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紡績の2020年3月期決算/繊維事業の不振深刻化/新型コロナで期終盤に打撃

2020年05月25日(Mon曜日) 午後1時8分

 大手綿紡績の2020年3月期連結決算が出そろった。全社ベース業績ではITインフラ流通事業が好調のダイワボウホールディングス(HD)が過去最高の業績となり、富士紡HDも研磨材事業と化学工業品事業が業績をリードして経常損益段階までは増収増益となった。ただ、繊維事業は全社が減収となり、4社が営業損失を計上するなど不振が深刻化している。第4四半期(20年1~3月)には新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動停滞も打撃となった。

 過去最高の業績となったダイワボウHD。繊維事業も減収減益ながら比較的落ち込みは少ない。合繊・レーヨン部門はコスメ用途が低迷したが除菌・制汗関連製品の販売が増加した。産業資材部門は建築資材など機能資材が好調だったが、テント・重布が振るわなかった。衣料製品部門はインバウンド需要減退と暖冬の影響で苦戦した。

 富士紡HDの繊維事業は黒字こそ維持したものの大幅な減収減益。主力のインナー製品はインターネット通販などが拡大したものの百貨店や量販店の衣料品売り場縮小やプライベートブランドとの競争激化の影響を受けた。糸・生地販売も低採算品からの撤退を進めた。加えて期の終盤に新型コロナの影響で需要が減退したことも打撃だった。

 クラボウは繊維事業の営業損失が拡大した。ユニフォーム、カジュアル原糸ともに市況低迷で苦戦。タイや中国の子会社も為替要因などで受注が振るわなかった。

 シキボウの繊維事業も営業損失が拡大。中東民族衣装用織物は市況回復で順調に推移し、ベトナムやインドネシアで生産する原糸の販売も堅調だったがユニフォーム地は流通在庫増加の影響で苦戦した。ニット製品も取引先の販売低迷で苦戦した。2月以降は新型コロナの影響で海外生産の遅延や需要急減による打撃も大きかった。

 オーミケンシは繊維事業が赤字転落した。原燃料上昇などのコストアップに対して価格転嫁が遅れたことや衣料品市況低迷から売上高も減少した。日東紡の繊維事業も営業損失だったが、こちらは損失が減少した。主力の芯地事業で中国子会社の日東紡〈中国〉を売却し、国内に生産移管したことなどで採算が改善した。

 総じて繊維事業の不振が一段と深刻化したことで、今期は各社とも抜本的な改革に迫られる。加えて新型コロナによる経済低迷の打撃もこれから本格化することが予想され、事業環境はさらに厳しい。今期は各社とも難しいかじ取りを求められることになりそうだ。