明日へ これが我が社の生きる道 染色加工編(69)

2020年06月12日(Fri曜日)

マットの根元までプリントで着色

電動ガンで色糸を一本一本差し込んで柄を表現するフックドラグのような表情を、プリントで表現する工場がある。大阪府貝塚市のアートダイワークスだ。同社がプリントしているのは、高級自動車用の高密度で分厚いオプションマットなど。マットのパイルをかき分けると、根元までしっかり染まっていた。それも、表面が赤色のパイルは根元も赤、その隣の表面が青色のパイルも根元は青。こんなプリント技術を持つ工場は他にはないと同社は自負する。

 1985年創業の比較的新しい会社だ。創業者は現会長の小倉吉之氏(81)。小倉氏は独立前、カーペット用のわた染め、糸染め、反染めを行っていた会社の常務兼工場長だった。同社に勤めていた時、米国に「スペース・ダイ」という技術があることを知り、見よう見まねでそれを再現することに挑戦。丸編み地にプリントした後に、解いて糸に戻すことで、独特なムラ感のある色を表現することに成功した。この染色法は当時のBCFナイロン・メーカーに受け、大ヒットしたという。

 ところが44歳になった時に同社が倒産。独立してプリント工場を持つことにした。ただ、ありふれた技術では相手にしてもらえない。そこでまず、自宅の庭に小屋を建て、自作の設備を持ち込んで新たな技術の確立に挑む。3年後に、パイルの根元までしっかり染まるようにプリントする冒頭の技術の確立に成功した。パイル長が40㍉の分厚いマットも根元まで染まるという。最大で17色を使えるので、柄の表現範囲も広い。一般呼称がないため、業界では同社技術を「アートダイ」方式と呼んでいるという。

 85年に、プリント事業を開始した。95年には、大卒後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)に勤めていた長男、雅宏氏(54)が後継者として入社する。2009年に社長になった雅宏氏によると業績は、1年ほど前まで、多少の浮き沈みはありながらもほぼ右肩上がりで推移した。

 同社は近年、自動車用高級オプションマットを中心に、家庭用のトイレ・バス・玄関マット、さらには商品ロゴなどを印した「広告マット」などをプリントしている。しかし、主力の自動車用マットの仕事が、一部の得意先の事情で一時的ではあるが1年前から減った。そこに新型コロナウイルス禍が発生。現在の稼働率は大きく落ち込んでいる。

 今後は、新型コロナで落ち込んだ需要の回復を待ちつつ、同社技術の染色堅ろう度の高さを売りに、レンタル用マット市場への提案も強化する方針だ。

(毎週金曜日に掲載)

アートダイワークス

社名:アートダイワークス株式会社

本社:大阪府貝塚市二色南町2-2

代表者:小倉雅宏

主要設備:「アートダイ」機3台、染料によるデジタル・カーペット・プリンター1台

月産能力:パイル長20㍉のカーマットにプリントする場合で1万平方㍍

従業員数:6人