産資・不織布通信(39)

2020年06月22日(Mon曜日)

吸収性組織補強材で医療貢献

 グンゼは、ポリグリコール酸(PGA)を原材料とした吸収性の不織布を「吸収性組織補強材」(高度管理医療機器)として仕上げ、医療分野に供給し貢献している。

 複数種類の厚みがあり適用部位形状に追随して組織の補強ができる。最終的には生体内で加水分解するので、異物として残らない。縫合部の補強や空気漏れの防止を目的に呼吸器外科などの診療科で役立っている。

 硬膜、鼓膜、十二指腸、大腸、肝臓など多様な身体部位でも使われる。保険適用での告示名は、組織代用人工繊維布で、機能区分は臓器欠損補強用となる。

 では、なぜ肌着のトップブランドとして著名なグンゼがこうした医療機器を作り実績を上げているのか。やはり同社の祖業、生糸(絹)の伝統から生まれてきた開発だった。

 グンゼは縫合糸(絹)の原糸を供給する立場にあった。そのため医療業界との関係が深くなった。

 繊維素材の新分野への応用を検討していたグンゼ研究所繊維研究室は、1980年に京都大学医用高分子研究センターで新しい医療材料の産学協同の動きがあることを知る。83年に同センターを核とする研究会に加わった。

 そのころ米国では使用される糸の5割が吸収性になっていた。つまり“溶ける糸”だ。一方日本は絹やポリエステルの糸を使っていた。この研究会は84年に生体吸収性ポリマーによる医療器材の開発を開始。損傷部位の修復とともに体内で分解吸収される吸収性縫合糸の事業化に86年に日本で初めて成功した。この開発が現在の「吸収性組織補強材『ネオベール』」(不織布)につながる。

 製法は次のようなものだ。PGAでできた糸を筒編みする。その編み地にニードルパンチを加えて不織布化する。繊維原料から紡糸、編み立て、加工仕上げまでグンゼ社内で一貫生産できる強みがある。

 メディカル事業の年商は80億円あり、その中で重要な商品となっている。この日本発の医療機器はドイツ、イタリア、フランスなど世界20カ国以上に輸出されている。

(毎週月曜日に掲載)