明日へ これが我が社の生きる道 染色加工編(70)

2020年06月19日(Fri曜日)

リスクに挑戦、新たな開発を

一陽染工(愛知県一宮市)は染色加工のスペシャリストだ。綛(かせ)染めやチーズ染めはもちろん、反染めや製品染めまであらゆる染色を手掛ける。これまで培った技術を生かすことで、特殊な染色に加え、最近ではホタテの貝殻を生かした抗菌・抗ウイルスの製品も展開。新木一一(かずいち)社長(75)は「リスクがないところにもうけはない」と述べ、新たな挑戦を続ける。

 1983年の創業で当初は綛染めとチーズ染めのみを手掛けていたが、顧客のニーズなどに対応しながら、生地や製品までと染色加工の分野を広げていった。特に綛染めの技術には定評があり、オリジナルの設備で染色する。「これまでクレームを言われたことは一度もない。100%良い物を納めてきた」と断言し、強い自負心をのぞかせる。

 綛染めはむらなく、素材の風合いを残したままの染色が可能だが、綛繰りなどの工程があるため、コストや納期が余分にかかることが難点だった。その点、同社はスピードと技術力でカバーし、クレームも発生しないため効率的なモノ作りを可能としている。

 オンリーワンの特殊な技術も保有しており、6年前には「カラーインディゴ加工」を開発。デニムのように表面だけが染まり芯部分が生成りのままの中白糸にすることができる。手間がかかることから工賃も割高だが、他社ではできない加工として人気を博し、国内の紳士向けで60万㌔の加工を手掛けた。

 染色だけでなく、今年の5月には、ホタテの貝殻でウイルスや菌を不活性化する効果があるスプレーやマスクフィルターを、子会社を通じ販売を開始した。焼成したホタテの貝殻パウダーを使用することでPH11~12の強アルカリ性を実現。さまざまなウイルスや菌に対して効果があることは第三者機関で実証済みだ。ホタテの貝殻を使うことで安心安全なモノ作りにこだわった。

 開発自体は10年前にさかのぼる。このホタテパウダーで加工を施した靴下やハンカチ、タオルを製造するなどして試行錯誤を繰り返してきた。「染色加工ももちろんそうだが、自分が思う本物にならない物だったらやっても意味がない」。あくなき探求心を持ち、地道な挑戦を続けてきたことが今回の商品化に結び付いた。

 今後は不織布をはじめとした産業資材向けで製品の開発も進める。「人がやらないことをやるのが好き」。新たな挑戦に向けて、既に歩み始めている。

(毎週金曜日に掲載)

一陽染工

社名:一陽染工株式会社

本社:愛知県一宮市奥町下川田

13‐1

代表者:新木一一

主要設備:チーズ染色機22台、チーズ乾燥機1台、綛染色機17台、綛乾燥機1台、製品染用パドル11台、製品染用ワッシャー4台、製品染用タンブラー乾燥機4台、反染機7台、ショートハープ乾燥機1台、特殊加工機3台など

従業員数:13人