はさらに伸びる。収束後、顧客が前のように店舗へ戻るとは考えにくい。店頭施策などを再検討する」。このEC拡大見通しは各社に共通している。

 レナウンは「社会情勢が大きく変化する」と指摘。テレワークなどによる働き方の変化や収入減で、消費傾向や購買動向も変わる。不要不急でない消費は避け、「価値の明確な商品以外は苦戦する」と予想。「ビジネスコードの変化で従来のビジネスウエアは退潮傾向となり、ワークウエアやリラクシングウエアなど機能性のある商品ニーズが高まる」と見込む。

 オンワードホールディングスは「生活者の価値観、消費行動の大きな変化が予見され、ライフスタイルも変化する」とみる。「不要不急商材の買い控えやジャストシーズン商材へのニーズが拡大」(フランドル)のほか、ワールドは「企業再編の加速」を予想する。