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国際競争さらに激化か/どうなる?国産レーヨン/オーミケンシの撤退で激震

2020年05月15日(Fri曜日) 午前11時18分

 オーミケンシは13日、2020年9月末までにレーヨン短繊維・紡績糸の生産とテキスタイル事業から撤退すると発表した。国産レーヨンの生産はこれまで同社とダイワボウレーヨンの2社体制だったが、その一角が撤退することから業界に激震が走る。国産レーヨンの供給が減少することで市場でのプレゼンスを失い、輸入わたとの国際競争が一段と激化する懸念も出てきた。

 レーヨン短繊維はここ数年、中国など新興国での生産能力拡大で需給バランスが緩み、わた値も下落するなど国際市況が低迷していた。こうした中でのレーヨンわた・糸生産から撤退を決めた同社の前田利文専務は「もはや国内での生産は難しいと判断した」と話す。

 同社は今後、繊維関連事業としては新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と取り組む「CNT複合溶剤法セルロース繊維」や環境再生保全機構と取り組む「海洋生分解性セルロースナノファイバーコンポジット」など環境に焦点を当てた研究開発事業、タオルなどホームファニシング事業などに経営資源を集中する。

 このため加古川工場(兵庫県加古川市)のレーヨン製造工場は閉鎖するが、紡績工場は残し、そこに研究開発事業の設備を導入する。CNT複合溶剤法セルロース繊維は21年度、海洋生分解性セルロースナノファイバーコンポジットは23年度の事業化を目指す。一部の機能レーヨンや差別加工生地は「OEM生産で販売を継続することも模索している。機能レーヨンに関する技術ライセンス供与なども選択肢になる」と話す。

 オーミケンシのレーヨン生産撤退で、同社から原綿を調達していた不織布メーカーや衛材メーカーも対応を余儀なくされそうだ。既に水面下でさまざまな動きが出ているとの業界関係者の声もある。

 今後は国産レーヨンを生産するのはダイワボウレーヨンの1社だけとなる。ダイワボウレーヨンの福嶋一成社長は「これまで2社で競争してきたが、1社体制になると“国産レーヨン”の存在感自体が弱まり、輸入わたとの競争が一段と激しくなる可能性がある。改めて“国産”のレーヨンをどのように打ち出すかが重要になった」と指摘する。

 同社の取引先の中には同社とオーミケンシの2社から原綿調達している企業も少なくない。こうした取引先に対して「要望があれば、可能な限り供給責任を果たす」と話す。