メーカー別 繊維ニュース

特集 スクールユニフォーム(7)/素材メーカー編/多彩な機能で学生生活を支援

2020年05月27日(Wed曜日) 午後1時29分

 学生服に求められる機能は一段と高度になった。家庭洗濯が可能なイージーケア性や快適な着心地を実現するストレッチ性などニーズは幅広い。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を背景に抗菌・制菌や抗ウイルスなど衛生に焦点を当てた機能加工が学生服分野でも注目を集めそうだ。素材メーカー各社とも多彩に機能素材を開発・提案する。学生服地やスクールシャツ地、副資材の供給を通じて快適で安全な学生生活を支援する。

〈合繊の強みを打ち出す/ストレッチ品やIJ捺染も/東レ〉

 東レは合繊メーカーとして強みを発揮し、ポリエステル高混率品やポリエステル100%品を学生服地でも積極的に打ち出す。ストレッチ品やインクジェット(IJ)捺染もスクール分野に投入し、学生服素材の新たな価値を提案する。

 学生服地は近年、イージーケア性などへのニーズが一段と高まったことでポリエステル高混率品のシェアが高まってきた。東レが販売する学生服地でも学校別注向けの主力商品である「トレラーナ」の販売拡大が続く。従来はウール50%・ポリエステル50%混が主流だったが、ここにきてウール30%・ポリエステル70%混品が拡大した。ポリエステル100%の梳毛調生地「マニフィーレ」も引き合いが増えている。

 一方、ウール高騰や染料価格上昇で採算は一段と苦しくなった。このため1月から値上げを実施した。こうした中、2021年入学商戦に向けて引き続き合繊高混率品の打ち出しを強める。抗菌や防汚など機能加工の提案を高度化する。ストレッチ品にも力を入れ、ポリエステル加工糸によるストレッチ素材「ライトフィックス」をパンツ、ブレザー向けにスクール分野でも拡大する。

 柄物では小松マテーレと取り組むIJ捺染「モナリザ」も改良が進み、濃色表現が向上した。先染め織物と合わせて、柄物でもポリエステル100%品の普及を目指す。

 これまで重点的に取り組んできた夏物素材の販売強化にも努める。こちらもライトフィックスを活用した涼感ストレッチなど機能素材で付加価値の明確な商品提案に取り組む。

〈トリコットシャツが堅調/抗ウイルス加工の注目高い/シキボウ〉

 シキボウはスクール分野に織物シャツ地だけでなくポリエステル100%トリコットシャツを提案し、販売を拡大している。2021年入学商戦に向けて素材バリエーションを拡充する。

 ポリエステル100%トリコットシャツは、洗濯時のイージーケア性などが評価され堅調な販売が続く。このため素材バリエーションを拡充しており、21入学商戦に向けてポリエステル・綿混や綿100%タイプも開発を進めた。

 一方、新型コロナ感染症の拡大を受けて、抗ウイルス加工「フルテクト」への引き合いが急増している。学販シャツ地だけでなくスレーキなど副資材としても採用を検討する動きが出てきた。

 このため、抗ウイルス加工をはじめ、抗菌や制菌など衛生に焦点を当てた素材をスクール分野にも積極的に提案する。学販シャツ地だけでなく周辺商品にも採用を広げることを目指す。

〈サステ対応の三次品質強化/芯地の一貫生産を強みに/東海サーモ〉

 芯地総合メーカーの東海サーモ(岐阜県大垣市)は一次品質の耐久性、二次品質の快適性・イージーケア性に加え、サステイナビリティー(持続可能性)に対応した三次品質を強化する。

 同社は国内の2工場(本社・西大垣)で紡績から染色整理加工までの一貫生産が強みだ。昨年10月には環境マネジメントに関する国際規格「ISO14001」を取得。リサイクル素材を使用した副資材で環境負荷低減や資源の有効活用を図る。

 環境負荷低減に向けて、製造工程での水の使用量や環境負荷物質の削減に取り組む。原着繊維使用の接着芯地や毛芯地、肩パット、裄綿(ゆきわた)、インサイドベルト芯の訴求力を高める。「エコテックススタンダード100」の認証を受けた副資材も打ち出す。

 資源の有効活用に向けて、リサイクルポリエステル原料使いの副資材を展開する。直近では生地同士や生地とフィルムを貼り合わせるボンディング加工の開発を精力的に行う。意匠性や風合い改善、透湿防水・防風といった機能を付与する。

 設立は今年で62年目を数える。1950年代にいち早く接着芯地の技術をドイツから導入。基布から接着樹脂まで複数の特許を取得し、その技術を製品開発に生かす。

〈環境、SDGsを重視/ウールの天然の機能打ち出す/ニッケ〉

 ニッケは学生服地でも世界的に要求の高まる環境配慮やSDGs(持続可能な開発目標)への対応を強化する。合繊高混率品との競争も激しさを増す中、ウールが持つ天然の機能性などを打ち出すことで、学生服地でのウール高混率品のシェア維持に取り組む。

 同社の2020年入学商戦向け学生服地販売は、流通在庫の減少や縫製スペースのタイト化を背景にアパレルが比較的積極的な備蓄生産に動いたことから堅調に推移した。戦略素材「ミライズ」も主力の店頭販売学生服向けに加えて学校別注向けでも採用が広がっており、倍々のペースで拡大する。

 一方、学生服もイージーケア性への要望などから合繊高混率品との競争が一段と激しくなった。同社の販売する学生服地もパンツ地やスカート地を中心にウール30%・ポリエステル70%混など合繊高混率品の比率が高まる。ただ、市場全体で見るとMC商戦でも依然として学生服の50%以上はウール混率50%以上の生地が使われており(同社調べ)、引き続き品質や機能面からウールが選択されていると分析。ウール高混率品のシェアを守ることに取り組む。

 このため21入学商戦向けでは消臭性や防汚性などウールが持つ天然の機能性を一段と打ち出す。環境やSDGsへの取り組みも強化し、天然繊維であり生分解性を持つといったウールの環境に優しい性質などをアパレルや学校に対して積極的にアピールする。混紡するポリエステルでも再生ポリエステルの活用を進め、さらに新型コロナをきっかけにニーズが高まる可能性のある抗菌など衛生に焦点を当てた加工素材の準備も進める。ニット素材の開発にも力を入れる。

〈グループ各社の強み生かす/低価格素材の開発も/御幸毛織〉

 御幸毛織のユニフォーム事業における2020年新入学商戦は、各アパレルとの取り組みによる商材の受注が順調に推移し、前年と比較し受注数量が増えた。

 長短複合糸を使った学校制服生地の主力商品「プロタック」は、繊細なファインウールを採用し、優れた耐久性とソフトな風合いが特徴。シリーズ品として、ウールとポリエステル長繊維を複合させた特殊複合糸の蓄熱保温生地「プロタックウォーム」や「プロタックストレッチ」なども展開。今後は風合いの良いウール低混率を検討中としている。

 透け防止とストレッチ性に重点を置いた学生服素材の「テクティサマー」は、ポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)弾性繊維の伸縮性が生地の目を詰める働きをし、透け感を最小限に抑えるとともに、生地のストレッチ性を高めたことで、動きやすく軽い着用感を実現した。

 羊毛価格は落ち着いているが、長期の干ばつや食肉用用途から農家の減少が続き、価格下落による売り渋りも発生。長年の需要減もあり、短期的ではないにしても価格上昇はあり得ると見る。

 ユニフォーム事業における東洋紡グループとしての取り組みでは、スポーツ製品を主力とする東洋紡STC、シャツ地・製品を主力とする東洋紡ユニプロダクツとともに3社の開発力を生かし、消費者ニーズに合わせた素材作りを継続していく。新型コロナの感染拡大の影響により、景気低迷は長引くとみており、低価格素材の開発も急ぐ。

〈合繊高混率品も拡充/ストレッチも提案本格化/東亜紡織〉

 東亜紡織は学生服地で主力のウール高混率品に加えて、合繊高混率品のラインアップも拡充する。このため2021年入学商戦に向けて柄物でも合繊高混率タイプを用意する。

 同社の20年入学商戦向け学生服地販売はアパレルが積極的な生産を行ったことで販売数量、売上高ともに前年実績から微増した。MC商戦も獲得案件は前年を上回った。ただ、ニット製品はやや苦戦し、羊毛価格の高止まりや染料・薬剤高騰の影響で利益面での厳しさが増した。

 ウール混率50%以上の学生服用毛織物を主力とする同社だが、やはり近年はウール30%・ポリエステル70%混など合繊高混率品の販売が増えている。イージーケア性やコストパフォーマンス面から、その要望は無視できないと分析する。

 このため21年入学商戦向けでは合繊高混率品のラインアップを拡充する。無地だけでなく先染め柄物でも新柄の3分の2に従来のウール混率50%以上のタイプだけでなく、ウール30%・ポリエステル70%混のタイプも用意した。

 ストレッチ品へのニーズも高まっている。同社は紳士服地の技術を応用して開発した2ウエーストレッチの学生服地を昨年から本格提案しており、21年入学商戦に向けても引き続き積極的に打ち出す。

 そのほか、新型コロナをきっかけにニーズの高まりが期待できる抗菌など衛生加工も活用する。SDGsへの取り組みも重視する。

 一方、新型コロナの影響によって商談が停滞する懸念がある。このため学生服向け柄物デジタルアーカイブ「トーア紡デジタルライブラリー」などデジタルソリューションの活用も進める。

〈ニッケ教育研究所/機関誌「未来watch」創刊〉

 子供の教育を支援するためにニッケが2019年10月に設立した一般社団法人ニッケ教育研究所が活動を本格化させている。4月には機関誌「未来watch」を創刊した(年4回発行)。

 創刊号では研究所の運営理念や活動内容を紹介。顧問を務める甲子園大学心理学部の市川祥子助教と元小学校校長の勝本孝夫氏がコメントを寄せた。“誰も置き去りにしない”という研究所の基本理念の下、今後の活動に期待が寄せられている。